魔物の国ケルベラ
□■魔物の国ケルベラ その前■□
「なる程…君はケルベラって国の出身だったんだね。」
「はい、勇者らしき者に捕まり、何とか逃げながらえたのですが…魔力が枯渇してしまい、倒れていたのですが、クロノさんが私の事を助けてくれたのです。」
クロノの隣で懸命に話をするこの子はケルト・トアナスと言う喋る魔物の少女で、倒れていたのでクロノが看病し、次に向う国とケルトの出身がケルベラと言うことで、一緒に向かうことになったが、実は昨日、怪物行進のど真ん中に野宿したので、行進モンスターを全て討伐したため、クロノ以外は爆睡している。
「すぅ…すぅ…」(ヘイネス)
「んん…クロノ…様…」(アナ)
「えっへへへぇ…クロノしゃまぁ…」(アリス)
「あ…温…かいです…」(リフレ)
「んんっ…んん…」(アウロラ)
「ぁあっ!は!激…しい!」(リリィ)
「あぁ…シグ…ルド…」(ブリュンヒルデ)
「あぁ…忙しいので…ある…」(お玉)
「……リリィは本当脳みそピンク一色だな…」
「和服の人は職業病だね…」
二人でそんな会話をしていると、
「あっ、あれかな?ケルベラって。」
「うん!あそこ!やっと帰ってこれたよぉ…」
「ケルトさん」
「ケルトで良いよぉ〜」
「…ケルト…なんで俺の膝の上に乗ってるの?」
「………ん?」
「おいこら…全く…見えづらいんだけど…」
「あ、そうそう、最近ここら辺に怪物行進があるからこの国出るとき気をつけてねぇ」
「それ…昨日俺達で壊滅させた。」
「………え?」
□■魔物の国ケルベラ■□
「止ま…れ…ひ、姫様!ご無事ですか!」
「え?姫様って、もしかして…ケルト…なのか?」
「ん?そうだよ。」
「そうだよって…すまん、入国をしたい、前夜に怪物行進と鉢合わせして壊滅させたのは良いんだがこいつ等の体力が持たない、すまないがこの国で3日程の滞在をしたい。」
「私からも頼む、命の恩人なのだ。」
「ひ、姫様がお願いする必要はありません!我々は人に危害を加えないと心から決めたではありませんか!どうぞ、お入り下さい。」
「ありがとう、やっぱり、魔物の見方も変えなくちゃ…だな、これで何か買ったらどうだ?ほれっ。」
とクロノは門番の一人にある物を渡した。
「……これは…」
「あれ?知らない?小鬼王の王冠。」
「ぇえ!?こ、こんなもの受け取って良いのですか!?」
「だってこんな薄い鎧じゃあ守れてもお前等が死んじまうだろうが、後で換金して新しい鎧でも買え、入国感謝する。」
「お、おぉ…」
「何もんだあの人…」
「クロノは優しいんだな。」
「うっせぇ、取り敢えず一言言っていいか?」
「ん?どうした?」
「お前この国の姫だったのかよ。」
「今頃質問するかそれを…そうだよ、そして私が出した案は無駄に人に危害を加えない、と言うこと。」
「なる程…最低限のことしかしない…」
「ん?どうした?」
「いや…何か近い内嫌な予感がする…」
スキル:直感Ⅹ
「そ、そう?」
「4日くらい兵の警戒強化を頼むよ、俺も全力を尽くす。」
「我もやるのである。」
「お玉さん、大丈夫なんですか?」
「我はお玉荘のときは社畜見たいなものだったから慣れているのである。」
「分かった…ケルト、こいつ等を城で休ませてはくれないか?」
「もちろん良いよ、でも起きた時慌てるんじゃない?」
「……ブリュンヒルデ起きてるよな。」
「…はい、なんでしょうか。」
「起きたらそこで待機してるように言ってくれ、俺はお玉さんと4日間警備の参加をするよ。」
「しかしそうなると…我々は不安に」
「俺の道具使っていいから」「分かりました。」
「ちょっろ…」
「ちょろ過ぎである…」
と言いながらも馬車は城についた。
「」
「アウロラ?どうした?まだ寝てなくてもいいのか?」
ふと気が付くとアウロラが起きていた、どうやら大丈夫だそうだ。
「」(大丈夫と頷く)
「……お前も警備に参加したいと?」
「」(頷く)
「だめだよ…4日間忙しいんだよ?」
「…や…」(静かに抱き着く)
「こうなったアウロラは何言っても駄目です…連れて行ってあげてください、リヴァイアサンが役立つと思います。」
「」(頷く)
「……はぁ…仕方ない…分かった、おいでアウロラも。」
「…ん」(背中にくっつく)
「じゃあブリュンヒルデ、後はよろしくね。」
「はい。」
ブリュンヒルデに後のことを任せ、クロノ、お玉、アウロラは、警備に回るのだった。
「そういえばクロノ、お主ファフニールを倒したと聞いたのであるが…本当なのか?」
「ん?うん、そだね。」
「」(クロノが光り輝いて見える)
「確かに苦戦(?)したけど…今考えるとドラゴン言ってもただのトカゲだなって…」
「」(目を見開く)
「ト…トカゲって…クロノ…だいぶ強くなったのである…」
