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不機嫌

「う・・・」


アンリが肉を口に運び、ちょっと残念そうな顔をする。


「どうした?」


そこまで変な味はしない筈だが・・・?

エルクはもう一口食べてみたが、普通に肉の味がする。


「いえ・・・そう言えば、塩や香辛料はまだないんですよね・・・」


「・・・?」


聞き慣れない単語に、またエルクは軽く混乱する。

しかも、『まだない』とはどういう意味か・・・


料理を食べたら、後は寝るだけだ。

テントは1つしかないが、眷属なので1つで十分だろう。

流石に、いきなり手を出したりはしない。

ずっと手つかずにするつもりもないが。

エルクもその程度の紳士さはあるつもりだ。


エルクは、アンリの温もりを心地よく感じながら、目を閉じた。


--


次の日の朝、目を覚ますと、不機嫌そうな目をしたアンリの顔が目に入る。

・・・馬鹿な・・・何があった・・・?

エルクは戦慄する。

まさか夜の間に手を出してしまったのだろうか・・・?


「おはよう御座います」


不機嫌そうにアンリはそう言うと、ふい、と顔を背け、朝の支度を始めた。

・・・よく分からないが、寝る前はあんなに機嫌が良かったのが嘘のようだ。

やはり女性は難しい。


「お・・・おはよう」


エルクは挨拶を返すと、どうやって機嫌を取ろうかと考えた。


「その・・・済まない、アンリ。何かあった・・・のかね・・・?」


「・・・何もないから不満なんです」


・・・何もなくても不満・・・?!

やはり女性は難しい・・・


「その・・・悪かった、機嫌を直して欲しい・・・」


アンリを抱き寄せると、最初は硬かった体も、少しずつ柔らかくなってくる。

どうやら少しは機嫌が直ったようだ。


アンリがじっとエルクを見て、


「血を飲みますか?」


「うん、頼むよ」


「はい」


アンリが首筋を差し出す。

エルクが牙を立て・・・


「ん・・・」


アンリが色っぽい声を出す。

良い匂いがするな・・・思いつつ、エルクは吸血を楽しんだ。


--


「いいお湯ですね」


「ああ、こんな魔法の使い方があったとは」


エルクは感心する。

池の近くの地面に窪みを作り、池の水を流す。

その水に熱波の魔法を当て、お湯にする。

その中に浸かる。

非常に気持ちが良い。


服を脱ぐので、気を遣って時間を分けようとしたのだが、アンリに睨まれたので一緒に入っている。

・・・ひょっとしたら気を遣っているのがいけないのだろうか。

エルクは思案する。

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