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心の声  作者: クレーヴ
21/32

第21番「近く」

空港内へと入った私たち。

何年前だろう…。

来た事はあるけれど、遠い昔。

確か小学生の時だっただろうか、とてもワクワクしていた記憶がある。

そして今も。

当時と同じリアクションをしている、そんな気がした。

私が目を輝かせながらキョロキョロと辺りを見ていると彼が顔を覗いてきた。

突然、人の顔が目の前に現れビックリした私を、彼は少しだけ笑い、あっちといった感じで手を伸ばした。

ほんの少し、笑った顔は嬉しそうな気がしたんだ。


1F、チケットロビーから3F、送迎デッキへと向かう。

ちなみにこれは入り口にあった案内看板で見た知識だ。

階段を上りながら彼が言う。


啓介「出発時刻は11時5分と10分。 その後は出発、到着、どっちも15時までないから見れるのは2つかな。 まぁ俺は1日見ててもいいんだけど」

私「え?」


急に詳しく話し出した彼に私は少し驚いて声をあげた。


啓介「音白〜。 空港内を見るのもいいけど当初の目的もしっかりな。 さっきロビーの電光掲示板に流れてたぞ」

私「ご、ごめん」


慌てて謝った私を見て彼は謝ることじゃないさと笑っていた。


3F、見学者デッキ。

一時的に外に出ることができ、幾つか木で出来たベンチが設置されている。

また子どもくらいの高さの鉄柵のそばには100円で覗く事が出来るようになる双眼鏡も置かれているみたいだ。

今の時刻は10時55分。

彼が言っていた時間までは、あと10分だ。

電車から降りたあとは、ずっと立ちっぱなし、バスが窮屈だった事もあり、私はベンチに腰をおろす。

彼は鉄柵に両手をのせ前かがみで飛行場を見ていたが、そんな私を見て隣に腰をおろしてきた。

あまりに近くに座られ、焦った私は少しずつ気づかれないように2人の間を少しあけ、私は右を、彼は左をのんびりと眺めていた。

他にも何人か見学者がいて声は絶え間なく聞こえるが、この空間には私たちしかいないような感覚に陥る。

それほど落ち着けるという事だろう。

空は青空、ゆっくりと動く雲に、聞こえるエンジン音。


啓介「そろそろだな」


私を促しながら彼がそうつぶやき立ち上がった。

2人、鉄柵に手をかけ校庭よりはるかに広いコンクリートの地面をゆっくりと、徐々に早くなるそれを眺めた。

まさに鳥のように。

待ってくれないそれはもっと見ていたい気持ちをよそに、空高く舞い上がり瞬く間に雲の中へと消えていってしまった。


啓介「やっぱ何度目でも生で見るのはいいな」

私「うん…凄い…」


あっという間の出来事に呆然と立ち尽くす私を彼は満面の笑みで笑っていた。

まだ空を見ている私を横に彼は指を差しながら飛行機の種類、飛行場の説明などをしてくれる。

そんな話を聞いていると2度目の飛行機が、また空高く舞い上がっていった。

瞳にしっかりと焼きついた、とても近くで見れた白い巨体。

1度目もそうだったけど、2度目もやっぱり同じように、あまり迫力に呆然としてしまったんだ。

だけど飛び立つ時に吹く強い風。

心地よさがある、そんな風も1度目と同じだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


リニューアルで少しばかり投稿が遅くなりすいません。

よかったら感想、評価、お気に入り等してもらえたら嬉しいです♪


ではまた次回もお願いします。

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