「そうかな…確かに農民にしては強いんだろうけど」
「ちょっと待て」
「ん?あぁ…アウロラが疲れてるのか…おいでおぶってやる。」
「」
と言い、クロノがしゃがむと、アウロラは背中に飛び乗ってきた。
「違う違う…え?クロノって農民だったの?マジで?」
「え?あぁ…うん、ギルドに認定して無かったし…今は旅人って言うことになってるけどね。」
「え…初耳なのである…」
「だって一度も教えたことねぇもん。」
「」
「てかここの国のこと知ったんだけど…凄いんだよな…」
「」(頷く)
「うむ、皆良心的で倒れている人の治療とかもしていると聞いたのである。」
「しかもここの下には貴金属や宝石の原石が埋まる鉱山でもある…ってね。」
「しかもこの人たちは全く興味を持たないのである。」
「」(頷く)
そう言う会話をしていると。
「うわぁぁぁ!だ、誰かぁ!」
と救助を求める声。
「急ごう!」
「」(頷く)
「嫌な予感しかしないのである!」
そう言い悲鳴が聞こえた場所に向かうと
「あ!クロノさん!この人たちがきゅ、急に我々を!」
「うるさい!人を殺す下等な化物達め!」
「取り敢えず皆さんは俺の仲間を呼んでください、この人たちは…勇者一項です。」
「わ、分かった!」「急げ!巻き込まれるぞ」「この国を守ってください!」「あとは頼みます!」
等のクロノ達に対する励ましの言葉を言いながら城に逃げる魔物。
「なぜか…」
「なぜ…とは?」
「なぜ魔物等の手助けをする。」
「はっ、くだらね…何が魔物だ…俺は一人の人間として見てるぞ、こいつ等にはそうやって見ることができる。」
「……どうやら洗脳されているようですね。」
「だったらこの人たちを倒して、この国を破滅するしかありません。」
「アウロラ、戦える?」
「……うん。」
「お玉さんは右の女騎士を相手して欲しい。」
「勿論なのである。」
「アウロラは左の魔法つかいを。」
「…ん。」
「さて、俺は性根の腐った勇者をやりますか。」
クロノは体術の構えをし、お玉は銃を構え、アウロラは謎のぬいぐるみを取り出し、3対3の戦いが始まった。
□■あまりにも呆気ない戦い■□
「………」
「可愛い娘だけど、勇者様の敵だったら子供でも容赦はしませんよ!」
と言い、魔法使いは本を開き、魔法陣が出るが
「なっ…に!」
「…簡単…」
「ば、馬鹿な!魔法を消しただと!?」
「……教えられた」
「アウロラは確か、魔法に関する事が得意なんだよね?」
「」(頷く)
「だったら魔法消去を教えてあげる。」
「……?」(首を傾げる)
「そうだな…じゃあまず、魔法やってみて。」
「」(無言で魔法陣を描く)
「ほっ…」
「!?」(魔法陣が壊れてびっくりする)
「はぁ…はぁ…」
「?」(大丈夫?とクロノの背中を擦る)
「す、すまん、魔法消去は魔法に関与する奴が得意なんだけどね…俺はそこまで得意じゃないから…一回やるのにも結構体力持ってかれるんだよな…」
「これ…私が?」
「うおっ!びっくりした…まぁそうだな、やれるか?」
「……ん、やる。」
「よし!そう来なくちゃぁ…」(ぶっ倒れる)
「大丈夫!?」
「お、落ち着けって…お前…拘束魔法をかけようとしたな?」
「」(頷く)
「やっぱり…」
「あ、ありえない!こんなこと!あってはいけない!」
「次…私のばん。」
アウロラがぬいぐるみのような物を前に出すと、ぬいぐるみからありえない程のオーラと魔力がまるで竜のように空を駆け抜け、そこに現れた物は。
「リ…リヴァイアサン…だと!?」
『契約者よ、確かに貴殿の体では不可が架かるので別の憑依体を求むと言いましたが…ぬいぐるみ…ですか。』
「」
『とんでもございませぬ、クロノ殿の作り物ならば貴殿と同じと言うようなものでございまする、して、私を呼んだのは…』
「き、貴様見たいな子供が!リヴァイアサンだと!」
『契約者の前で口を慎め!魔法使い風情が!』
「大丈夫…あの人の動きを止めて…殺さないように…」
『お優しいですね…分かりました、凍り固まれ』
「なっ!にっ」
「……殺してない?」
『ご安心を、氷を溶かせば再び動けるようにしております。言わば冬眠に近い状態にございます。』
「…分かった、お疲れ様…」
『勿体無きお言葉』
そう言い、リヴァイアサンはぬいぐるみの中に消えた。
「……眠たい…」
「なっ!馬鹿な!あいつは、魔術師高校の優等生だぞ!」
「何をしている?」
そう言いながらお玉は銃を発砲し、あえて頬を掠めさせる。
「くっ…」
「相手に集中…と教わらなかったのか?」
お玉さんが持つ銃はライブシェル式のショットガンの改良型で、下には折りたたみ式のクロノ特製の剣が備わっている。
(この女…片手で持てるような物じゃない銃を片手で…しかもあえて外した…この女は…私よりも強い?)
