奴隷制のある国 スレイブ
□■奴隷制のある国 スレイブその前■□
「次の国は…何やら盛んに行われてるらしいが…何が盛んなんだ?」
「…奴隷です、次の国は、唯一奴隷制のある国として有名ですので、多くの奴隷が見られるかもしれません…クロノ君?」
「あ、いや…なんでもない…」
ゲルマンを出て数週間、スレイブについての話を聞いていたが、予想以上に酷いようだ。
「実は奴隷制と言うのは、現在の貴族が立てた物でして…国民の方々はそれに不安をいだき始めているのです。」
「…国民が可哀想だな…奴隷も…それに…」
「それに?」
「次の国で、多くの出会いの予感がする。」
「?は、はぁ…そうなんだ…」
少し覚悟を決めているクロノ、クロノの発言に謎をいだくヘイネスは奴隷制のある国へむかった。
□■奴隷制のある国 スレイブ■□
「旅人さんかい?」
「あ、はい…門番さん、どうしたんですか?」
「実は君達に依頼を発注したいんだ…」
「それは…何でしょうか?」
「…奴隷制の撤回です。」
「え?」「はい?」
全く意味が分からなかった。
「ここの国の奴隷制を知ってますね?」
「はい…」「まぁ…」
「ここの貴族がその制度を立てたせいで奴隷の娘達に日々重労働の日々、我々は元々酪農の様な国だったのでこう言うのは苦手なのです。」
「でも、どうやって撤回するんですか?」
「簡単です、貴族を倒せば良いのですが…」
「ん?何か問題が?」
「はい…その貴族はとても強く、冒険者も唸る程の実力者です。」
「名前を聞こう。」
「名前は、ヘルム・メロウと言う貴族ですが、今この時間ですと奴隷の娘と一緒に街を徘徊していると思われます…この依頼、受けてはくれませんか?」
「ク、クロノ君…どうする?」
「え?受けますよ?」
「即答だねぇ…」
「受けます。報酬は後ほどお願いします。」
「分かりました。では、ようこそスレイブへ。」
中は普通の街とは変わらないが1つだけかわっているものがある。
「…奴隷が働いてる…」
見た目は偉そうにしている奴も居るけど、魔眼を使ってみると大体は挙動不審で見てるやつばかりだ。
「奴隷の皆は…何を考えているの?」
ヘイネスはクロノに質問する。
「ご主人は優しいけどやっぱり自由が良い…」
「やっぱりそうだよね…」
そう言いながら、街中を歩いていると。
「おや、旅人かな?」
「ん?あなたは…」
「ようこそスレイブへ、わたしはヘルム・メロウと申しますので、以後お見知りおきを…そしてこの後ろは全て私の奴隷です、挨拶をしろ。」
「「「「「」」」」」
静かにお辞儀をする、皆の瞳に光は無かった、絶望仕切ってる顔だった。
「この子達は実に良いですよ!私の言うことには必ず嫌味無しで言うことを聞きますからね!」
「いや…嫌がってるみたいだが…」
「…はい?」
「「「「「!」」」」」
クロノを見つめ、希望が差したかのように、瞳に光が入る。
「ふん、くだらん…しかし…」
ヘルムはヘイネスを見るなり、
「気に入りました、どうです?私の奴隷になりませんか?」
「「は?」」
「ご安心を、私のもとについたら苦労なんてさせません!二度と苦しいことなど消えるでしょう!」
「薬物を使って感情を鈍らせるからか?」
「さっきから何ですか君は!」
「俺はこいつと旅をしてるんだ、仲間は渡さねぇよ。」
「私はあなたの答えは聞いていない!私はこの美しい女性に」
「あ、私、人を酷く扱うような人は大嫌いですしあなたは私の好みでもないし更に言うなれば生理的に無理です。」
「そ、そこまで言うか?ヘイネス…」
「私は言うときはきっぱり言うので。」
「あ…うん。」
女って怖いなぁ…と再び実感した時
「そうですか…では。」
ヘルムは剣を取り出す。
「私と戦って勝った人の言うことを聞く…と言うのはどうでしょうか?」
「…良いだろう。」
クロノは黒曜石の剣を…取り出さず、体術で戦うことを決めた。
「私に体術とは、私も舐められたものだな!」
「まぁな…お前なら剣無しでも勝てるのさ。」
「貴様ぁ!」
ヘルムは大きく剣を振りかざし、クロノに迫りくる。
「クロノ君!」
しかしそれを躱す、躱す、躱す。
「くっ…なぜ当たらん!」
「そりゃ予測回避だからな。」
「くっそがぁ!」
ヘルムは更に強く剣を叩きつける、しかしクロノは動じずに、ひらりと紙のように避け、体に触れる。
「ふっ、体に触れられるとはな…見事だ、だが不愉快だ、今すぐやめろ!」
真下に居るクロノに剣を刺そうとする、するとゲルマンでもあった声が頭の中に過る。
