クラン説明
「すみません。探索者になりたいんですけど、どの入口から入ったらいいですか?」
商人風の女性は、
「ん?あなた、この辺りでは見ない顔ね。探索者なら一番左の入口よ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
美湖は言われたように入り口へ向った。そこも30人くらいの人々が並んでいた。その最後尾に並び、50分ほど待っていると、美湖の番が回ってきた。美湖の受付の係員は、ピンクの髪を2括りにした、目鼻立ちの整った、とてもきれいな女性職員だった。
「お待たせしました。本日はいかがいたしました?」
「はい、探索者になりたくて来ました。あと、この町に来るまでに、ゴブリンを数体倒したので、それの処理もしたくて。」
「まぁ、登録もされていないのにゴブリンを倒されたのですか。すごいですね。それでは、まずクランと探索者についてご説明いたします。今回対応させていただきますアリアと申します。」
「よろしくお願いします。」
「まず、クランというのは、大規模な仕事斡旋所です。職業は、大きく分けて4つあり、探索者、商人、生産職、騎士となります。探索者は、なるのに特に資格が必要ないので、一番比率が高いです。商人は、自分の店舗を持っていることと、販売利益の10%をクランに納めなければなりません。生産者も、自分の生産工房を持っていることと、利益の5パーセントを納めなければなりません。騎士は志願するものが、守護する対象との契約が必要となります。対象というのは、貴族や、各自治区ですね。ここまでで、何か質問はないですか?」
「証人と、生産職は、クランに登録して何かメリットはあるんですか?聞くだけだと、不利益しかないようですが?」
「そうですね、確かに利益のいくらかを納めないといけませんが、それぞれクランに属していると、支払う額は違うものの、同じように支払っているので、加入せずいる者に対して、忌避感があるらしく、結果、加入せずに商いをすると、孤立してしまうことが多いそうです。また、クランに所属すると、定期的に立ち入り検査を行うため、品質の安定と、信頼があり、顧客が付きやすいんだそうです。逆に、クランに所属していない者の扱う物は、品質が劣悪だったり、条例に違反しているものが多いようです。」
「なるほど、ありがとうございます。」
「あとは、そうですね。どの職業のクラン証でも、各町や村、王都へ入る際審査が簡略化されます。これは、クラン証にプログラムされている魔方陣の一つに、登録者が犯罪を犯していないかどうかの判断機能が付いており、犯罪を犯してしまうと、クラン証が赤くなり、ときの映像を補完する機能があります。その映像は、登録者の記憶、視界を写し取るので書き換えることはできず、一度発動してしまうとクラン証自体がロックされてしまうため、どんなに魔法にたけているものでも、書換えは不可能とのことです。そして、その発動が、第三者から見ても、弁明の余地がなければ犯罪者として捕縛されるか、永久追放となります。」
美湖は、説明を聞いて背筋がぞっとした。そして、魔法の自由度が広すぎると思った。
「...魔法ってすごいですね。なるほど、そんな機能がついていれば、あの、面倒くさい審査をパスできるのもうなずけますね。」
「では、次に探索者の説明をさせて頂きます。」
アリアさんは、いくつかの書類を出して説明を始めた。