そう思いながら女騎士は剣を構え、攻撃に対応出来るようにする。
「いや…落ち着け…こんな女よりも勇者様に選ばれた私の方が強いに決まってる!」
と、自己暗示的な事を自分に言い聞かせながら迷い無くお玉に斬りかかろうとするが。
「銃は発砲だけじゃ無く、武器としても有能だぞ?」
「がぁっ!?はぁ!」
騎士よ攻撃を楽々と躱し、バレル(銃身)を掴み変え、ストック部分で背中を思いっきり叩く。
「がっ…げほっ…げほっ…」
「どうした?もうおしまい?じゃあ面白い事してあげる。」
と言い、お玉がまず一撃、喫茶店の看板に銃弾直撃させる、すると次はその対角線上にあった暖簾の棒に直撃、更にその弾丸はレンガの地面にあたり跳弾しと、様々は場所に辺り、周りからは無数の弾丸が物に直撃する音が無数に響き渡っている。
「な、なんだ…何が起きている!?」
「見ての通り跳弾なのである。」
「ありえん!こんな、こんなに精密に!」
「あっ!動くと」
言い切る前に
「ぐわぁ!?う、腕が…」
「言わんこっちゃない…この弾丸は止まることは一部の方法しか止まらないし、それに君の周りをずっとグルグル回って閉じ込めてるんだよね、無理に動いたら自分から蜂の巣になるようなものであるが…クロノからは殺すなと言われたので今回は助けよう。」
「クロノ…どこかで聞いたことがあるような…」
「静かにしてないと下噛むぞ?」
と言いながら腰からコルトパイソンを取り出し、銃弾を3発装填、そして
「ほっ!」
コルトパイソンを速撃ちのように銃口を前に向け、その後3回の銃声が聞こえた。
「ふぅ…これで動いても良いのであるが…お主は戦意喪失しているな?」
「くっ…」
「安心しろなのである、お玉さんは優しいんだぞ?」
「お玉?お玉…お玉…もしかして…「超遠距離狙撃手」の?」
「それ以外に誰がいるのである?」
「」
「ぁああ!ちょっと!」
女騎士はお玉にびっくりし、気を失いそうになった。
「くそ!あの二人がやられただと!?」
「だから言ったろ?勝てないって」
「聞いてねぇよそんなこと!」
「あれ?そだっけ…んまぁ取り敢えず…」
クロノは勇者にこう言った。
「どうする?ここで戦い辞めて事情話すかここで殺されるか…どっちが良いかな?」
「っ…」
勇者は考えた、確かに今現状において、魔法使いは凍結され騎士は戦意喪失、二人がこれだけ強い状態において、この少年は更に強いと考えるとなると考えは一つ
「……仲間を助けて欲しい…事情はすべて話す。」
「…その言葉には嘘偽りは無いようだ…分かったアウロラ、氷を溶かせるか?」
「」(頷く)
頷いたと思ったら魔法使いが閉じ込められている氷塊がひとりでに粉々になった。
「生命力向上…」
「うっ…ここ…は?ゆ、勇者様?」
「いや…気にするな、無事で何よりだ…」
「……これはあとだ、早く来い、ケルト様とヘイネス様も居るからな。」
「ヘ、ヘイネス?あのアルヴァスのヘイネス様がいるのか!」
「んまぁそうだな、話をしよっか安心しろ、正直に話せば直ぐに終わるからよ。」
勇者達の態度が急変したな…と思いながら城へ向うクロノ達と勇者一項だった。
□■この国に来た目的■□
「ケルト様ぁ〜?ヘイネス様ぁ〜?会議しますよ会議!」
「え?会議?」
「あら、貴方達は…」
「へ、ヘイネス様!?」
「落ち着け…取り敢えず、お前等…ここを襲ったのはお前等の意思でやったのか?」
「ち、違う…国王様に命令されたんだ…」
「それ、詳しく教えてくれる?」
と、ヘイネスは 真面目な顔で質問をする。
「え、えっと…王からは、「ケルベラは我々人間にとって脅威となる恐るべき国だ、勇者達よ、お前達にお願いしたい…」と言ったのですが…」