『スキル:砲術を獲得、攻撃します。』
「がほぁ!?」
「「「「「!?」」」」」
まるで大砲、大砲並の衝撃波がヘルムを襲い、奴隷の頭上を飛び越え、商店街に突っ込む。
「……今のうちに…」
クロノは奴隷の娘達に近づき
「首輪を見せて欲しい…安心して、変なことはしない。」
そう言うと、
「し…信じていいの?」
一人の奴隷の娘が心配そうに言ってきた。
「あぁ、信じていい。」
「「「「「」」」」」
奴隷の娘達はアイコンタクトをとり、信じるに決めたらしく、クロノに身を任せるように首輪を見せた。
「…これなら…」
クロノは奴隷の娘達についている首輪に触れると、まるでガラスの様に首輪が壊れた。
「!」
「あと4人も…おいで。」
「「「「」」」」
その4人も首輪が壊れた。
「クロノ君!もしかしてそれって!」
「うん。強制契約、呪い無効の応用だよ、この首輪…最後に触れた奴が主になるっていう強制的な物だからさ、簡単にね?っとと…兵士が来たな…ヘイネスありがとう。」
「ご協力感謝いたします、実は前々から捕まえるかを考えていたのですが、君が倒してくれたから連行まで行けたよ。ありがとう。」
そう言い、兵士はヘルムを連れてこの場をさった。
「あと…は…」
あと残ったのは5人の奴隷の娘達。
「…旅をしたかったらついてきても構わない、嫌だったら君達の自由にしなよ、よしヘイネス、行こっか。」
「そうですね、」
この場をさろうとしたとき。
「待ってください!」
と、声をかけられる。
「我々も…あなた様の旅に、ご同行させていただきます。」
「…5人全員…来るんだね?」
「「「「「はい。」」」」」
「………ヘイネス。」
「はい、なんでしょうか?」
「これ渡しとく、俺は残りの奴隷の娘達の首輪を破壊しに行くからヘイネスはこの子達をお風呂に入れて服を買ってあげてくれよ。」
中には大量の金貨と王金貨がチラチラあった。
「分かった、私についてきて。」
ヘイネスの言葉に5人は大浴場へ向かった。
「さて…と…」
クロノは覚悟を決めながら
「首輪の破壊に回りますか!」
奴隷の娘達の首輪の破壊に向かった。
□■新たなる仲間■□
「え…えっとぉ…」
「」
ヘイネスが5人と共に入浴や衣服の購入を済ませ、クロノが指定した部屋に入ると、ぐったりとしていたクロノがいた。
「だ、大丈夫?」
「ゔ…ん…まぁ…ね…まさか…首輪を全て破壊するのに俺の魔力全て持って行くとは…」
「うわぁ…ク、クロノ君、でもまだ仕事はあるよ。」
「そうだったな…ヘイネスの後ろに居る娘達が…だよね?見違えったなぁ…」
「ありがとうございました、クロノ様。」
「様付けか…まぁいっか。」
クロノにお礼をした娘は、綺麗な黒髪のロングヘアで、スタイルも良く、背も高い所からきっとこの娘達のリーダー的存在何だなぁ…と思った。
「クロノ様ぁ!クロノ様クロノ様!」
「うおっ…こらこら、甘えん坊だなぁ…」
クロノに抱き着いてきた娘は薄い青色のショートヘアで背もまだ低い、う〜ん…ロリコン共にはたまらないんだろうな…とクロノは思う。
「え…えと…あの…うぅ…」
「あぁ、よしよし…」
「ムフフフフゥ…」
少し人見知りでクロノに頭を撫でられて喜んでる娘の髪は白く、綺麗と言うよりも美しい髪の少女で、クロノはまだ話すのが難しいんだな…と思った。
「」
「どうしたの?おいで、」
「……ん。」
無口な娘は金色の髪を一つ縛りしており、目はオッドアイで青と黄色、歳も若く、初めて見たときもまだ少し瞳に光があった所から、奴隷になったばかりなんだなぁ…と思いながらも撫でる。
「クロノ様ぁ?お疲れではないですか?膝枕なんてどうでしょうか。」
「そ、そんなことしないよ…」
クロノを甘やかそうとする娘は、銀色の髪でウルフヘアと言う髪型でとても優しい、クロノはこの娘が1番危ないかも…と思った。
「さて取り敢えず…名前をお前らに付けないとな…名前つけないと旅の時とかも困っちまうしよ、お前ら、何かこだわり…とかこれは名前にして欲しい…とかってある?」
「特にありません」「特になぁ〜い!」「な…な、ないです。」「」(不備を横に振る)「大丈夫。」
どうやらこだわりは無いがやはり名前を決めるのだから考えなきゃいけない。
「ふむ…まずは黒髪の娘だ。」
「は、はい!」
「名前は…アナ…アナで構わないか?」
「問題ございません、ありがとうございます、このアナ、クロノ様に一生…あ、」
「「「「「「え?」」」」」」
アナの頭が…取れた!
