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#023

二日目の朝が来た。

今日の朝食は目玉焼きを使ったコンフィだった。具も魚らしい。卵が新鮮で、非常に美味だが、卵の黄身はどうしても黄色っぽくなる。

朝から目玉焼きが食べられて幸せだ。


「アイビス、これが昨日言っていた目玉焼きか」

「はい、その通りです!」


もう、目玉焼きは見飽きているだろうと思い、アイビスが作ったのを目玉焼きにしたものを用意した。

俺の好物だ。アイビスは俺のために頑張ってくれた。それに報いたい。


「目玉焼きに、卵の黄身を一緒に食べるのですね。美味しいです」


アイビスが目玉焼きを口にして笑う。

彼女の笑顔が見れて俺は幸せを感じていた。


「卵と、黄身と卵の黄身を一緒に食べるのは、すごく贅沢です! 卵が栄養たっぷりだし、黄身が苦くなくていいし。何より幸せ、これぞ目玉焼き!」


アイビスが目玉焼きを食べて、うっとりした顔で口を押えて幸せそうにしている。

なんだか、変なところでこの子の作る料理へのセンスは鋭い。


目玉焼きの他にも、さまざまな種類の野菜を新鮮な川で収穫して持ってきていた。

これらの野菜は川で捕まえたものだ。

そして昨日と同じ材料を使って茹でる。


茹でると聞いて不安になっていたアイビスも安心した様子だ。

俺も安心していた。

卵は黄身がしっかり固まっていて、くせが強いがなんとか食べられる。


昨日は卵を茹でるときに苦労したが、なんとか食べられるものだった。

卵の黄身が固まるのを見守って俺は目玉焼きを頬張る。

う~ん、塩を控えないと、濃い目の黄身だときついな。


さくっと、歯ごたえがいい黄身がいい味を出していて、それでいて黄身が柔らかかったのでついつい美味しく食べてしまう。

具は海藻とキノコ、それにベーコンが入った塩がけにしたスープに、パンだ。


ベーコンがいいのは、海藻の味が濃いことと、塩分が含まれており風味を良くしているのが大きい。

よく味が染みていてうまい。

パンでもいいのだが、ベーコンがあるともっとうまい。


「相変わらず、美味しそうに食べてくれちゃって」


アイビスが俺の様子を見て嬉しそうだ。


「アイビスの作る料理は最高にうまいからな。昨日の目玉焼きもそうだし、今日の目玉焼きもそうだ。なにより、黄身が柔らかくてうまい」


そう、俺の好きな黄身は、白身は淡泊で、赤の部分は淡泊で甘みがあり、味は淡泊、卵は旨味たっぷり。


黄身も淡泊で癖がなく、スープにして食べると、たまらなく美味しいのだ。

チーズでもあればもっとうれしいのだが。


「タロウ様、もしかして目玉焼きに不満があるのでしょうか? もし、それなら謝りますので……」


アイビスが耳をぺたんと下げた。

あまりにも悲しそうな顔をされて、思わず声をかけてしまう。


「いや、俺の好きな料理だからな」


アイビスの気持ちがうれしくて、ついそんなことをいってしまった。

すると……。


「ううう、タロウ様の好みにあわせられたいがために頑張ったのに。それにその、私は黄身が嫌いだったり、卵が黄身が大嫌いだったり。でも、タロウ様のために頑張って黄身を頑張って黄身を減らしましたし、卵もなんとかタロウ様の好みに合わせるために頑張って黄身減らしました。でも、味が落ちた気がして、こんなにも美味しく感じません。ううう、哀しいです」


アイビスが目に涙を浮かべていた。

アイビスが泣いている。


「アイビス、ちょっといいか」

「ううう、ごめんなさいタロウ様。でも、でも、急にそんな」


アイビスが顔を手で覆い隠す。

そんなアイビスが可愛くて、俺はその頭を優しく撫でた。


「アイビスが無理をしなくていい。アイビスは俺のためにがんばってくれたんだろう?」

「私は、タロウ様のためを思って……タロウ様が悲しそうだから、悲しくなっちゃっただけで、その、嫌いになんて思えなくって、だから」


アイビスがぎゅっと俺にしがみついてくる。


「アイビス、これからは無理しなくても俺が好きだって言ってくれればいい。俺がアイビスにそうしたいんだ」

「タロウ様がそうおっしゃるなら、そうします」


そう言ってアイビスが俺の胸に顔をうずめた。

泣いているアイビスの頭を撫でてやる。


アイビスに辛い思いをさせてきたのは俺だ。アイビスに嫌われているのは嫌だが、アイビスを泣かせるのはもっと嫌だ。

アイビスの泣き顔が、そんな俺の気持ちを許してくれた。


しばらく、二人の嗚咽が響く。

泣いているうちに涙が枯れた。


「ごちそう様、アイビス」


結局、アイビスは卵と黄身を減らしただけじゃなく、さらに、俺が苦しむかもしれないと思った上で、俺に食べさせた。

ちゃんと、俺のことを考えてくれたアイビスに感謝しないといけない。


「アイビスありがとう。おかげで、なんとか美味しくできたよ。さっそく朝食を食べるか」


今日作るのは、目玉焼きと、目玉焼きとパンを細かく切り刻んで入れるパンだ。

さっき卵を茹でるときに黄身の量も計算した。

朝は卵を茹でてからパンを細かく千切り、黄身にフォークで混ぜて黄身にする。

だけど、スープにするとしたら……。


「茹で卵にするのと、パンを細かく千切るので、千切りのほうが楽にはなるだろうな」


朝から目玉焼きとパンか、かなり贅沢だ。

だけど、卵は一日もすれば手に入る。

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