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心の声  作者: クレーヴ
10/32

第10番「準備」

啓介「じゃあ音白の空いてる日でいいからさ、また教えてくれよ?」

私「う、うん」

啓介「場所は…ここでいい?」


2度目のクエスチョンには首を上下に動かして答えた。

それを見た彼は "じゃあまた" という感じだろうか?

手を軽く振ると図書室の出入り口に向かった。

空いている日…。

私は基本的に忙しいなんていう日はないのだから、その場で返事をしてもよかったのだけれど少し心の準備も必要な気がしたので黙って見送った。

彼が出て行くのを見ていると彼が出入り口で少し立ち止まり誰かと話しているのが分かった。

話しているといっても、ほんの数秒。

話したというよりは挨拶をしたような感じだろうか?

そして誰と話していたかはすぐに分かった。

出入り口から満面の笑みで顔を出してきたからである。

…。

しまったとしか思わなかった。


「見たよ。 見てたよ。 見ちゃったよ〜」

私「……あかり。 何でここに」

あかり「こっちに向かうのを見たって友達がね」


あかりの友達だろうか?

この時ばかりは心の底から私を目撃したという、その友達に何とも言えない怒りを覚えた。

何故、こんな影が薄いと言ってもいい私なんかを目撃したんだ。

いや、だからこそ逆に目立ってしまったのか?

そんな悲しいような事を考えていてもしょうがない。

この状況を、あかりに何と説明しようかという考えに切り替えた。

しかし、こんな現場を目撃した彼女の怒涛の攻撃に私は耐えられるのだろうか?


あかり「で、何の話?」


何とも直球なのであろうか。

もう清清しくさえある。


私「あ、あ〜。 ちょっとクラスの用事で…」

あかり「ふ〜ん。 で、何の話?」


私の言い訳がばれているのだろうか?

それとも素直に何の話か聞きたいのだろうか?

それを確認しようとすればドツボにはまるのは、きっと私だろう。

ここは…。


私「…あの…役員で…話し合いを…」

あかり「な〜に言ってんの、京子。 私が聞きたいのはそんな嘘じゃないわよ」


ばれていた。

あかりの満面の笑顔が悪魔の笑顔にすら見えた。

観念した私はあかりに本当の事…。

勉強を教えるという事を話したのだった。


あかり「ふ〜ん」


"ふ〜ん"と言いつつあかりの顔は笑顔が絶えない。


あかり「で、で、いつ教えるつもりよ?」

私「まだ決めてない」

あかり「よし! じゃあ明日!」

私「ちょ! ちょっと…そんな早くは心の準備が…」

あかり「そんな事言っても京子の心の準備は絶対終わらないでしょ? 出発せずに準備で終わり。 それじゃ駄目よ。 色々と」


あかりの言う事は当たっていた。

確かに心の準備が出来たらと言っても、きっと私の準備は終わる事はないだろう。

それならば準備せずに出発。

この思い抱えたまま日々を過ごすのなら早く教えるに越した事はないかもしれない。

しかし1つだけ気になった事がある。

あかりが今、最後に言った言葉。


"色々と"


これは何となく察しがついているのだけれど聞いてみた。


私「色々って?」

あかり「あ…いや。 京子にとってね。 こんな機会ないじゃない? いい機会だし動かなきゃ!」


少し慌てているあかりを見てやっぱりと思った。

あかりはこういう事が大好きなのである。

ましてや私。

恋愛なんて無関係と言っても過言ではない私が男子に勉強を教えるなど、これほどワクワクな展開はないのであろう。

しかし、あかりはそこら辺の人みたいに冷やかしで楽しんでいるわけではないと言う事は私が1番理解できる。

純粋に私を応援してくれているんだと。

昔からあかりはそんな優しい人なのだ。


あかり「じゃあ決定でいい? あ! もしかしたらまだそこら辺にいるかもよ? 伝えに行こうか」

私「い、いいよ。 自分で…伝えるから」

あかり「大丈夫?」

私「た、多分」

あかり「頑張ってね!」


そう言いながらあかりは私の手を握ってきた。

私からしてみれば大胆すぎる行動が私の中の歯車を制御しきれないほどの速さで動かすのだが、やっぱり、あかりは昔から変わらず優しい人のままだという事が分かった。

その日の帰り道。

あかりは私に色々とアドバイスをしてくれたが大胆すぎて、とても私には無理な話ばかりだったのである。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


さて勉強会。

突発的に取り込んだ話ではあるんですがどうなることやら…。

まずは返事ですね。


ではまた次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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