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少女たちの異世界漂流記~美湖の冒険~  作者: コウタ
異世界生活スタート
21/117

ユーナの吸血

 消え入りそうな声で、ユーナは、お願いをした。


「血を?」


「はい、実は『スレイブ』でも、血をもらっていたのですが、家畜の血らしく、生命維持には問題なかったのですが、空腹感に似た欲求が消えなくて。ご主人様にお願いするのは、とても、申し訳ないのですが。」


 ユーナは、すごく消え入りそうで、その瞳は、おびえているようだった。


「なんで、そんな顔するの?」


「なんでって、血を吸うんですよ?怖くないんですか?気持ち悪くないんですか?」


 ユーナの瞳は、さらにおびえの色を濃くしていく。まるで、美湖に嫌われるとでも思っているようだった。その考えが、美湖にも伝わったらしく、


「...はぁ、ユーナちゃん、僕さっきなんて言った?」


「しかし!、私は、この体質のせいで!私の周りからは、好きだった友達も!育ての親もみんな!いなくなってしまったんです!!もう、あんな気持ちは、あんな思いはもう...嫌なんです。」


 ついに、ユーナは泣き出して、叫びながら、最後にはその場にうずくまってしまった。その姿を見た美湖は、ゆっくり近づいて、


「ねぇ、僕って信用ないかな?」


 ユーナの体を抱きしめていた。ユーナは、いきなり抱きしめてきた美湖に対して驚いていた。


「...あの、ご主人様?何を?」


 その質問には、美湖は答えず、さらに抱きしめる力を強める。


「ユーナちゃんが、これまでつらい経験をしてきたのは、わかるよ。だけど、それと僕が、ユーナちゃんの前から消えることとどう考えがあるの?」


「えっ、だって、気持ち悪くないんですか?」


「言ったでしょ、いつでも、僕を頼ってねって。それに、もし、吸血が嫌なら、ユーナちゃんを買ったりしないよ。心配しないで、ユーナちゃんが望まない限り、僕は君の前から消えたりしないよ。」


 そういって、さらに抱きしめる力を強める。ユーナは、美湖の腕の中で、泣き始めってしまった。


「だからさ、もうそんなことを言わないでよ。僕は、君のご主人様なんだから、もし、周りが、世間が、君を傷つけるなら、僕は喜んで君の味方になる。絶対に、君を見捨てない。」


「うっ、うう、ごじゅじんざまぁ、ありがどうごじゃいまずぅ...」


 ユーナは、美湖の腕の中で泣き続けていた。


「落ち着いた?ユーナちゃん。」


「はい、すみませんでした、ご主人様。」


「こら、もうそういうの、ナシって言ったでしょ?」


「はい、ありがとうございます。」


 泣き止んだユーナは、目元が少し晴れてるが、明るい表情をしていた。


「で、吸血だっけ?どうやってするの?」


「はい、では、ベッドで仰向けに寝てください。」


 美湖は、言われたとおりに、部屋にあるベッドに寝転がった。すると、その上から覆いかぶさるようにユーナがベッドに乗ってくる。そして、美湖の来ているハードレザージャケットを少しはだけさせ、首筋から肩を露出させた。


「ご主人様、きれいな肌ですね。」


「えっと、ユーナちゃん、結構大胆だね?」


 ユーナの行動に、今度は美湖が驚いていた。ユーナは、美湖の耳元に顔を近づけ、


「ご主人様のそういう顔、かわいいですよね。」


 そういって、ユーナは、美湖の首筋に舌を這わせた。


「あん、ユーナちゃん、くすぐったいよ。」


「失礼します、ご主人様。」


 ユーナは、美湖の首筋に歯を立てた。美湖の傷から一筋の血が流れた。ユーナは血をチューと吸い始めた。


「っ、あ、ユー、ナ、ちゃ、だめ、...あんっ。」


 美湖は、ユーナから与えられる刺激に悶えているが、ユーナは気にせず吸血を続けた。吸血は1分ほどかけて行われた。ユーナから解放された美湖は、ベッドの上で息を荒げていた。


「ハァハァ、ユーナちゃん。ほんとに大胆なんだから。」


「ごめんなさい。ご主人様。でも、さっきのご主人様、かわいかったですよ。」


 ユーナは、謝っていたがその顔は、妖艶な微笑みを浮かべていた。


「もう、ご主人様にむかって、そんなこと言って。でもまぁ、いいよ。必要なことだしね。」


 美湖は、息を荒げながら、ユーナをやさしく抱きしめベッドに寝転がった。


「ふぇ、ご主人様!?」


「もう、疲れっちゃったし、このまま寝ちゃおっか?」


「...はい、おやすみなさい。」


 二人は、ベッドで抱き合いながら、眠りについた。




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