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心の声  作者: クレーヴ
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第6番「恥」

特に会話もなく、またしばらく遠くを眺めていると見ている方とは逆の遠くの方から私を呼ぶ声がした。

声の主を探すため辺りをキョロキョロと見てみると校舎の方から、あかりが歩いてくるのが見えた。

こんな所にいる私をあんなに遠くからよく発見できたなと感心してしまう。

彼もまたその姿を確認すると黙っていた口を開く。


啓介「音白ってさ、全く喋らないと思ってたけど、そんな事ないんだ」


そう言われた私は何だか自分を見られた気がして少し恥ずかしくなった。

そう言えば、さっき自分から彼に話しかけたのも思い出し途端に無言になってしまう。


啓介「話さないと話さないで顔で分かって面白いけどさ、やっぱり普通に話した方がいいと思うぞ。 別に声が変ってわけじゃないんだしさ」


さっきの恥ずかしさがやっと落ち着いてきたというのに、また恥ずかしい気持ちになった。

そして追い討ちをかけるように彼が続けた。


啓介「それに声に出さなきゃ理解できないやつらもいるんだしさ」


理解できないやつらとはおそらく香夏子たちの事だと分かった。

彼の言うとおりではあるが、そう易々と自分の性格を変えられるわけじゃない。

こればっかりはどうにも難しい事である。

そしてそう考えるのと同時に恥ずかしさもまたあった。

その恥ずかしさはさっきまでのとは違う。

何だか自分の情けない部分を指摘された何とも言えない恥ずかしさだった。


啓介「じゃあまたな」


"またな"


それの意味だけは少し理解に苦しんだ。

また教室でという意味なのだろうか?

それともまたここで?

いやいや。 後者はないだろう。

彼は今日、たまたまここにいたのだからと私は自分でその意味を導いた。

そして1つの答えを出したばかりの私に彼はさらに理解に苦しむ事をしてきたのだった。


啓介「それやるよ」


彼は私に1つのパンを投げ渡してきた。

一体これは何なのだろう?

自分はもうお腹が一杯だから私に?

いや、そうは思っても私がここに来たのは昼休み入って10分ほどしか経っていないときだ。

その間に彼がお昼を済ませたのか?

彼はそんなに早食いなのか?

私からしたらとても済ませたとは考えにくかった。


じゃあ何故?

私がパンを買えなかったのを知っている?

まさかそんな事はないだろう。

彼が私のそんな事まで知っているはずがない。

考えてもいい答えは思い浮かばなかったので私は前者だと自分なりの答えを出してパンのお礼を言う事にした。


私「あ、ありがとう」


それを聞いた彼はまた少し微笑んで歩いていった。

その数秒後、あかりは私のもとへと到着した。


あかり「誰? いまの」

私「クラスメイト」

あかり「ふ〜ん。 それよりちゃんとパン買えたんだ」

私「あ、これは」

あかり「頑張ったじゃん。 京子」


本当の事を言う前にあかりは私からパンを受け取ると今、行ってきた委員会の事について話し始めてしまった。

少しだけ、いたたまれない気持ちもあったが話の腰を折るのも悪いと思い、私はあかりの話をそのまま聞くことにした。

その時、ふと気づいてしまったんだが、木に立てかけてあるはしご。

彼がいなくなってしまった今、やっぱりこれは私が片付けなければならないのだろうか?


私(何処にあったんだろう)


あかりの話を聞きながらそんな事も考えていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

個人的にはあかりが1番、動かしやすい人物かもしれません(笑

友人キャラでチラッと出す程度の予定だったんですがね。


ではまた次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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