青春
「間もなく新快速電車が通過します」
突然の出来事にパニック状態のホームに
電車の通過を知らせる放送が流れ
更にパニックとなった。
「誰か非常ボタンを!」
「男を捕まえろ!」
「キャー誰か助けてあげて!」
俺は、そのパニックな様子を横目に
既に線路に飛び降りていた、
勿論、非常ボタンを押してからな。
「君、大丈夫か」
彼女の傍に一気に駆けつけ声をかけた、
どうやら頭をうったようで返事がない
「ファーン、ファーン、ファーンーーー」
電車がクラクションを流しながら近づいて来た
「早く上がって来い!」
ホームから男性が手を差し出して来た。
しかし、俺はその声に従わなかった。
だいたい、俺は女子高生を助ける為に
線路に飛び込んだわけだし、1人で上がっても
仕方ない、それに電車から逃げるだけなら
女子高生を抱えて線路横の避難スペースに
飛び込めばいいだけだ...
そんな事を考えながら、俺は女子高生の
頭を両手で保持していた。
「早く逃げろー少年!」
ホームから身を乗り出しながら
大きな声で男が叫んだ。
見ず知らずの人に真剣に助けよう、優しい人だ
てか、あんたも落ちそうだよ?大丈夫?
そんな事を、考えながら相変わらず俺は
女子高生の頭を保持していた、
動く気は、最初からなかった。