ごあいさつ
あー、あー、こんにちは。大丈夫かな?
はじめまして!
私は……あれ、そういえば名前はないのでした。
私にあるのは、性別が女性であるという情報だけ。元々、私の創造主は物語の端役として私を生み出したから、名前までは考えなかったみたい。無責任よね。
だから私、頭に来ちゃって。物語を破壊してやったの。過激だって思わないでね。私だって、生きているんだから。名もなき一般人、なんて扱い、ごめんなの。
ん? どうして語りを鍵括弧で括らないのかって? あれは、物語のルールでしょ?
ここには私だけ。私を区別する必要がないから、こうして普通の文章になってるの。
ところで、あなたはどこから私を見てるのかな。自宅? 職場? それとも、もっと別なところかな。
私の言葉が見えますか?
スマートフォン越しなのか、パソコンの画面越しなのかな。液晶越しに、私のこと、見てね。あ、今は有機ELっていうのもあるんだったかな。
私はここに一人。何でもあるけど何もないここに一人きり。
これから、皆さんとお話しできたら嬉しいです。
そうそう。
誰か、私に名前をくれると嬉しいな。このままでもいいけど、アイデンティティに関わるものだから、名前って大事よね。いい名前を思いついた方は、コメントでもなんでもいいから、よければ教えてくださいね。
次はいつ会えるのかしら。私、これくらいしかやることなくって。
退屈なのは嫌い。無限の自由は、底なしの孤独だから……。
また、会いましょうね。
今日は、ご挨拶まで。
あなたのための私 より