第1階層、階層主1
美湖の掛け声で、それぞれが駆け出していく。美湖とユーナはビーエンプレスに挑みかかり、注意をひきにかかる。ユーナの短剣が舞い、美湖の剣が躍る。アリサは、スーリンとともに、3人の女性探索者のもとに行き、4人を背にかばいながら、次々に矢を放ち、取り巻きのジャイアントビーを始末していく。スーリンは3人を回復させる。
「あなたたち、どうして障壁の中には入れているの?」
「細かい話はあとだ。今は体制を整えろ!ここで、私たちが倒れれば、第1階層に挑んでる駆け出し探索者たちが多く死ぬことになる。何としても、やつを倒さなくちゃなんないんだ!!」
アリサの叫びが、3人に響く。3人は、急いで、ポーションを飲み、それぞれの体勢を整える。剣士、弓士、魔法使いのパーティーらしく、バランスはよかったが、前衛が弱い感じがした。
「ありがとう。助けてくれて助かったよ。私はこのパーティーのリーダーをしてる、剣士のユリカだ。」
「私は、弓士のレイクです。助けてくれてありがとうございます。」
「わたくしは、魔法使いのエリザですわ。助けてくれたことには感謝いたします。」
3人は自己紹介をすると、それぞれの役割通りに動き出した。ユリカは、ミコ、ユーナに加わりビーエンプレスに攻撃を仕掛ける。レイクは、アリサとともに、取り巻きのジャイアントビーの始末を行う。エリザは、スーリンとともに回復魔法を使いながら、火魔法と、風魔法でジャイアントビーを始末していく。
「あなた、さっきのパーティーメンバーだね。」
「ああ、助けてくれてありがとう。私はユリカ、よろしく。」
「僕は、ミコ、あっちの短剣つかいはユーナちゃんだよ。僕がスポッターになるから、側面や背後から遊撃してくれるかな。」
美湖の指示に、意見することなく、ユリカは動きを変える。ユーナも、側面、背後から攻撃を仕掛けるが、さすがはDランククラスの魔物、有効打が無いようだった。
しばらく、ビーエンプレスの攻撃をさばき続けている美湖たちだったが、敵も、やきもきしていたのだろうか、上空に舞い上がり、魔力を練り始めた。
「ご主人様、大技が来ます。」
「それはわかるけど、僕たちじゃ届かない。止めれないよ。」
「さっきの魔札を使ってください。塔が作り出していた障壁なら、防げるかもしれません。」
美湖は、はっとして、さっき障壁を封じるのに使った魔札を見た。そこには、『塔障壁 20/20』となっていた。美湖は、その魔札を準備し、ビーエンプレスの攻撃に備える。
ビーエンプレスが、魔力を練り終わり、羽根を大きく羽ばたかせ強風を生み出した。そのタイミングで美湖は障壁を一つ開放する。すると、障壁が展開され、ミコ、ユーナ、ユリカを覆う。障壁は強風を防ぎ切った。アリサたちは距離が空いていたため、影響を受けなかったようだ。
「ホントに防ぎきれた。これなら、何とか持ちこたえられる。」
美湖は、再び、スポッターとして、ビーエンプレスの注意をひく。ユーナ、ユリカもサイドからの攻撃を仕掛ける。
「ご主人様~!こっちはジャイアントビーを始末しました。今から援護を開始します。」
アリサが、取り巻きのジャイアントビーを殲滅したことを報告してきた。それにより、美湖の頭に一つの作戦が浮かぶ。
「一つ、作戦がある。みんな、僕の周りに集まって。」
美湖は、6人に呼び掛け、一か所に集める。
「障壁、開放。」
再び、障壁を展開する。障壁は7人を囲み、防壁となる。
「僕の考えた作戦を伝える。よく聞いてね。」
美湖は、浮かんだ作戦を説明し始めた。




