ラティアヌス草原
2人は、町を出て、ラティアの町の東に広がる『ラティアヌス草原』に来ていた。ここでは、ミッこションで指定されていたゴブリンの他に、草食でおとなしい牛のような『フレンジカウ』や、昨日食堂で食べた『黒イノシシ』なども生息している。又、ポーションの材料となる薬草なども採取できる。
「は〜、風が気持ちい〜。」
「ホントですね。これで魔物がいなければ、ご主人様とピクニックできたのに...」
ユーナは、少し残念そうにしている。そんなユーナを見てミコは微笑んでいる。
「さて、お目当ての魔物はっと、おっ、あそこのアレ、そうじゃない?」
美湖が示した方向には、ゴブリンが3体たむろしていた。
「そうですね、あの程度であれば私だけで問題ありません。私に行かせて下さい、ご主人様。」
ユーナは、二振りの短剣を構えた。美湖はそれを止める。
「待って。僕も行くよ。まず、僕が2体を倒すから、ユーナちゃんは、そのあとで1体を倒してくれるかな?」
「どうしてですか?あの程度なら...」」
「別に大した理由じゃないよ。ユーナちゃんがどれくらい動けるか見たいだけだから。僕からすれば、これがユーナちゃんとの初めての戦闘だからね。知っておきたいんだ。」
「そういうことですか。すみません。出過ぎた真似を...」
「気にしないで。じゃあ行くよ。」
美湖は、鉄の剣を構え、ゴブリンの群れに近づいていった。後5m位でゴブリンたちが美湖の接近に気がつき、拳を振り上げ飛びかかってきた。しかし、美湖はそれらをかわし、2体のゴブリンを切り裂く。
「ユーナちゃん、はい、残り1体倒せる?」
「お任せください。行きます!!」
ユーナは、二振りの短剣を抜きゴブリンへ切りかかる。ゴブリンの殴り掛かりを赤銅の短剣でいなし、黒銀の短剣で首を貫く。血が噴き出し、ゴブリンは前のめりに倒れ動かなくなった。
「おお~、ユーナちゃんすごーい。一撃じゃん。すごい鮮やかだったね。」
「いえ、この程度では実力を出せません。ご主人様にいただいたこの短剣もいい切れ味ですし、もっと強い魔物とも戦えそうです。」
「まぁ、とりあえず少しずつね。無理する必要ないからさ。僕もこのあたりに来たばかりだし、まずは、慣れていこう。」
二人はそれから、ゴブリンを何体も狩った。しかし、どのゴブリンも弱く、二人の攻撃一発で倒れていった。そして倒したゴブリンは、すべて三個の金の封じの札に封じていく。
「しっかし、ゴブリンしかいないね。僕もう飽きてきたよ。」
「そうですね。この草原にはほかの魔物や獣たちもいるはずなんですが。確かに、少しおかしいですね。」
二人は、ゴブリンを倒しながら、草原を歩いていく。さらにゴブリンを狩り、ついにゴブリンを30匹も倒していた。すると、草原の中に雑な掘立小屋を見つけてた。その周囲には20匹くらいのゴブリンがいた。
「何あれ、ゴブリンの集落?」
「いえ、あれはゴブリンのスタンビートです。おそらく、私たちが倒した群れは、あのスタンビートの斥候だったのではないでしょうか?」
「スタンビートって何?」
その言葉を聞いたユーナは、
「スタンビートとは、その魔物の指揮クラスの魔物が現れ、その魔物を起点に大規模な群れを形成するものです。ある程度大きくなると、近くの村や町を襲うんです。あの群れはおそらく、ゴブリンの上位種ボブゴブリンが率いていると思われます。」
「そっか、つまり放っておくとまずいんだよね?」
「そうですね。どうしますか?」
美湖は少し考え
「ボブゴブリンのステータスを見れたらいいんだけど。」
美湖たちは、その集団に見つからないように、様子をうかがうのだった。