歪んだ運命
黒と白しかない空間で、声を聞く夢を見た。
『あんなの、嫌だよね?』
少女の不気味に響く声が、耳を塞いでも、聞こえてくる。
『嫌だったら、やり直せば良いのだよ』
それは夢であってほしいと願う。
手に握ったECTが、俺の口から発せられる言葉に合わせ、段々と鋭いレイピアの形に変わる。
あいつの持っているECTから、ひどく懐かしい声が漏れる。
あいつはそれを無視して、ECTを俺に向けて、俺と同じ言葉を発した。
あいつの持つ銃は、俺の漆黒のレイピアに反して、純白で綺麗だった。
破裂音が響くよりも早く、俺の身体は動く。
・・・・。
刹那、俺は動きを止めた。
黄金色に輝く、俺よりも年上で、でも俺とちょっとしか変わらない背丈の、あの人が、見えた。
その人は、笑っていたように思える。
苦しげに、何かを呟いていた気がした。
不意に、少女とは別の・・・・男声が響く。
《・・・・それで、良いの?》
それは、目の前でうなだれる人の後ろ・・・・あいつの持っている、薄桃色のECTから聞こえてきた。
あいつは・・・・彩芽は、うなだれる人の隣で、倒れていた。
黒と白だけの世界が、紅く染まっていく中、しっかりとしたその声が、響く。
《良くないよね?》
優しげで
《変えたいだろう?》
それでいて勇敢で
《いや、変えなければならない》
そして冷淡な声
《君が望むのなら》
思い通りに動かない体を、ムリヤリに動かした。
《俺は何度でも、君に力を貸すよ》
声に向かって、手を伸ばした。
後ろで、誰かが舌を打ち鳴らしたような気がする。
けど、それはもう、俺にとって『必要ではない者』の発した音で。
だから、無視した。
ゆっくりと、しかし本当はほんの一瞬の事だったのかも知れない。
しっかりと、けれど本当は頼りなかったかも知れない。
―― 俺は、彩芽の持っていたECTを、強く握り締めた。
もうちょっと続きます。那由他君。




