探索者登録と、ゴブリンの買い取り
アリアが出してきた書類は、契約書の類の者らしい。ところどころに、何かを書く欄が設けられている。
「それでは、こちらの書類に、血を1滴たらしてください。」
美湖は、1滴垂らした。すると、紙の空欄部分に、美湖の情報が浮かび上がった。名前、年齢、レベル、がそこには記載されていた。
「これに、任意でステ一タス、スキルを記入して下さい。他の人に知られたくないことは書かなくてかまいません。」
美湖は、ステータス、スキルを正直に書いた。1つずつ書いていていくにつれ、アリアの顔が驚愕に染まっていく。
「...はい、書けました。って、アリアさん?どうしました?」
「いやいや、おかしいですよ?なんですか、このふざけたステータス!!」
アリアは、美湖が書いた紙を見て凄く興奮している。美湖の書いたステータスは、この世界を管理している女神様でさえ驚愕していたので、アリアの反応もわからないでもない。
「あの、ミコさん、申し訳ないですけどステ一タス見せて下さい。」
美湖は、自分のステータスをアリアに見せた。先程の、アリアの反応から考えて、アリアにしか見えないように。
「...はぁ、本当なんですね、わかりました。ミコさん、一応聞きますが、他の人にステータスを見せたことはありますか?」
「いいえ、ありません。」
「ならいいです。今後は不用意に他人にステータスを見せないで下さい。騒動の種になるだけですので。では、これが、探索者としてのクラン証です。紛失の場合は、銀貨一枚かかりますのでお気を付けください。」
「わかりました。ありがとうございます。…後、僕のステータスに関しては。」
「わかっています。漏れないようにしますし、クラン職員でもクラン員のステータスを見ることは、本人に見せてもらう以外出来ませんし。」
アリアは、完成した美湖のクラン証を渡した。金属製の青いプレートがキラリと光る。
「これで、僕も探索者なんですね。それじゃ、あとは、この町に来るまでに倒したゴブリンの死体を持っているので、それの処理をしたいんですけど、どうしたらいいですか?」
「ん?ああ、封札の能力ですね。では、目につかないほうがいいですね。別部屋にご案内します。」
アリアは、美湖は連れて、少し大きめの部屋へやってきた。大きなナイフや、血のしみ込んだ布など、動物をさばいたような痕跡が残っている部屋だった。
「ここは、持ち込まれた魔物や獣を解体するための部屋です。ここに出してください。」
美湖は言われたとおりに、ゴブリンを封じた銅のカードから倒したゴブリン8体を出した。
「...すごいですね、ゴブリンを8体ですか。解体はしていないんですね。処理はどうしますか?」
「そうですね、買取で大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。解体費用をひいて、銅貨50枚でどうでしょう?」
「と言われましても、僕は、この相場知りませんし。そちらにお任せします。」
「ハァ、あんなトンデモステータスなのに、常識には疎いんですね。信じるかどうかはお任せしますが、この際の金額はゴブリン一体につき10ルクス解体金額は一体につき5ルクス、少し負けておきました。」
アリアが、銅貨50枚を差し出してきた。それを銀のカードにしまい込んだ。
「すみません。まだ、こっちに来て間がないので。」
「まぁ、もし可能であれば、奴隷を買ってみるのはどうでしょう。少なくとも、あなたよりは常識があると思いますよ。」
アリアが零した一言が、美湖の耳にはしっかりと聞こえていた。