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叔父とわたし  作者: 周五
4/13

きづく

読んでくれたかた、ありがとうございます。まだまだなにも起こりません…すみません。

 叔父とはあの日以来、叔母の話はしていない。


 叔父自身、叔母のことを話す口調からして気にはしていないようではあったが。


 わたしが、気にする。


 大切なひとを失う辛さはわかっているつもりだ。そして、それに触れられたときの痛みも。


 10年経ったいまでも、まだ、引きずっている。


 叔父と暮らすようになって約3ヶ月。ここにもずいぶん慣れた。


 森の奥に家があるため、買い物やら不便こともあるけれど。


 伯母と一緒に住んでいたときよりも断然居心地がよかった。


 わたしのことに干渉しないところは伯母も叔父も変わらないのだか。


 伯母の場合、それは無関心であったり、興味がない、どうでもいい、などわたしとかかわるのが面倒という態度であった。


 だが叔父は。


 わたしの側にいないだけで。


 いつもわたしのことを気にかけてくれている。


 なにかをしているとき。


 なにもせず、ぼーっとしているとき。


 ときどき、あたたかな視線を感じることがある。


 一瞬だけ。


 たったそれだけで、わたしは幸せな気持ちになる。


 まもられている。


 わたしの存在が肯定されている。


 わたしはここにいてもいいんだ、と―――




 叔父とまともに顔をあわせるのは食事のときくらいである。


 食事は叔父が作る。


 いかにも男の手料理、といった感があり、一見雑に見えたりするけれど味はなかなかなものだ。


「叔父さん、野菜が大きい」


 本日の夕食は根菜類と鶏肉の煮込み。


 フォークにじゃがいもを突き刺し、叔父に見せる。


 大きさがバラバラのじゃがいもやられんこんやらがごろごろお皿に入っている。


「文句言わずに食え。味にかわりはないだろうが」


「見た目も大事だよ」


「不味いよりマシだろ。文句言うな」


 叔父はさっさと自分の分を食べ終えると食器を流しへ運んだ。


「残すなよ」


 後片付けはわたしの担当なので、水をはった桶に皿を浸けると叔父は部屋を出ていく。


「うう…」


 わたしはうらみがましい目を叔父の背中に向けた。


 食べる物に好き嫌いはない。ただ、量が食べられない。


 そして叔父はそれを知っているのに、あえてたくさん盛り付ける。


 たくさんといっても、成人女性ならなんなく食べきれる量だ。


 ここに来たばかりのときは、いまの半分も食べられなくて、叔父をあきれさせた。


「だからこんなにひょろっとしてるのか」


 そう言って叔父に抱き上げられたときには顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。


 細いと言われたからではなくて。


 男のひとに抱かれたからで。


 同年代の男の子たちとは、なにもかもがちがった。


 おとなの男性。


 しっかりとした安定感。


 抱かれたときの安心感。


 熊に似ている顔がぐっと近づき、叔父の匂いがした。


 取り乱した様子に気がついたのか、叔父はわたしの体をおろした。


「すまん。つい…」


 なにかあると頭を掻くのは叔父の癖らしい。


 だからいつもボサボサなのだろうか?


 わたしは顔を赤くしたまま、叔父の顔を見つめる。


 叔父はぽんぽんとわたしの頭を軽く叩くと


「悪かったな、もうしない」


 そう言った。


 悪くなんかない。もっと…


 口に出しそうになって、こらえる。


 わたしはいま、なにを言おうとしていた?


 そのときわたしは気がついてしまったのだ。


 自分の気持ちに。



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