長い長い序章の果て
不思議な雰囲気の少女が、背中越しに話しかけてきた。
「今日は良いお天気だね」
それに笑顔で「そうだね」と返すと、少女はにんまりとした笑みを《私》に向けてくる。
「こんなお天気の日に、とても嫌なことがあったら悲しいね」
今度は疑問符が浮かんだ状態で、それでも笑顔で「そうだね」と答えた。
語尾の調子が、少し上がった。
その笑顔の意味を知ったのは、そのやりとりから5分も経たぬ時間の、後。
世界に響く断末魔は、はたして《私》のものだったのか。
それとも、無残に紅く染まり始めた《彼》のものだったのか。
結局のところ、それを知る術はなかった。
・・・・私は、無力だ。
その言葉が無意味なものになったのは、一体いつの事だったか。
嫌な夢で起きた《私》は、すぐさまカレンダーを見た。
この時の事を、よく覚えている。
《私》はすぐさま、窓に駆け寄って天気を確かめたのだ。
空はとても薄い雲がかかっている程度で、晴れ、と言える天気。
胸を撫で下ろした。
晴天になった時の恐ろしさが、無意識と意識の境を駆け抜けた。
人というのはつくづく恐ろしい生き物だ。
どのような世界においても、時間があれば、どのような酷い環境であろうと、慣れてしまうのだから。
他の人がどうなのか、実のところ知らない中で、そんな事を考えていた。
少なくとも《私》がそうであった事は確か。
最初は、いくら時間があっても耐えられないだろうと考えていた。
けど、段々と、その世界に慣れて行った。
いつの間にか、それを『ゲームだ』と考えるようになった。
ただ、ゲームなのであって、遊戯ではない。
それだけが、私の中で唯一絶対の言葉となっていた。
世界を『紅』に染めない為に。
どうすればそうならないのか、無数にあるクリアする為の条件を小さな脳に叩き込んで。
―― やっと終わる。
そう思った時。
ゲームにはお約束の、絶望が訪れた。
物語とは、えてしてそんなものである。
誰かが幸せになったら、誰かが不幸になる。
《私》が幸せを手に入れる時。
それは《みんな》が不幸になる時。
それ以上は、手詰まりでしかなかった。
手詰まりになったらどうするのか?
このゲームは、ただ1つだけしか無かった答えを《私》に提示した。
消去。
消える。
消えて行く。
《私》という存在が。
消えて行く。
何か言い残した方が良いのかな。
無意味そうだから良いか。
―― でも
ただ一言
たった一言でも残せるのなら・・・・
「 ごめんね そらねくん ・・・・だいすきだったよ 」
――――
新しいものは何一つ無い 絶望の世界を2人の少年が訪れた
そしてそこにあるものを『奇跡』であると認識できたのも 彼等だけだった
彼等はそこに 自分達が追い求めている者がある事を知っていた
だからこそ 少年達は突き進んだ
彼等が探しているもの・・・・ それは 1人の少女
少女は かつて自分が書き上げた 一冊の分厚い日記帳の事を思い出す
日記帳に書かれた 数々の絶望と 悲劇と その結末を
― END ―
本当に一段落終わりました~。




