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王の不在

王、とは、国の象徴である。

国の最高能力者にして、守護者。

実力よりも、その名前、その存在は、極めて大きな拠り所だ。


ファーイースト。

吸血鬼の集う国。


それなりの実力者はいて、純粋な戦闘力で言えば、王たるエルクを上回る者も多い・・・が。

やはり、心の支えとしては、大きい。


王の不在。

それは、国の留守を預かる者達にとっては、試練であり・・・


そして。


その試練は、やってくるものなのだ。


王妹たるリアの預言。

そして、それは、王の親友たるジャンヌによって確かめられた。


聖獣の侵攻。


冗談の様なその事態は、刻一刻と迫っていた。


「・・・どういう事だい・・・ミーミルの奴等が馬鹿な事を考えて攻めてくる・・・くらいは考えていたけど・・・聖獣が来るなんて、一体何が・・・?」


ジャンヌが焦りを口にする。

普段は脳天気なジャンヌが、真剣な面持ち。

極めて珍しい事で・・・それだけ異常な事態という事だ。


俯き、静かに魔力を練るリア。

だが、その表情は暗い。

最愛の兄が居ない、その事も、心に強い負荷をかける・・・


「リア様、避難が間に合いません・・・」


兵士が焦りを滲ませた声で告げる。

街からの移動、という事は既に諦めた。

地下の施設への避難を指示したが・・・そもそも、そこまで多くの人を収容できる訳では無い。

混乱もある。

接近の速度が異常なのだ。

肉眼で視認できた頃には、次の瞬間には王城はその手に掛かっている可能性が有る。


「力を・・・使います」


リアが宣言。

どこまで対抗できるかは分からない・・・が。


それでも、兄に頼まれたこの地を護る。

命に・・・代えても。


バルコニーに出たリアは、強い吐き気を覚えた。

その横に並ぶジャンヌが、泣きそうな声を出す。


「・・・何・・・あれ・・・?」


聖獣だけじゃない。

僅かに感じ取れる力・・・その力は・・・圧倒的な強さを感じた。

懐かしい気がするのだが・・・それ以上に・・・異常。

まるで、深海の底に潜って、海そのものを相手にしているような・・・そんな恐怖。


「何が・・・起きているのでしょうか・・・?」


リアが、座り込みそうな体を叱咤激励し、何とか踏みとどまる。


そして──


次の瞬間、それは、城の中庭に降り立った。


--


「着きましたよ、エルク様!」


笑顔で告げるアンリの頭を、エルクがぐりぐりと挟む。


「離れた所に降りろと言ったよな?!部下がもの凄くびびってるんだが?!」


エルクが低い声で告げる。

連絡も無しに聖獣が飛んできたら、そりゃびっくりするだろう。


エルクは、泣きそうになっている兵士達に、労いの声をかける。

安堵で、腰を抜かして座り込む兵士が多数。


「エルク王よ。そちらの・・・聖獣と、他の方は・・・眷属の方でしょうか?」


部下がエルクに尋ねる。


「ああ、そうだ。聖獣も俺の妻だ」


「聖獣も、ですか。流石は王」


部下が唖然とした様子で言う。


「・・・とりあえず、城に入ろう。リアとジャンヌにお前達を紹介しなければな・・・アンリ、早く人型になってくれ」


「はい」


フォン


アンリが人型になると、周囲がまたどよっとする。

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