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心の声  作者: クレーヴ
28/32

第28番「共通」

朝。

いつものように支度をこなしているが、頭の中では同じ事を考えている。

失ったもの、それは声という音。

自分に起きた不可解な現象に悩みはやまない。

風邪? 喉がつぶれた?

色んな原因を考えたが一般的に起きるであろう声が出ない原因とは全く違う。

決まった音だけがどうやっても声として発する事が出来ないのだから。

何故、失ったのか? 原因は?

考えれば考えるほど頭が痛くなる。

1つ分かった事と言えば濁音はどうやら元の音と共に消えているみたいだ。

つまり、"そ" や "つ"の濁音、"ぞ" や ”づ"も共に発音する事ができない。

推測だが同じように"は行"が消えた場合、半濁音もきっとそうなるんであろう。


学校、あかりとの待ち合わせ場所へと向かうため家を出る。

とにかく何故、失ったかという原因、声を戻す方法を考えなければ。

それは雲をつかむような…手がかりは今の所、何もない事だった。


あかりと合流し、挨拶を交わす。

"う"は言えないので"おはよ"と。


さてどうしたものか…

普段喋るのが苦手という事で悩むという事は沢山あるが、喋れるという事で悩む事は初めてだ。

言葉を選ばないと会話に文字通り穴があく。


あかり「どうしたの? 京子。 考え事?」

私「あ、いや…」

あかり「あ! もしかして彼の事でも考えてるのかな? ん?」

私「・、・んな事ないよ!」

あかり「んな事ないって何その話し方。 アハハ、慌てすぎ。 カッコイイ~」


慌てとっさに出る言葉。

"そ"が言えなかったので言葉は荒くなったが会話は成立したようだ。


あかり「そういえば昨日は何かあったの? 先に帰っててなんて珍しいけど」

私「あ~と…」


何ていおうか考えていなかった。

というか聞かれるとも思っていなかった。


"クラスでちょっと話があって…先生の話が長くなりそうだったから"


駄目だ駄目だ。

考えた事は言えない言葉がある…少し変えないと…。


あかり「ふ~ん。 京子のクラスにしては珍しいね。 あ、そういえば昨日さ…」

私「?」


よく分からないがあかりが1人で納得してくれた?

その後も言葉を選びながら、何度か詰まったけれど無事に学校へと到着して教室へと向かう。

教室の彼は相変わらず外を眺めていた。

それを見ながら席へつく。

あかりと話してる時は気にする暇がなかったから気にしないでいたけれど、やっぱりおかしかった。

そうそれは、さっきだけではない。

確かにここ数日おかしかったんだ。

午前中の授業が1つ2つと過ぎていく中、自分で言うのはなんだが、私にしては珍しくノートもあまり取らずに考えていた。


昨日の話し合いの中や遅刻した時の先生。

おかしくはないかもしれないが、この前の家での母親の解釈。

そして今日のあかりとの会話。


共通する事は…。


午前中の授業が終わりチャイムがなる。

今週1度もなかった日課が私の前へと現れた。

しかしそれは今までとは比が違う威圧感。

恐る恐る目を上げ確認した姿、表情。


今までと共通している事は私を3人が見下ろしている事だけだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


終わりが近づくと何だか不思議な気分になりますね。

執筆していると、もうすぐ終わりか~とシミジミ思います(笑


ではまた次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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