第1話 「絵本」
はじめまして
素人の作品ですので読みづらいところが多々あるかもしれません。
誤字脱字や文書表現にアドバイス等ございましたら、どうかご教示くださいませ。
1、転生
第1話 「絵本」
夜も更けた頃、とある家の窓から灯りがこぼれる。
都市モノノモでは、比較的高価な土地にあるその家には3人家族が住んでいた。
「ママー、絵本読んで!」
女の子は両親に大切に育てられた。
そのお陰だろうか、6才になった今でも未だに甘えん坊の節が残ってしまった。
「どの絵本かしら」
母親は女の子の頭を優しく撫でた。
女の子は優しい手の温もりを感じ思わず笑顔になる。
「ニアは絵本が大好きなんだな」
父親の低くい声と優しい口調が安心感を与える。
ニアは後ろ手に持って隠していた絵本を両親に差し出した。いくつもある絵本の中でこの本は特別大好きな作品だった。
両親は嬉しそうに娘であるニアの持ってきた本を手に取る。
「あらあら」
「ニアはこの絵本が特にお気に入りなのかな?」
「うん!大好き!」
ニアの弾けるような笑顔は小さな灯りで照らされた家の中をより一層明るくさせるようであった。
両親がニアから受け取った絵本は勇者と魔王の話であり、知らぬものがいないほどのとても有名な話で、絵本や小説、演劇などにもなるほどの話であった。
「じゃあ、読むわよ」
『昔々あるところに魔王がいました。
魔王は森を焼き払い、湖を干上がらせ、大地を割り、人々を 苦しめていました。
そんなとき、勇者がこの地に現れました。
勇者は魔王を討伐するため、各国を順に回り回って仲間を募ってきたのです。
勇者の仲間達は、それぞれ魔王の手下や幹部を相手に素晴らしい戦いをしました。
そんな中、勇者は1人で魔王のもとへ行くと、1人で魔王と戦うと言いました。
壮絶な魔王と勇者の戦いは三日三晩続きました。
4日目の日の出の時、ついに決着がつきました。
魔王が突然その姿をこの世から消したのです。
勇者はボロボロになりながらも仲間達の元へ帰りました。
優しい勇者は、魔王によって滅ぼされた大地に種を植え、賢者と共に雨を降らせる魔法を唱え森を作りました。
更に、勇者は仲間達と手を取り合って人が住めるように、家を建て、畑を耕し、水路を引き、生活環境を整えたのでした。
やがて荒れた大地は元の綺麗な大地へと戻りました。
その頃に勇者は魔王が支配していた外界を一望できる崖の上に魔王の墓を作りました。
魔王のお墓を作ることに人々は反対しました。
それでも勇者が魔王のお墓を作ったのは、勇者が優しい心の持ち主だからでした。』
「あらあら、寝てしまったわ」
「なんて可愛い寝顔なんだろ」
両親は、二人の間で寝てしまったニアの額にそれぞれ、そっとキスをしてから部屋の明かりをして床に着いた。
それから10年が過ぎた頃、ニアは都市モノノモよりずっと南に位置するジトト村を訪れていた。
第1話は以上となります
最後まで読んでいただきありがとうございます。
また第2話を投稿するときにお会いできますよう心から願っております。