「それ…全て嘘だ。」
「な、何だと!王が嘘を付くわけがない!」
「そうよ!私達国民のために尽くしてくれたのよ!」
「経済は傾いてるんだろうがな。」
「そ、それは…」
「やっぱり…ここの国は確か独立国家だったよな、ケルト様。」
「ええ、確かに独立国家よ。」
「それだから狙われる、勇者が何よりの証拠だ、勇者は聖なる力を持ってるせいでここの奴らは対処出来ない、つまり破滅仕掛けたが…こいつ等は何も知らないからあいつ等も鬼じゃないから許してくれるだろう。」
「確かにここの国の至る所に貴金属の結晶が剥き出してる所がある…つまりそこの王は行動とは裏腹に最低な王だってことになっちまう、だがこれはアホな俺でも検討はつく。」
「……確かにそう考えると不審な点がある…」
「ゆ、勇者様?」「その…不審な点とは?」
何やら不審な点があるらしい。
「……言ってみてくれ。」
「まず一つ、兵士の中にお尋ね者が紛れていた。」
「そう言えばフクロウ新聞でもやってたな…確か投獄から脱獄した受刑者がいたな…」
「恐らくそいつらだろう…もう一つは経済面で触れた所が一度も無い…」
「それは…」「た、確かに…」
「恐らく経済面でまずいってことを知られたくなかったんだろうな。」
「他にも多々あるだろうが…主はそれぐらいだな…」
「よし分かった、これで何となくわかったぞ…言いたくはないがお前等の王の目的はここの国の貴金属だ、それ以外考えられんな。」
「じゃあどうするの?」
「簡単な話さ、お前等勇者達が知ってたってことはアルヴァスと同盟している、つまり」
そう言い、クロノはヘイネスとケルトを見てこういった。
「お前等国が同盟を結べばいい話だ。」
「なる程…確かにアルヴァスは円卓会議にも参加する有名な国家ですから、この国がアルヴァスと結べば、」
「うん、そういう心配も無くなるし、魔物の見方も変わるんじゃないかな?」
「な、なる程…ってかクロノ君…クロノ君はアホじゃなく無いかな…」
「え?俺なんてまだまだですって、とうと決まれば早速、ケルト様、ヘイネス様、同盟を、結びますか?」
「私は構わないわ、ケルトさんは?」
「……私は国を守りたい、国を守るためにやるのなら、私は同盟を選ぶ。」
「解決だな、そのままでいて!」
と言い、クロノは大型カメラを取り出し、撮影、魔力を込めた念写を行った。
「よし、こんなもんでしょ、後はこれと、ヘイネス様、手紙はぁ…お早い…書いたんですね。」
「勿論よ、同盟国は滅ばせないわ、これをどうすれば良いのかしら。」
「勇者達は…死んだってことにしたほうがいいかも知れない…最近ここで怪物行進があったから、これで死んだってことにして、この手紙は勇者達を雇った国へ送って、同盟したってのを城下町の報道員に報告、勇者達は…装備を全て新調してやるから、後で鍛冶工房に付いてきて。」
そんな会話を済ませた後、勇者達とクロノは鍛冶工房に向かった、周りは怯えた目で勇者達を見ていたが、勇者が謝罪したことにより、和解された。
□■旅立ち■□
「んじゃあ俺達はそろそろ行くね、ケルト様。」
「えぇ、そうなのね…あっ!そうそう!」
「どうしましたか?」
「私とヘイネスの同盟が結ばれたことによって私も円卓会議に参加できるんだって!」
「本当ですか!良かったじゃないですか!」
「私も円卓会議に参加するし、そろそろ準備もするって言ってたから行こっかなって。」
「なる程…それは良いですね、お気をつけて!ケルト様!」
「えぇ!行ってくるわ!」
と言い、ケルトは足に濃縮させた魔力を一気に解き放ち、空を駆け抜ける、
「さて、俺達も行きますかね、」
クロノ達を乗せた幌馬車もゆっくり、ゆっくりと次の国へと向かうのだった。