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私の生きてきた道  作者: 郷古奈美
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心の奥の小さな扉

幼少期の育ち方は、人格形成や、後の人生に大きな影響を与えるというのは、周知の事実である。私の心の一番奥には、小さくて開く頻度の少ない扉がある。誰に向けても開かない、しまう時にだけ開く扉。死ぬまで言えないこと、言ってはいけない事、誰にも言わないでね!と言われた事柄たちが箱に入ってしまわれている。小学二年の時に母親が再婚してからというもの、それまで感じることのなかった感情が次から次へと湧いてきて、私は悩まされ、とまどい、多いに考え、押し殺したり、無理矢理箱に入れたりして、扉の奥にしまった。容量がどれほどあるかは未知で、一度しまったものが取り出されることはない。いつ頃そう思ったかは、ハッキリしないが自分は考えることが好きだと気付いた。小さな頃は、好きというより、人間は考えに考えれば様々な事柄を上手く解決できるし、切り抜けられる!そう思っていた。私は、考えに考えた。いつも、何かを考えていた。自分の存在と存在意義、周りの大人たちの態度、置かれている状況、将来。

出会いや別れ、生きていくこと、死ぬこと。小学四年生の頃には、これからも生きていくということにすっかり自信を無くしていたし、自分のキャパをはるかに超えた状況と環境ゆえに、死にたくてたまらなくなっていた。生きている価値もなければ、自分を心から必要としている人は一人もいないことに気付いてしまったから。死ぬことを怖いと思うより、楽になれる唯一の方法と捉えていた。なぜ、母は私を生んだのか?生まれてきたくなかった、とも考えてみたが、違う、違うのだ!そういう事じゃなくて、私は今、死にたい!もう死なせて下さい!という気持ちでいっぱいだった。いっぱい過ぎて、嬉しいも楽しいも入ってこず、悔しいも悲しいもなく、

自分で今の状況を打破できるようになるまでに、約八年もかかるという現実は重く、深く失望した。待てないと思った。

この瞬間に、意を決し、勇気を出し、実行していれば、と何度思ったか分からない。今だにこの気持ちと闘わなければならないとは…どうかしてる…。

おかげ様で、心の病はもちろん今も共にあったりするがとても良いお薬を出していただけている。しかし、幼少期の事柄だけでこうなってしまった訳ではない。十代後半から二十五までの間にも、

二十八歳から三十三ぐらいまでの間にも

私を取り巻く環境は随分と酷だった。

小さい扉はまだまだ活躍してしまいそうだ。

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