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#016

「ん……う……おぉ……」


瞼を閉じると次に意識がハッキリしたのは何時だろう。

俺は再び微睡まどろみに誘われるが、ふと今の状況と現在の状況を思い出して一気に覚醒した。

辺りを見渡して状況を確認する。どうやらあの洞窟が最下層のようだ。

どうやら俺はこの小さな洞窟の中で寝ていたようである。


「うーん、確かあの後どうなったんだっけ……」


とりあえず、起きようと身体を起こした。

しかし、身体の節々が痛い。

どうやらあれから結構時間が経っているらしい。


「えーと、確か朝方に霧が晴れてから寝ぼけて洞窟の中を歩いてて……」


とりあえず記憶を辿って周囲の状況を確認した。

どうやらここは小さい洞窟の天井付近のようである。どうやらあの霧のせいでかなり暗い洞窟にいたようである。

さて、状況から察するに、俺はあの霧のせいで意識を失った。

そしてその霧を晴らしたことによって洞窟の迷宮エリアから脱出出来たと仮定しよう。


「ということは、晴れていれば明るい内に出口まで行けたってことか!?」


そうと決まれば行動は早い。

俺はこの洞窟にあった唯一の石片をアイテムボックスから取り出す。

近くに転がってたお手頃な大きさの石を洞窟の入口に向かって放り投げた!


「っと、ここは……」


壁にぶつかるような音がしたが気にせず投げる。

すると石片は見事俺の近くに転がってきた。


「おおっ……これで晴れてれば脱出出来たことになるんだよな?」


更に洞窟内に石片を放り投げる。

石片は壁に当たると少し上方へと逸れて再び俺の近くに転がってきた。


「おぉ、これは凄いな! 何個か石がここにあるってことは、誰かが俺が抜け出すのを教えてくれたのか?」


暫くそうして石屑を投げたり、石を運んだりしていたが、結局どれが脱出用の石なのか判断がつかないので、洞窟の入口に向かって再び投げてみた。

先程と同じように石が転がってきたりはしないので安心して投げ続ける。


「……これで脱出出来たってことになるのか?」


石片を投げ続けているうちに、どうやら脱出に成功したようであることを感覚的に把握できた。


「というか、なんで迷宮の壁が抜けてるんだ?」


先ほどの石が落ちた穴と迷宮を隔てる壁を見ると、さっきまでは普通に見えていた壁が見えない。

脱出口を見付けても良さそうだが一体この穴はなんだろうか?

そんなことを考えながら少しの間洞窟の中を探索してみた。

一通り内部を探索した俺は、さっき投げて落とした石が詰まった大きめの袋を確認してみた。お手頃な大きさの石だ。

何かに使えそうだし、これは持っていこう。

そうして俺は手に入れた袋を背負い洞穴を後にして村へと帰還した。


「よっすお、無事脱出してきたでー。って、外に居るなんて珍しいねぇ。ひょっとして一人で抜けてきたのかい?」


村に着くと、丁度食料を取りに行っていたのだろうおばちゃんが俺を見つけて声を掛けてくる。


「いや、一人じゃないけどさ。っと、そうそう。今日はちょいと外に用事があって来たんだ」


「おお、そうかね。まぁ無理しちゃ駄目だよ。この村は逃げたりしないって領主様もおっしゃられてるからさ」


俺のことを領主様、というか村長と呼ぶってことは、ここの村人では俺のことを知らない者は居ないってことか。


「ありがとな、そう言ってもらえると嬉しいよ。ところでさ、ここから脱出する方法を一つ探してみたんだ」


「ん? なんだい、何か探してるのかい? そんな石や探し物を村で探す奴は滅多にいないと思うけどねぇ」


おっ、どうやらこれは朗報だ。つまり、俺の力でこの村から抜け出すことが出来るということだ。


「もしかしたらこの村を脱出できるかもしれない方法を見つけたんだけど、おばあさんに聞きたいんだけど、ここからどこに出るのが良いと思う?」


「村から出るっていうのかい!?」


「そうそう、その方法なんだけど、ここから一番近い所にある山の頂上に洞窟があるんだけど、そこが脱出に一番近い」


「なるほどねぇ。あんたは物知りだねぇ」


「まぁとりあえず教えてくれないか? なるべく早いほうがいいからね」


「そうかい、それならこっちだよ」


そうして案内されたのは村のはずれ。確かに危険な場所ではあるが、俺の走る速度ならば走り抜けられる。


「それで、どうするんかい?」


「勿論、その洞窟に潜るよ」


そう言って俺はアイテムボックスから先日捕まえたあのゴブリン達の持っていたあの石コロを奪って思いっきり洞窟へと投げつけた。

俺の行動を感じたのか石コロを投げつけた位置に居た数匹のゴブリンは俺を引き剥がそうと振り下ろそうとしてくる。しかし、石コロはそんな魔物達の行動すら止めることは出来なかった。石コロの周囲が強烈な稲妻が走ったかのように稲光を放ち、瞬く間にその魔物達は消し炭になってしまってしまった。

やばい、めっちゃカッコいい。ちょっと感動してしまった。

やがてそんなキラキラした俺の姿に感化されたのか、ゴブリンが俺の姿を再び捉えようとゆっくりと近づいてくる。


「よっと」


俺は石を『投げ返した』。すると石コロはゴブリンの元へと高速で飛んでいくと炸裂。その強烈な光に照らされて、ゴブリン達の姿を灰すら残さず消え去ってしまった。


「おおっ!?すごい!」


完全にゴブリンは消し炭になっていた。ついでに落とした石コロも粉々に砕けてしまっている。あまりの威力に魔法耐性の高いゴブリンですら一撃で葬ってしまった。威力についてはともかく、これならもしかしたら使えるかもしれない。


「こりゃぁたまげたね。まさかそんなすごい方法を持ってたとはねぇ。でもそうなるとこの一帯はすぐにゴブリンの物になっちまうかもしれないよ?」


「そこは申し訳ないけど諦めることにするよ」


おばちゃんには悪いが今の俺はとにかく一刻も早くこの森を脱出したいのだ。

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