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転生軍師リリスとノルの魔獣戦記(最弱ハンター、二度の覚醒を経て最強へと至る)  作者: たぬころまんじゅう


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商会立ち上げへ

「倉庫はどうする?」


カレンが訊く。


「帝都の外れに小さな倉庫を借ります。たぶん、年間400~600万ディナーリくらい。もしくは既存商会の倉庫を間借りしてもOKです」


リリスは指を折りながら、最後に初期費用をまとめた。


「ざっと計算すると……」

•登録料+証書手数料    300万ディナーリ

•帝都倉庫1年借り     500万ディナーリ

•馬車2台+馬4頭(中古) 300万ディナーリ

•予備費          200万ディナーリ

•羊毛200頭分(4月購入) 100万ディナーリ

•予備資本金        300万ディナーリ


「合計……1740万ディナーリです」


食堂が静まり返った。


「……結構かかるな」


ガルムと似たような感想をダグも呟く。


「でも、これで合法的に稼げるようになるってことね」


カレンが微笑んだ。


「それに、うちにはレミがいる。一度回り始めたら、すぐに元は取れるわ」


ログが大きく頷いた。


「おっし。商会名はどうする?」


リリスが少し照れながら、小さく口を開いた。


「私は……『黒曜商会』とか、どうかなって……」


全員が顔を見合わせ。


「いいんじゃねぇか?」

「リリスの提案だしね」

「決まりだな」

「黒曜商会、かっこいい!」


笑い声が食堂に響いた。


スカーレットは羊皮紙に書かれた「1740万ディナーリ」という数字を、眉間に皺を寄せて眺めていた。


「……これ、ちょっと待って」


彼女は静かに口を開いた。


「私たちの手元、全部かき集めても……300万ディナーリくらいしかないわ」


温まった空気が、急にまた冷たくなる。


「……え、ほんとに?」


カレンが呟く。


「子供たちが増えた分、穀物を買い足さなきゃいけないし……」


スカーレットの言葉に、全員が俯いた。軽くなっていた空気が、どんどん重くなるようだ。そのとき、ノルが小さく手を挙げた。


「あの……俺の住んでたカシルの街では、冬になるとドライハーブを袋に詰めて売ってたんだ。それを作るってのは……どうかな?」


ガルムの顔がぱっと明るくなった。


「そいつぁ、いいアイデアだ!不帰の森のハーブは質がいいし、アジト周辺なら子供たちだって手伝える。袋に詰めるだけなら数も稼げる」


スカーレットも微笑んだ。


「幸い、ここら辺に近づく人はいない。取り放題ね」


「でも……」


カレンが首を傾げる。


「それだけじゃ、やっぱ足りなくない?ほら、単価とかさ…」


ノルが苦笑いで頷いた。


「うん。一袋せいぜい150ディナーリくらいだから……」


また沈黙が広がる。すると、ダグがぽつりと口を開いた。


「そういや、魔獣の素材はハンターギルドじゃなきゃ売れねぇかもしれんけど……加工した場合はどうなるんだ?」


リリスが顔を上げた。


「加工品扱いですね。素材とは別の扱いになる」


ガルムが「どういうことだ?」と交互に二人を見る。ダグが説明した。


「スノウホーンの角。昔、俺の親父が教えてくれたんだけど、あれを細かく粉末にすれば、解熱効果があるらしい」


スカーレットが目を輝かせて続けた。


「それなら薬剤ギルドで買い取ってもらえるわ!正規ルートじゃなくても、加工品として流通できる!」


食堂の空気が、ゆっくりと動き始めた。


「……つまり」


ノルが呟く。


「ハーブと薬用の魔獣加工品で、なんとか初期費用を……」


「少しずつでも、稼げる」


最後はリリスが繋いだ。スカーレットが立ち上がり、決意を込めて言った。


「やるわ。全部やる!『ドライハーブの袋詰め』『スノウホーンの角の粉末化』黒曜商会は、絶対立ち上げてみせるわ!」


誰も反対しなかった。資金は底をつきかけている。おまけに食料も不足している。それでも、みんなの目に、もう諦めの色はなかった。




翌朝、日の出前からアジトは大騒ぎになった。


「さあ、それじゃあ。ハーブ大作戦、始めるわよ!!」


スカーレットの号令一下、子供たちは小さな籠をぶら下げて大はしゃぎで飛び出していく。


「今日は誰が一番たくさん取れるか競争だよー!」

「ミナちゃん、負けないもん!」

「テット、鼻水!鼻水垂れてるぞ!」


子供たちは鼻歌を歌いながら、ぴょんぴょん森へ飛び込んでいく。大人たちはその外周をぐるりと囲む形で、魔獣に警戒しながら、自分たちもガサガサとハーブを刈り取る。


「ほらガルム、そっちのローズマリー、根っこごと抜いてるでしょ!」


「うるせぇな。根っこまで香りが染み込んでるかもしれねぇだろ!」


ガルムが両手でローズマリーの株ごと引きちぎると、土がバサバサ飛び散る。


「それ根っこ付きじゃ売れないって!」


カレンが叫ぶが、ガルムはまるで聞いてない。


「昔、山で根っこ噛んでしのいだこともあるんだ。香りも栄養も満点だ!」


「誰もそんなの欲しがらないよ!!」


その横では、ログが剣を背負ったまましゃがみ込む。


「……これ、ラベンダーだよな?」


ノルが覗きこむ。


「違うよ、それ雑草」


「えっ、マジで?……俺、さっきから30束くらいこれ摘んでんだけど」


カレンが絶叫。


「30束も雑草集めてどうするの!?」


「いや、花が紫で綺麗だったから……ダメ?」


「ダメに決まってんじゃないの!」


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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