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少女たちの異世界漂流記~美湖の冒険~  作者: コウタ
異世界生活スタート
58/117

第1階層、再び4

 ~ユーナ視点~

 ああ、ご主人様の血、やっぱり美味しいです。それに、体の底から力が湧いてくる感じがしています。


「5。」


 ご主人様の合図が聞こえてきます。


「4。」


 ご主人様の声がどんどんゆっくりになっていきます。


「3。」


 敵の動きもすごく遅くなっていくようです。


「2。」


 ああ、ご主人様。早くスタートを切ってください。


「1。」


 私は、いつでも飛び出せるように準備します。


「GO!!」


 ご主人様の合図で、私はフルスロットルでとびだしました。それにしても、敵の動きが遅いです。普通なら、この時点では気づかれているはずなのに。


「ちょっと待ってユーナちゃん早すぎ!!」


 後ろから、ご主人様の声が聞こえてきます。しかし、そのころには私は、グレムリンの懐に入っていました。そしてまずは動きを止めるために、二体の足の関節を切り裂きます。それにより、どうやらグレムリンは私の存在に気付いたようです。しかし、反応を示すころには、一体のほうの翼を切り落としました。もう一帯が、こちらを振り向いた時には、その個体の背後を取り、同じように翼を切り落とします。そして、二体が私をどうにか視界にとらえたようで、そろって腕を振りかぶってきます。全く遅すぎてその腕を、付け根で切り落とし三枚おろしにしてあげました。ついでに反対側の腕も。


 そして、とどめに二体の首を同時に落としてあげました。遠くで、


「「「ユーナちゃん(さん)強すぎじゃないですか...」」」


 と聞こえてきました。


~元に戻ります~


 ユーナが、美湖たちのもとにグレムリンの魔石と素材を持って戻ってくる。しかし、美湖たちはいまだに驚愕がぬぐえなかった。


「ご主人様、アリサさん、スーリンさん、今戻りました。顔がとんでもないことになってますよ?」


「...ユーナちゃん、今の何?」


 美湖は何とかその言葉をひねり出す。それに対して、ユーナは、


「すみません、よくわからないのです。ご主人様から血を頂いた後、すごく力が湧いてきて、すべてが遅くなって気づいたら、グレムリンを討伐していました。」


 と、美湖に、グレムリンの素材を手渡す。ミコが受け取ったタイミングで、ユーナはふいに力が抜けたように倒れてしまう。


「っ、ユーナちゃん、どうしたの?大丈夫!?」


 とっさに素材を投げ出し、ユーナを抱きとめる。どうやら気を失ってしまっているようだ。


「いったいどうしたんだ?いきなり倒れちまったぞ。?」


「ユーナさん、大丈夫ですかぁ!」


 アリサもスーリンもいきなりのことで動揺しているようだ。美湖はユーナに対してステータス異常の鑑定を試みる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ユーナ

状態 気絶(原因:吸血による反動。)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 どうやら、吸血スキルのステータス上昇は、効果は絶大だが、その後にこのような後遺症があるようだ。今回は気絶だけだが、今後どのような後遺症が発言するかわからない。美湖は、スーリンのエレメント+精霊魔法のスキルに続き、ユーナの吸血スキルによるステータス上昇は最後の切り札とすることにした。


 ユーナが目覚めるまで、スーリンがユーナの状態を看て、美湖とアリサが周囲の警戒に当たる。1時間くらいその場にとどまっていたが、運が良かったのか、魔物が襲ってくることはなかった。


「...あれ、ここは...」


「おはようございますぅ、ユーナさん。みなさ~ん、ユーナさんが目を覚ましましたよぉ!」


 スーリンが、周囲の警戒をしていた美湖とアリサを呼ぶ。二人はすぐに戻ってきた。


「ユーナちゃん、大丈夫?体に違和感とかない?」


 美湖が、心配すぎて、涙目になりながらユーナの容態を確認する。その様子に、クスリと笑いながら


「ご主人様。心配してくださってありがとうございます。私は大丈夫です。」


「ユーナちゃん、さっきの吸血スキルでのステータスアップはこのパーティーでの切り札にするから。今後は基本的に行わないから。」


 美湖の決定にユーナは驚き、


「どうしてですか!?あの力があれば、ご主人様の役に立てるのに?」


 そうして、美湖に詰め寄るユーナの頬をはたいた。ユーナは、たたかれた頬をさする。


「...いきなりはたいてごめんね。でも、ユーナちゃん、あなた今倒れてたんだよ。僕たちが、どれだけ、心配したか!!僕が同じことをしたら、ユーナちゃんどうする?」


「っ、全力で止めます。すみませんでした、ご主人様。アリサさん、スーリンさんも、心配させてすみません。これからは気を付けます。」


 うつむき、肩を落としたユーナだが、しっかりと気持ちを言葉にした。それを聞いた美湖は、顔ほころばせ、ユーナを抱きしめた。


「ありがとう。でも、ユーナちゃんの気持ちはすごくうれしいから。これからは、もっと自分を、パーティーメンバーを大切にしていこうね。」


「はい!ご主人様。!!」


 美湖とユーナは強く抱き合った。それを見ていた、アリサ、スーリンも、顔をほころばせていた。 









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