表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/55

絶体絶命

エルクは、聖界に向かう。

エルク達魔族を治めるのが魔神、住まう地が魔界。

人間を治めるのが聖神、住まう地が聖界。


エルクの治める国、ファーイーストと、聖界の間には、魔界の首都ミーミルが存在する。

聖界からの人間の侵攻はミーミルが受け止める形となるので、ファーイーストは直接人間の脅威にはさらされない。

ファーイーストが人間との戦いにおいて平和を謳歌できる理由だ。


一方で、ファーイーストとミーミルは友好国ではない。

ミーミルからファーイーストへの侵攻は日常茶飯事だ。

ミーミルを通る訳には行かず、平地は完全にミーミルが塞いでいるので・・・迂回するには両脇にそびえる霊峰を通るしかない。

道は険しく魔物も多い為、エルク程の実力者が単独踏破するならともかく、大規模な兵を移動させたりはできない。


夜は野宿。

エルクは、野営技術も問題ない。

火を起こし、獲った獲物を焼く。


霊峰を踏破に後3日、その後は平地を隠れ進み、聖界まで都合7日といったところだろうか。


そして2日目。

エルクはそれ、に出会った。


長い耳、純白の髪、紫の瞳・・・

美しい。

だが、それは危険な美しさだ。

力を完全に制御下に置いてある為、溢れては見えないが・・・その纏う力は、一体で大軍に匹敵する。

何故ここに居るのか?!

エルクは心の中で叫んだ。


聖獣。

それがその存在の名。

聖界の主力は勿論、人間だ。

だが、それ以外の種族も存在する。

その内、最も危険なのが聖獣だ。


知恵ある魔獣。

その力は圧倒的で、聖戦の際に数多の魔族がその手で殺された。

一方で、人間が道を踏み外せばそれを罰し、聖神すらその例外ではないと聞く。

何故ここに居るのか。


聖獣は、聖獣の里から出ない。

それは、聖獣が決めたルール。

聖獣が里から出るのは、その力を示す時、のみ。

何故ここに居るのか。


ここは魔界。

聖の眷属が居ていい場所ではない。

しかも、この霊峰は迷路のように入り組んでいる。

この道はエルクの国ファーイーストに伝わる秘伝の道。

何故ここに居るのか。


唯一つ分かる事は、エルクは死ぬ。

見られて見逃す理由は無いだろうし、リアとジャンヌがいればともかく、単独で勝てる訳がない。

エルクは魔法が使えないのだ。

手持ちの魔力結晶全てを溶かしても、かすり傷も負わないだろう。


聖獣は、エルクの前にゆっくりと近づき・・・跪き、頭を垂れる。


「エルク様、ご機嫌麗しゅうございます」


・・・?!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