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#012

……どうしよう!もしかしていやな想像ばかりが広がっていくのだけれど

現実、現実よ。


お父様も、タロウのお父様も、ジョンお兄様も、

アリスの弟や従姉妹、その他クラスメイトも

全てが攻略対象の令息。ゲームの強制力みたいになってるの

おそらくこの状況は、強制力が働いてるんだと思うの。


この先、私とアリスは、学校で出会う機会があるだろうか?

ない。


少なくともゲームでは、こんな風に、アリスと攻略対象者との接点は

殆どなかった。私は一応伯爵家の一人娘だし

アリスは伯爵家の一人令嬢、その娘と私は男爵家の娘。

接点も、友達と会話をする機会も、当然無い。


入学式で私は、お父様やお兄様、クラスメイトの皆に挨拶をするだけ。

挨拶だけだと誰でも思うかもしれないけれど、私にはお父様が言っていることが

良くわからなくなってきた。だから私は、お父様を見て言葉の続きを待つ。

お父様からの言葉は、殆ど分からなかった。


『私は、君が私の大切な娘である事を疑いはしない。

けれど、私の愛する人物である君を、そのような悪者共には

渡したくない』


と、お父様が言った一文。


私を、酷い人間だという、一人の女の子に。

ゲームの中では、優しく、紳士的に微笑んでいたのに。

実際に、ゲームではそう描写されていただけに、今でも少しショック。


だってそう、本当にお父様は、

私を、愛している人なんかじゃない!

優しいわけでもない。そもそも乙女ゲームにこんな描写ないし!


まぁ確かに、今まで私、乙女ゲームのアイビスに出会ってすら

ほとんど話さなかったけど!


大体、アイビスは乙女ゲームにも携わっていたし、そのゲームも

確か攻略対象者全員に攻略方法が書かれていた。

クリア後私は、攻略しなくちゃいけなくて、でもアイビスには、どうしても

近付かないでって、言われてたし仕方ないって

自分が思っていただけに、仕方が無いっちゃ仕方ない。


仕方ない、どうしようもない。

それに、ゲーム通りに進んで、この先幸せになれるわけがないし。


でもお父様と、話したりゲームの再現映像を見たりすると

私が、アイビスじゃないんじゃないかなんて疑いも、どうしてもしてくる。


それは正しい疑惑。でも間違い。

ゲームのシナリオに沿った、正しい判断。


そう、ここはゲームの世界じゃないんだ。

現実に生きているんだ。


ただ、ここで私が正しいことを主張しても、

アイビスじゃないという、一方的な理屈に論破されるだけ。

なら、私にできることはただひとつ。


ゲームのヒロインは、私じゃ無い。


……でも、アイビスは私に嘘をついた。

……アイビスが、私が好きだったと告げた。


そう、そうだ。アイビスは、愛を疑われて怒っているだけ。

私はアイビスに、愛を疑われていなかった。

アイビスは、私が愛されているんだと思い込んでいる。

……つまり、私では、ない。


だから、やっぱり私は、自分の本当の気持ちを伝えて、

自分の気持ちを告げたほうがいいと思う。


正直、学校やジョンに、アイビスに会いたくないと伝えると、

アイビスはとっても暗い顔をした。


何故?傷つく。というかどうしてアイビスはそんな顔をするの?

私の気持ちが嫌だったの?いや、そんなはずない。

では、何で?


「お嬢様、体調が優れないところ大変申し訳ないのですが、

レオナルド先生を呼んでもよろしいですか?」


アイビスが暗い顔をしているから、逆に元気が出る。

そうだ、学校に行かないと。

学校に行かなきゃ。きっと今私は酷い顔をしている。


「ええ、いいわよ。お父様が、何か言ってきても、

丁重に学校で迎えてちょうだいね」


お母様は、

「学校、行きたくない」と、言い、その日はレオナルド先生のところに泊まり、

お父様を説得して、学校に送った。


アイビスはやっぱり私じゃない、そう思ってくれているのかなー。

それともやっぱり、ゲームの記憶が覚醒してない?

もしそうなら、私のこの気持ちも安心するのかな。


学校が始まり、少ししてから、

レオナルド先生に会いに行こうとすると、廊下の奥から声がかかった。


「あの!貴女宛てにお手紙があるのですが、

放課後に校舎のどこかにある、職員室まで取りに来ていただけませんか」


レオナルド先生に伝言を頼まれた。

職員室……?確か、職員室にはレオナルド先生しかいなくて、

職員室に用事がある時は、案内係りか、職員室から職員室に行き、

そこから職員室へ行く、って言ってたはず。

職員室に行けば職員室に居るっていう手紙で、

一緒に校長室まで行けば、会えないってこと?


「今日用事があるので、学校を案内できる人で、

出来れば男性と女性でお願いしてもいいですか?」


「男性で、女性ですか?」


「はい、僕のクラスに入りたいということでしたので」


何てことだ。

女子生徒が、学校に来るなんてありえない。


どうしよう。

しかも男の人を、お願いしてるなんて、何かおかしい。

……どうしよう。うーん。

だめだ。多分この学校じゃ、私は正常。

そうだ、レオナルド先生が怪しいな。

そう思って、職員室に行けないように、ドアを開け、職員室を覗くと、

レオナルド先生が、難しい顔をして職員室の机で何かを書いている。

その机の前に、一人の男子生徒が立っていた。

その男子生徒を目で追うと、私と目が合いそうになった瞬間、視線をそらした。

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