表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心の声  作者: クレーヴ
20/32

第20番「憧れの鳥」

2人きり。

電車に乗り込んだ私たち。

デートとは何処からがその言葉で表して良いのだろう。

そんなデートと言う言葉を使った事はない私は1人、頭と心の中で…。


"これはデート?"

"いや友達が遊ぶようなものだよね?"


ひたすらと景色も見ずにそんな事を交互に考えていた。

すると彼が私がよく見たことあるような画。

電車の窓から外の景色を眺めながら話し始めた。


啓介「小池さん、残念だったな。 用事でも出来たのかな?」

あかり「あ、うん…そ、そう言ってた」


そういえばあかり。

用事と単純に答えを出して良いものでもなかった。

他の事ならあかりを疑う余地はないのだけれど、このシチュエーションだと話は変わってくる。

何だか意図的なものを感じてならないのだ。

だけど、今しばらくは本当の真実を確かめる事が出来ないわけで、今度はこれからについて考える事にした。

今日1日、ちゃんと話せるのだろうか…ちゃんと行動できるのだろうか…。

むしろ今日という日を生きて終えれるのだろうか。

いつもの事ながらネガティブ全開の考え事をしていると電車は降りるべき場所のアナウンスを告げた。

彼は外の景色をずっと眺めており特に会話はなかったが、むしろそれでよかったと思う。

もしかしたら飛行機を見るときも彼は静かに見るんじゃないだろうか?

景色を見るときは、ただ黙って遠くを見つめる彼。

そんな学校での彼の行動と照らし合わせると少し安心感も出てきたのである。


当初の予定通り電車を降りバス亭へと向かいバスに乗る。

当初の予定と違う所といえばあかりがいない事だけだった。

流石に休日という事と空港の近くだけあってバスは混んでいる。

座る場所がなく2人、乗り口を少し入った辺りで立った。

混んでいる車内、揺れる事もあり左右、前後に私自身も少し揺れる。

5分ほどとはいえ、あまり居たくはない空間だ。

そしてそれはもう1つ。

居たくない空間と居たい空間の境界を彷徨っていたのかもしれない。

彼が私の肩に軽く手を置いてくれている。

樹の上の時と同様、いや、あの時より遙かに早く気づける事ではあったが、何とも自然すぎる行動である。

2つの空間のせいで私は降りるときには、この季節には珍しいくらいに汗をかいていた。

彼はそんな私を見て少し笑っていた。

そしてそんな彼の表情を見た私の表情を見て、謝りながらハンカチを渡してくれたのである。

渡されたハンカチを使うか否かを考えていたせいで汗はしばらく止まらなかったわけではあるが…。


松本空港。

駅についた時にも聞こえていた音が一段と大きく聞こえる。

空を見上げると、まだかすかに飛行機雲のあとが見えるような気さえした。

彼も私と同じように音を聞きながら空を眺めているようだ。

傍から見たら、一体どういう風に映っているのだろうか?

空港の入り口の前、いい歳をした男女がバカみたいに空を見上げているのだから。

とんだ田舎者が初めての空港、初めての飛行機に圧巻されているのか、それとも俗に言うバカップルにでも見えているのだろうか。

どれくらいかは分からないがしばらく空を見ていると辺りは夜になったかのような暗さが一瞬、訪れる。

大きな機体が作る巨大な影。

その下で今までより、確かに近くに見えた憧れの鳥。

それを見た私たちのテンションは…いや彼がどうなのかは分からないがテンションのあがった私は何だか鳥肌がたってしまった。

そんな違う鳥を体で表しながら私たちは少し上を向きつつ建物の中へと入ったのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


周辺の事は自分のオリジナルですが、建物内は実際の構造同様にするつもりです。


ではまた次回も読んでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