経済国家キャメロットその1
□■経済国家キャメロット その前■□
「」
「緊急事態発生、緊急事態発生、クロノ様が絶望した顔で馬車を操作しています。」
「クロノ様?クロノ様ぁ〜?んん〜駄目、返事がない。」
「い、生きてる…よね?」
「」(頷く)
「まぁ理由は一つしか無いけどね。」
「んまぁ確かに…次の国がキャメロット…だからねぇ…しかも円卓会議と時期が重なってるし。」
「円卓会議とは…主に誰が参加するのですか?」
「そうねぇ…簡単に言えば今まで立ち寄った国の姫全員が来るわね、例えば…「剣聖」とか「騎士王」とか、私とか。」
「まぁ取り敢えず言えることは俺は王族でも何でもないから円卓会議に参加出来ない、そこが幸いだったな。」
「さ、クロノ君…地獄の滞在が始まるわよ、覚悟してね。」
「お、おう…」
そうは言っても無理なものは無理…と思ったクロノだった。
「今無理なものは無理…って思ったでしょ。」
「げ…バレた。」
□■経済国家キャメロット 少年が願わない出会い■□
「ようこそ、キャメロットへ、って…へ、ヘイネス様!これは失礼いたしました、クロノ様御一項が来られたぞ!門を開け!」
と言い、巨大な門が開いた。
「馬たちは私達がお預かりします、ヘイネス様はこちらへ。」
「ヘイネス…と、取り敢えず円卓会議が終わるまで俺等は別行動をとっていることにしておこう、俺は王族じゃねぇからな。」
「そうね、分かったわ、安心して、私は会議の場所を知っているわ、護衛だけで十分よ。」
「分かりました。」
「護衛となるとぉ…アナ達の中でくじ引きしてあたり引いた奴一人と俺は行動な。」
そしてくじ引きの結果、クロノはアナと同行することにし、宿を探そうとするが。
「ふむ…この砥石…いくらだ?」
「銀貨1枚ですね。」
「買おう、金貨1枚だ。」
「あ、ありがとうございます!『カレン・シルバ』様!」
「……潜伏…」
スキル:潜伏 一定の人から視覚をなくすことができる、つまり影が極限まで薄くなる!
(ちなみにこのストーリーの製作者も影が薄いぞ!)
「?」
「どうされましたか?」
「いや、なんでも無い、いい買い物をした、礼を言う。」
「ありがとうございます!」
「クロノ様、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…良かった…こういう時に限って何で俺くじ引きしようとしたんだろ…」
「確かに…でも私がいるのでご安心を。」
「そうだったな、ヨシヨシ…」
「……撫でな…撫でてください。」
「ははは…っ!?」
「クロノ様?」
「何をしている!シャキッとせんか!」
「はい!」
「もっとだ!もっと激しく動け!」
「は!『トウガ・ミーレス』様の思うままに!」
「分かっているのなら続けろバカモノ!」
「は、はい!」
「ん?」
「どうしましたか?」
「黙れ!質問できる余裕があるのならしっかりやれ!」
「はい!」
「……ここの兵士は手遅れ?」
と、アナの冷酷な発言をしたあと早足でここをあとにした。
「あそこの兵士絶対ドMで受けに強いぞ。」
「確かにそうですね…」
「全く…っ…」
「まただ…次は…」
と、アナがキョロキョロしてみると。
「こんなものだな。」
「す、凄い!あんな小さな的を弓矢でど真ん中に!」
「ふっ、私を舐めるなバカモノ、私はエルフだぞ、高潔なエルフ…と言いたいが、お主らも生きているからな、考えを最近は改めている。」
「流石『スラヴ』様だ!」
「ん?…」
「どうなさいましたか?」
「……クロノ?」
「クロノって…『スラヴ』様の国の英雄の?」
「あぁ…そいつが今居た気が…」
「………まずい…」
そう思いながら少し小走りでスラヴに見つからないようにこの場所を後にした。
「あ、危なかった…」
「確かに…スラヴ様には千里眼スキルを持ってますから…」
「おう…流石にまずっ…」
「……次は誰?」
アナはキョロキョロと、探してみると。
「ふむ、この術式はここをこうすると…」
「凄い!魔術構成が倍以上に良くなったぞ!」
「しかもこの状態は魔力料も半減、いや、それ以上になる。」
「流石大賢者と呼ばれる『ワイズ』様!」
「そうでもないよ…っ?」
「……どうなさいました?」
「なんでもありません、ご安心を、私の知り合いが居たような気がしただけです。」
「……うわぁ〜お…」
少々驚きながらアナはそそくさと逃げるようにこの場所を後にした。
「ワイズ様は本当に凄いですね。」