「いやぁぁぁぁぁ!?」「クロノ様!クロノ様ぁ!?」「!」(目を大きく見開く)「あ、あばばばばば!」「え!頭が取れ!ぇえ!?」
「お前、もしかして…デュラハンの娘か!?」
「はい、いつか言おうとしてましたが…申し訳ありません!」
「はぁ…となると…お前らも人型の何か…か?安心しろ、仲間になる以上、追い払ったりはしない。」
「じゃあ私も!うぅ…とぉ!」
狼の様な耳がぴょこん!と出てきた。
「私そっくりの耳だ!」「これは…可愛いな…」「み…耳だ…。」「」(笑いながら頷く)「可愛いぃ〜!」
「お前は狼人族か…う〜ん…お前物語は好きか?」
「大好きだよぉ!」
「じゃあお前はアリス!」
「よろしく!クロノ様!」
「おう、よろしく。」
「わた…わ、私は…えっと…鬼人族です…ほら…」
そう言うと、クロノの乗っているベッドを片手で持ち上げる。
「す、凄い…」「ベッドを片手で…」「凄い凄ぉ〜い!」「」(頷く)「すごいねぇ〜!」
「確かにすげえ怪力だな…」
「クロノ君…君がそれを言う?」
「う〜ん…名前は…」
「無視をするなよ無視を…」
「決めた、名前はリフレ…それでも構わないか?」
「は、はい!あ、ありがとう…ご、ございます。」
「」
やはりこの娘は何もしゃべらない…
「えっと…」「こいつはいつも話さないんだ…」「う〜ん…何で話さないんだろ…」「な、何か…話そ?」「う〜ん何でいつも話さないんだろうね…」
「…お前もしかして…」
「!」
「神獣の類の恩恵を受けてる普通の娘?」
「!」(縦に頷く)
「でも…うぅ〜ん…」
「ど、どうしたの?」
「外れてたらごめん…もしかして…海竜神リヴァイアサン?」
「!」(縦に頷く)
「リ…リヴァイアサンって…あの!?」
「多分…てかあのリヴァイアサンしかないですって…」
リヴァイアサン、海に生息しているとされている海竜の一つであり、最強の神獣とされている。
「う〜ん…じゃあ名前は…アウロラ…それでも良いかい?」
「…!」(少し時間をおいて首を立てに振り喜ぶ)
ほっ…良かった…わけでもないか…最後が俺の難敵になりうるんだよなぁ…クロノは思った。
「私は…吸血鬼の王と淫魔のハーフです。」
見たまんまだと、確かに犬歯らしき物がヴァンパイアみたいにきれいでとがっている。
「……え?」「通りで色仕掛けが得意な訳だ…」「吸血鬼の王のお父さんにサキュバスのお母さん…家系が1番複雑ね…」「え…えぇぇぇぇ…」「!」(腰の抜けたリフレを庇う)
「…お前まじか…」
「私が嘘をつくわけ無いじゃない…クロノ様。」
「名前はぁ…うぅ〜ん…よし、リリィ、お前百合好きだろ?フラワーの。」
「え?良くわかったね、確かに好きだよ私は。」
「だからだ。」
こうしてデュラハンのアナ、狼人族のアリス、鬼人族のリフレ、リヴァイアサンの加護を受けたアウロラ、吸血鬼の王と淫魔のハーフのリリィといった、なんとも個性溢れる仲間が出来た。
「うぅ〜んしかしなぁ…」
「どうしたの?クロノ君。」
「男って俺だけじゃねぇか。」
「私は話す相手が増えて嬉しいな。」
「と、取り敢えずお前らに能力値付けないとな。」
「そ、そんな勿体無いですって!」
「良いよ、アナ、手を出して。」
「こう…ですか?」
アナはキレイな手をクロノの前に出す。
「うん…」
アナのステイタスは
アナ:16歳
レベル:35
職業:剣士見習い 所属ギルド:無し
力:47 耐久:61 俊敏:41 魔力:27
スキル:剣士適正スキルⅩ 学習Ⅹ 指示スキルⅩ
