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心の声  作者: クレーヴ
27/32

第27番「失った音」

「ちょっといいっすか?」


1番前の席から1番離れている1番後ろの席。

遠いようで近い。

近いようで遠い。

そんな声が耳に届いたんだ。

下を向いてることしか出来なかった私だけれど、その声だけには振り向いた。

声の主、彼は手を上げていた。


啓介「音白が言ってる事、本当ですよ。 先生」

香夏子「は? お前、ネッシーの肩持つってのか?」


少し怒ってるような香夏子は机を叩き席を立つ。

一方、眠そうな目をこすっていた彼だったが、どこか目つきが険しくなった気がした。


啓介「味方するも何も…全部見えてたんだけど? 窓から中庭で話してる音白と茂木、お前が」

香夏子「っ!」


その言葉を聞き、他の生徒も数人、口を開く。


「お、俺も見た…何か珍しかったから…ついしばらく」

「俺も俺も」

「私も…見た」


余計な事を言うと香夏子たちから何かされると思っていたんだろう。

黙っていた皆が彼の言葉を皮切りに私の真実を証明してくれている。


啓介「な? だけどそうなると気になる事が1つあるんだよな~」

香夏子「な、何だよ!」

啓介「何でそんな事、嘘ついたの?」


彼の言葉で香夏子は歯をギリギリとさせているのだろう。

少し震えているのが分かった。


啓介「だって音白と一緒に居たんならお互いが証人。 わざわざ嘘を言う必要ないでしょ」


香夏子は何も言い返せず、ただ黙り怒りをあらわにした表情を浮かべている。

私のほうをチラッと一瞬だけ見たが、それだけで私は恐怖を感じた。


ネネ「か、香夏子…」

香夏子「ちょっと借りただけだ!」


そう言いながらポケットから出した財布を佐藤さんへと投げつけ教室を出て行く。

後を追ってネネと久美も一緒にだ。

さらにその後を先生が待てと言いながら追って行った。

出る間際。


押足「今日はもう帰っていいぞ」


その一言で緊急の話し合いは終了した。

私にとっては数時間経ったような、流れる汗がそう思わせたんだ。

さっきとは一転して教室は賑やかな声で溢れかえる。

中には "やっぱりな~" "ネッシーがそんな事しないよね" と言っているクラスメートもいた。

嬉しいような…複雑ではあったが1つだけ確実に感謝するべき嬉しい事はある。

教室を確認すると慌てて鞄を持ち飛び出した。


校庭。

音楽を聴きながら帰る彼を慌てて追いかける。


私「け、啓介君!」


彼は足を止め振り返りニコッっと笑ってくれた。


私「さ、さっきは…」

啓介「よかったな。 疑いが晴れて」


彼はポンッと頭に手を乗せてそう言ってくれた。


私「あ、ありがと・」


その時、初めて不思議に思ったんだ。


啓介「お礼を言われる事でもないさ。 俺が見ててよかったな。 まぁ音白はそんな事しないだろうし、万が一の時は俺が犯人見つけてやったよ」


彼は握り拳を私に見せながら頼もしい事を言ってくれる。

何だか笑顔で楽しんでるような気もしたのが少しムスッとしたが、とにかく言い表せないくらい感謝した。

校門を出ると帰る道は違うので手を振りわかれる。

あかりには先に帰ってくれとメールしたので1人での帰り道。

その帰り道、家につくまで私はただ考えていた。


自宅。

家につくと気になっている事を確かめるべく部屋へと直行する。

自分の部屋、イスに座り机に置いた真っ白い紙に「あ行からわ行」までの五十音を書き、それを見ながら声を出す。

彼にお礼を言う時、私は "ありがとう" と言うつもりだった。

しかし言えなかった…"う"という言葉が。

紙に書かれた五十音。

黒く塗りつぶされているのは

"う" "そ" "つ" "ぬ" "め" "ら" "れ" 

それは言えなかった音。











……声が。










…………。










私の声が消えていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


という事でやっとここまで来たって感じです。

前から言っていた通り不思議要素がこれですね。

そして更新が遅い理由も忙しいのとこれです(汗

消えた音、消す音など考えると文章を考えるのにかなり時間がかかりますし、後々の事も考えると1話出来たからって投稿できないんですよ。

これ消しちゃ不味かった!なんて事が起きる可能性があるので。

最後までの流れも言ったとおり出来てるんですが文章組み立てで手間取っております。


他、詳しい事は完結後にあとがきを書く予定なので、そこで色々と言いたい事もありますね。

ではラストまであともうちょっとかな?

次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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