「あぁ、あんなにいとも容易く魔術回路を変える何て…俺には無理だな無理。」
「そんなことないのでは?」
「そうかなぁ…っ…」
「誰でしょ…」
もうなれたかのように探してみると
「はい!精霊鉄装備の完成!」
「す、すげぇあんなに加工しづらい精霊鉄でこんなすげぇ装備を作れるのかよ!」
「うん、確かにやりづらいけど、慣れれば普通に出来るようになるよ!精進あるのみ!」
「はい!『ドヴェルグ』様!」
「あ!クロノ君?」
「え?クロノって…許嫁と呼ばれてるあの?」
「そうだけど…居たような…」
「……取り敢えず凄い人…すぐに分かった…」
少々驚きながらアナは脱兎のように逃げ出した。
「確かに凄い人ってことがよく分かりました。」
「そっか、分かってくれたのな」
「でも…何で許嫁何です?ん?」
「そ、それはぁ…潜伏…」
「あっ…逃げた。」
「む?お主は…アナではないか!」
「ノブナガ様!」
潜伏したのはこれなのか…と思った。
「アナがいるということは…」
「はい、ヘイネス様も」
「クロノがいるのだな!良かった良かった!」
「しかしクロノ様は会議には参加しないと…」
「む?参加させるに決まっておろう、何を言っているのだ?」
「クロノがここにいたらなんて反応するのでしょうね。」
「逃げるだろうな。」
「ですよね、では私はこれで失礼しますね、宿をそろそろ探したいので。」
「む、そうか、それはすまなかった。」
「失礼しますね。」
「……クロノが居たような…気のせいか?」
アナは適当に会話を交わしここから撤退するように立ち去った、ちなみにこの後、結構安値で何中々良い宿を見つけた。
「まさかノブナガが出て来るとは…」
「まさかここまで上手く騎士姫達と会うと…」
「あぁ…次も予想できるわ…潜伏しとく…」
「はい…。」
とクロノが潜伏をすると。
「モグモグ…ん?ごっきゅん…アナじゃないか。」
「ケルト様、って…食事をしてましたか。」
「うむ、このジャ、ジャ…ジャ…ジャンクフード?と言う奴が中々美味してくな。」
「……食べ過ぎでは?」
「このぐらい食べないと私は満足せぬのだ。」
「そうなんですか…食事の邪魔をするものあれですし、そろそろ失礼しますね。」
「うむ、またな。」
「」
「う〜む…クロノが居るのか?」
と、アナはジャンクフードを貪ってるケルトを後に少し安心したかのように歩いていった。
「し、死ぬかと思った…」
「……クロノ様も大変ですね。」
中央街をクロノはきつそうに歩き、アナはクロノを庇うように歩いていた。
「もう宿に泊まろう…流石に俺の身体が持たない気がする…」
「確かに…」
「よし、そうと決まれば宿屋に戻ろうか…」
と、二人で歩いていると、ドンッ…とフードをつけた人も肩をぶつけてしまった。
「「あ、すいません、」」
「わぁ〜おハモリ…」
「おや?貴方はぁ…クロノさんですか?」
「え!?あ、はい。」
「これはこれは申し送れました、僕は此処キャメロットの王、アーサーです、以後お見知りおきを。」
「アーサー…あれ?『騎士王』ってのは…」
「あぁ、トウガさんですね、トウガさんは私の門下生なんですよ。」
「え?」
「僕が身につけている一部をトウガさんに教えたんです、現在の『騎士王』は僕の幼少期の名前です。」
「……つまり今はそれよりも強いってことか。」
「そうなりますね、現在僕の称号は『神の騎士』です、まさか神の騎士と呼ばれとは…驚きですね…まさか巨人を倒しただけで…」
「」
この人は次元が違う…そう思ったクロノだった。
「それで質問するんだけど…良いかい?」
「は、はい…何でしょうか。」
「後ろの人達…何だい?」
「いやいや後ろに誰も」
「「「「「「「」」」」」」」
「」
「「「「「「「」」」」」」」
「」
「「「「「「「」」」」」」」
「……おっおぉ〜う…」
クロノはきっと目の前の光景に絶望しただろう、真顔で何も考えず、無意識に口からその言葉が出てしまった。
「クロノ…やはり居たか…」
「カ、カレン様…え…えっとぉ…」
「っははは!やはりか、居たような気がしたわ!」
「トウガ様…マジかよ…」
「クロノ?参加しないのに何故ここに居る?ん?」
「怖いですスラヴ様…えっと…ヘイネス様をお、送りに…」
「つまり参加しないの?」
「ワイズ様…そ、そうなりますね…」
「許嫁が参加しないのはねぇ〜君は参加確定だよ?ん?」
「ユ…ユミル様は…何を?…てか笑顔が怖いです…」
「」
「無言の笑顔で近づくかないで!」
(ドヴェルグの下の名はユミルだぞ!)