「うん、こんなもんだろ…これからもっと強くなるから、頑張ろう。」
「このアナ、これほど嬉しい事はありません!」
「よし、次はアリスだよ。おいで。」
「はぁ〜い!」
「よしよし、」
アリスのステイタスは
アリス:10歳
レベル:20
職業:弓兵見習い 所属ギルド:無し
力:21 耐久:15 俊敏:40 魔力:20
スキル:弓矢適正スキルⅩ 弓矢制作Ⅶ
「クロノ様ぁ〜!」
「こら…引っ付くなって…さ、次はリフレだね。」
「あ、あう…」
リフレのステイタスは
リフレ:9歳
レベル:18
職業:重装騎士見習い 所属ギルド:無し
力:51 耐久:31 俊敏:17 魔力:11
スキル:大剣適正スキルⅩ 仕切り直しⅤ
「おぉ…リフレもすごいな。」
「あ、あぅ…嬉…しい…」
「」
「」
(凄い…アイコンタクトで会話してる…)と思っているヘイネスを無視してステイタスを確認すると
アウロラ:9歳
レベル:23
職業:神官見習い 所属ギルド:無し
力:10 耐久:21 俊敏:31 魔力59
スキル:魔力共有Ⅴ 海竜神の加護Ⅹ
「」
「すげぇなお前も。」
「!」
「アウロラちゃんのあんな反応初めてだよ…」
「分かったから胸くっつけんなよ…」
付かれるのが嫌と言いながらステイタスを確認する
リリィ:16歳
レベル:30
職業:格闘家見習い 所属ギルド:無し
力:31 耐久:30 俊敏:41 魔力:51
スキル:色仕掛けⅩ 吸血Ⅹ
「…見間違いかな…格闘家?え?リリィお前まじかよ…」
「私…こう見えても肉弾戦得意なんだよ?」
人は見かけによらねぇな…と思ったクロノ、そんなこんなで旅立つ次の日を迎えるのだった。
□■旅立ち■□
「こちらが報酬の金貨20枚(約100万円)と王金貨15枚(約500万円)と、こちらを贈呈します。」
後ろに立派な幌馬車と呼ばれる幌と呼ばれる布の様な物で覆い、ドーム状にしてある、しかも大人数乗れるような馬車だ。
「お…おぉ…新品じゃねぇか…」
「はい、新たにお仲間が入ったと言う情報と馬を2頭連れていると言うことですので丁度良いかと。」
「なる程…だから俺に馬の扱い方を丁寧に教えた訳だ…」
「そのとおりです。」
「クロノ様!これは!」「わぁ!大っきぃー!」「こ、これで…」「」(コクコクと頷く)「旅を…するのね。」
「すごいね…じゃあ私と交代交代でやりましょうか。」
「分かりました。お〜い!アナ!リリィ!荷物を荷台に積んでくれ!」
「はい!」「りょ〜かぁ〜い!」
2人は手際良く荷物を入れ、他のアリス、リフレ、アウロラは邪魔にならないように荷台に乗る。
「よし、そろそろ行きますね。」
「お気をつけて。」
「よし!それじゃあ行きますか!」
クロノは元気良く馬の手綱をしならせ馬は元気に走り出し、国を後にした。
一方ここは牢獄、何もなく石レンガ出てきており、とても冷たい空気で薄汚れたベッド。
「くそっ…あいつさえ…あのガキさえぇ…」
ヘルムはクロノを憎んでいた。
「あいつを殺したい…あいつを…苦しめて殺したい!」
『お困りか…汝よ…』
「お…お前は…あ、悪魔!?」
ヘルムの前に悪魔が現れる。
『汝に問おう…何を望む?』
「俺は…力が欲しい…あのガキを殺せるような…最強の力が!」
『……よかろう…では受け取れ、我がチカラを!』
翌朝、前日に投獄したヘルムが何も残さずに行方不明になっていた、残されていたのは、まるで悪魔の様な爪痕がレンガに残されていた。