報酬受け取り
アヤノの言葉に、美湖とユーナはポカンとした。
「...ご主人様、確認したいのですが、クラン登録したのは一昨日ですよね?」
「うん、そうだよ。その翌日にユーナちゃんの登録をしたよね。そんなに早くランクアップってできるんですか?」
「ふつうはできない。しかし、クラン登録時にゴブリン8体の持ち込み、規格外のステータスとスキル、ダンピールの主人になって、その翌日にはスタンビートを壊滅。ランクアップする条件には十分かと思うがな。」
アヤノは、不敵に笑いかける。美湖とユーナは少しびくっとした。
「...どうしてユーナちゃんがダンピールだと?」
「ふ、気づかないと思ったのか?めでたいな。私は仮にも支部長だぞ。種族の特徴くらい把握している。一応念を押しておくが、アリアからの報告というわけではないからな。心配するな、お前たちが犯罪を犯さない限り、教会に報告することはない。」
「わかりました。ランクアップの件、受けさせてもらいます。」
「よし、なら、お前たち二人はHランクから、Fランクになってもらう。アリアに指示は出しておく。今日、アリアにクラン証を預けておいてくれ。明日には更新が終わっているだろう。さて、ゴブリンの死体を出してくれ、間もなく、従業員が来るだろう。」
アヤノに言われ、美湖はゴブリンとボブゴブリンの死体を、解体場に開放した。3人の周りに、ゴブリンの死体が山のように盛られていく。
「想像してたが、すごい数だな。処理するのに、数日は必要だな。手の空いている職員をこっちに回すか。わるいが、ふたりは、うけつけにいっておいてくれ。」
アヤノに言われ、二人は受付のアリアのもとへ向かう。
「...これを二人でやっただと。どちらもレベル一桁クラスの新米だというのにか。先が恐ろしいな。」
アヤノのつぶやきは入ってきた、職員の音にかき消された。
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「あ、やっと来ましたね。待ってましたよ。報酬も準備できてます。こちらへどうぞ。」
アリアに促され、一つの受付についた。アリアもその反対側に座る。目の前に報酬金と、ランクアップ用の書類などが準備されていた。
「支部長から話は聞いています。Fランクへのランクアップおめでとうございます。まずは、こちらの書類にサインをお願いします。それとクラン証を出してください。」
二人は、アリアに出された書類を確認し、サインしていく。そして、クラン証を提出する。
「これで、ランクアップの手続きは完了です。続いて、報酬の受け渡しを行います。内訳は先ほど話したので省きます。合計10,3650ルクスです。確認してください。」
アリアが差し出し、美湖とユーナの前に金貨10枚、銀貨36枚、銅貨50枚が積まれた。
「うわ~、ご主人様、私こんな金額見たことないですよ。」
「そっか、ユーナちゃん銀貨50枚だったもんね。もう、元取れちゃったね。」
「ご主人様、ひどいです~。」
「はいはい、いちゃつかないでください。それでは、明日には、クラン証の更新作業も終了していると思いますので、明日に、また取りに来ていただけますか?」
「わかりました。では、明日にまたここに来ます。それと、アリアさん、今日の仕事はいつまでですか?」
「?このやり取りが終わったらそれて上がりですが?」
「では、この後に、食事でもいかがですか?この間のお礼と、少し話を聞きたくて。」
「いいですよ。では、少ししたら『安らぎの風』に迎えに行きますので。」
アリアに見送られ、二人はクラン支部を出た。