「こいつが許嫁とか言う頭のネジが吹き飛んだ様なことを言っているが、そうだぞクロノ。貴様は強制参加だぞ?」
「」
「」
「ノブナガ様!?ユミル様!?辞めて下さい!ここで争いは辞めて下さい!死人が出るってレベルじゃあ終わらなくなります!国が破滅します!」
「久々だな、と言っても1週間程前にあったばかりだがな。」
「ケルト様はノブナガ様とユミル様を止めるのを手伝って下さいよ!」
「これは…クロノ君、君は凄いね、ある意味。」
「駄目だ…埒が明かない…んじゃあ俺はそろそろアナと宿に戻るんで…」
「「「「「「「は?」」」」」」」
「え?」
「何言ってるんだお前は」
「そうだぞクロノ、会議に参加する者は指定された部屋に泊まるのだぞ?」
「そっちの方が豪華だぞ?何故普通の宿にする…」
「それで?アナちゃんと一緒の部屋なのかな?」
「んまぁ部屋が一つしか無かったからな…な?アナ。」
「えぇ…」
「へぇ…許嫁が居るのに他の人と同じ部屋で寝るんだぁ…」
「お、お前寝取られるぞ!?」
「されませんよそんなこと!?しないよな、アナ…アナ?」
「」
「アナ、何で目ぇ反らすんだよおい。」
「アナは下心丸出しだな!」
「っ………」
「ケルト様、変なこと言っちゃ駄目ですよ、恥ずかしくて死んじゃいますよ?」
「ワザと言ってるんだからな。」
「お前鬼だな…アナ行くか、そろそろ」
「はい、分かりました。」
「おい待て…」
苦し紛れで逃げようとしたが、カレンに肩を掴まれた。
(あ…これは終わったな俺…)
「逃げようとするなよ…」
「だっ!?いだだだだだだだだ!ちょ!マジで痛いです!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!分かりました!分かりましたから!離、離して!」
「分かれば良いのだ、そろそろ日も暮れる、明日から会議だから戻るぞ。」
「………アナ…すまん。」
「いえ、気にしないでください。」
「……俺抱き枕でも俺が了承する範囲でなら何でもしていいからそれで許して。」
「…はい。」(!!?!?!?!?!!!!)
「取り敢えずおぶって…傾いてるんだろうがな痛くて歩くのしんどい…」
「分かりました、よっ…結構軽い…」
女性の出せる握力じゃないと思いながら、クロノはアナの背中にくっつきながら思った。
「……なぁ、アナ。」
「カレン様?どうかしましたか?」
「………クロノをおぶってる感想を。」
「……正直嬉しいです。」
「…本当だ…嘘偽りがないわ…」
「へぇ…弟おぶってるって気分なんだろうね。」
「でも…あら?寝て…る?」
「む?ホントじゃ…寝とるぞこやつ。」
「普通に可愛い。」
そんな言葉を発しながら、騎士姫とアナ、クロノは城へ向かうのだった。