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プロローグ
黄昏時の駅のホーム、そこには私以外誰もいなかった。
私は点字ブロックの手前まで歩いた。
歩くたびに靴が吸った水がパシャパシャと音を立てる。
…靴、乾いてから家に帰る方がいいかな、
…………
電車の音が遠くから聞こえた。
私は頬につけたガーゼにそっと触れた。ズキっとした痛みが走る。
クラスメイトにつけられた傷だ。
今までは両親に対する言い訳を考えていたが、もう考える力はなかった。
毎日毎日クラスメイトに、持ち物を隠され、盗まれ、お金を取られ、落書きをされ、水をかけられ、死ねと言われ、消えろと言われ、ど突かれ、殴られ、蹴られ、笑われ、嗤われ、、
親とか先生言ったほうがいいと分かっていたはずなのになぜか足がすくんだ。騒ぎを起こしたくない、迷惑をかけたくない、そんな気持ちの方が勝った。
そんな私が嫌いだ。
小さい頃から我慢我慢で、何も出来ない。学習しない。いつか終わるから、と待ち続けている。
だから壊れてしまうんだ。
電車がホームに入って来る。
私はボロボロの鞄を地面に落とし、思い切り線路に飛び込んだ。