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勇者

「此処が魔界・・・聖界で感じていた息苦しさが無いですね」


セリアが嬉しそうに言う。


「ああ。お前達は闇の者になったからな。魔界、魔柱の力及ぶ場所ではその力が増し、逆に聖界、聖柱の支配する地では、その力が激減する。聖に属する者は、その逆だな」


これが、魔界側が簡単には敗北しない理由。

侵攻側が、圧倒的に不利なのだ。


エルクは、リアとジャンヌがバルコニーにいる事に気づいた。

手を振ると、一同、城へと歩き出した。


--


「お帰りなさいませ、お兄様」


リアが、可愛らしくお辞儀をする。


「流石です・・・まさか、5人も眷属を入手されるなんて」


リアがうっとりとして続ける。


ジャンヌは、半眼で呻く。


「エルク・・・君・・・なんて事を・・・」


「ん、どうしたんだ?」


眷属を一度に沢山作り過ぎただろうか?

軽い男と思われたか?

エルクは、困惑した表情でジャンヌを見る。


「聖女を眷属にするなんて・・・君達も君達だ。聖女の使命はどうした?自由意志を持ったまま眷属になるなんて・・・」


パラスが聖女だと気づいたのか?!

・・・いつかは話そうと思っていたが・・・まさか一目で見抜くとは。


「パラスが聖女だと気付いたのは流石だな、ジャンヌ。そうだ・・・パラスと、アンリ──スフィンクスの事は、絶対にバレる訳にはいかない」


エルクが、重々しく言う。


「お兄様・・・聖女を従えたなら、そのお力は海よりもなお深いものなのに・・・魔王になる気は無い、と言う事ですね」


リアが、呆れと──安堵が混じった口調で言う。


「当然だ。俺の野望は、この国の王として、ミーミルの影に隠れ、安穏と暮らすこと。魔王なんかになったら、聖戦に借り出されてしまう」


エルクが、毅然として言い放つ。


「いや、エルク?聖女・・・パラスちゃん・・・?だけじゃなくて──」


「ねえ、ご主人様──勇者ってどう思われますか?」


不意にアレクシアが、ジャンヌの発言を遮り、エルクに問いかけた。

勇者・・・?

エルクは質問の意図が分からず、困惑する。


「勇者──魔族の仇敵だな」


「ぐふ」


何故かジャンヌが膝をつく。


「まず、名前が恐ろしい。いかにも、魔族滅ぼしますって感じだ。能力もおかしい。不死身な上、単独でも極悪・・・仲間と徒党を組めば、神をも恐れぬ強さ・・・まさに天災」


勇者は、聖戦にあわせて生まれる存在。

聖女、魔王、闇の巫女・・・そこに加わる存在だ。

まず基本能力が凄まじく高い。

次に、聖女と連携し、更にその力を飛躍させる。

最後に・・・死んでも、魔王が存在している限り、復活する。

むろん、即復活する訳では無いが。


悪夢の代名詞だ。


「あ・・・あの・・・良い勇者もいると思うよ?」


ジャンヌが言う。


「『良い』勇者はいるだろうな。むしろ、『悪い』勇者なんて聞いたことが無い」


エルクが半眼で言う。

人間にとって良い勇者・・・つまり、魔族にとって都合が悪い存在だ。


「『悪い』勇者もいると思うなっ」


ジャンヌが食い下がる。

なんで?!


「・・・ジャンヌ殿。我々は味方だ。お互い、情報は明かすべきだと思う。隠し事は良くないですよね。・・・ところで、何か言いかけましたか?」


アレクシアが尋ねると、


「いやあ、パラスちゃん・・・盾の聖女、だっけ。素晴らしいね。頼もしいよ」


ジャンヌが朗らかに言う。

あれ、盾の聖女って教えたっけ。

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