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天下統一の国 エド

□■天下統一の国エド その前■□

 幌馬車の中で、クロノはアナ達にある物を渡した。

「クロノ様、これは?」

「これは着物って言うんだよ、次の国は着物着とかないとちょっとまずいんだよね、取り敢えずパパっと着て!」

「わ、分かりました。」

「見ねぇから!」

「…ッチ…」

「誰だ舌打ちした奴…取り敢えず着ろ!急げ!指示は脳内に送るから!」

 幌馬車の中で急いで着させるクロノ、クロノは知らない、ここに居る人がクロノの憧れの人だということを。

□■天下統一の国エド■□

「そこの者!止まれい!」

「はっ!」

 クロノはそう言い、幌馬車を止め、門番のもとに近寄る。

「何用か?」

「少しばかりの宿泊をしたい、構わぬだろうか。」

「名前はなんと申す」

「黒野…とお書きください」

「承知した、それと、入国の後絶対に将軍様に会いに行くのだぞ、良いな。」

「分かりました。」

「うむ、よろしい、馬と荷台は我々が預かる。」

「分かりました、馬達をお願いします。」

 馬と馬車を預けて、国の中に入る。

「すげぇ皆がイキイキしてる…」

「わぁ…凄いねぇ…」

「この服を着ろといったのはこう言う理由だったのですね。」

「凄い凄ぉ〜い!」

「ま、迷いそうですぅ…」

「」(頷く)

「取り敢えず将軍様に挨拶に行くんでしょ?急がないと日が暮れてしまいます。」

「それもそうだな、行こっか。」

 そう言いクロノ達は「安土城」と呼ばれる城に向った。


「ふむ…経済はなり上がっておるな…良い良い。」

 ここは所変わって安土城、するとそこに家来が一人。

「殿!来客者がご挨拶に来ました、お通しになられますか?」

「通せ、構わん。」

「お入り下さい。」

 と、入ってきたクロノ達一項、クロノが前に出て、アナ達は後ろで正座をする。

「ほぅ…(うぶ)な少年よな、そなた、名は何と申す?」

「はっ、黒野(クロノ)と申します、今回ここで休息を取るために来ました。」

「ほぉ…それに嘘偽りは無いな?」

「はい、お困りのことがありましたら、できる限りのことならなんなりとお申し付け下さい。」

「ふむ…そうか…」

「っ…」

「…どうした立って…」

 と、クロノは腰から刀を取り出す。

「貴様!殿に刀を向けおって!」

「殿!お逃げください!」

「貴様!すぐに嘘をつくとは思わなかったぞ!」

「……そこだ!」

 クロノは天井に向って刀を一突き、すると天井からガラガラガラガラ!と音がし、一人天井から落ちてきた。

「ほぉ…我の気配に気付くとは…お主中々やりおるな。」

「な、何者か!」

「……加藤段蔵だな…飛び加藤と呼ばれる者が何故?」

「ご名答、我は飛び加藤こと加藤段蔵と言うものです、ご安心を、あなた達に危害を加えることは一切しませんので。」

 そう言い段蔵はクロノの隣にあぐらをかき座る。

「っと…お主等は旅の者ゆえ、恐らく我の名を知らぬだろう、我こそは第六天魔王()()()()である。」

「っ!!?お、織田…信長…様…」

「うむ、どうした黒野、そのような反応をしおって。」

「い、いえ、何でもございません…では、我々はこれで失礼します。」

「うむ、下るが良い。」

「失礼します。」

 そう言い、クロノ達は安土城から出ていった。

 時間は数時間後の夜8時頃。

「さ、そろそろ寝るとしますかね、」

「いやぁまさかクロノ君がお玉さんのお友達だったんだねぇ…宿には全然困らないよ。」

「当然である、私とクロノは仲がとても良いのだぞ?」

「うおっ…お玉さん…ヘイネスと俺以外寝てるんだ…静かに話してくれよ。」

「それはすまなかったのである。」

 この狐族の女性はこの国の大きな宿「お玉荘」と呼ばれている宿泊場所の女将のお玉、現役バリバリの冒険者で、クロノの()()()()()()()()()()()()でもある存在(ちなみにクロノがライバルと認めている一人)。

「そういえばお玉さん、何かごようかい?」

「あぁ、将軍様がクロノを安土城に招待しているのである、行ったらどうだ?」

「分かりました、じゃあお玉、今日は悪いが俺の代わりにこいつ等が襲われないように守ってくれ。」

「むぅ…何か代償は」

「俺が使った布団の中の所有権」「乗ったのである。」

「チョロくね?」

 クロノがふざけて提案した物にあっさり乗るお玉、それに対してヘイネスは本音をぶちまけてしまった。

「それじゃ、行ってくるわ。」

「いってらっしゃい。」「頑張れなのである。」

 そして更に場所は変わって安土城の縁側。

「……ふぅ…やっと来たか、黒野よ。」

「お待たせして申し訳ありません信長様。」

「構わん、こう言う所では私のことは「ノブナガ」と呼んでほしい、あと敬語も無しだ、さもないと打首だぞ?」

「わ、分かりま…分かったよ…ノブナガ。」

「うむ、それで良い。」

「それで…俺になんのようなんだ?」

「うむ、実は明日な、我は少しの軍を率いて()()()に行こうと考えておるのだ、そしてそこに」

「「明智光秀」」

「なんだ、知っていたのか、なら話は早い、黒野、貴様だけで良いからついてきて欲しいのだ。」

「……なる程…分かった、行くよ、あとはぁ…段蔵。」

「はっ、黒野殿。」

「本能寺の夜の見張りを任せる、ノブナガ様を狙ってよる襲いに来る輩もいるかもだからな。」

「心得た。」

「……なる程な、よう考えるわ。」

「一応だよ、ノブナガ、俺はお前のことが心配なのさ」

「………、」

「ん?ノブナガ?顔赤いぞ?」

「……聞くな」

「?」

「………ぇええい!貴様!何なんだ!私を殺したいのか!」

「ぇえ!?そんなわけないじゃないですか!」

「嘘付け!絶対殺す気だった!私がこれ程ときめいたことなど人生で一度も無かったからな!」

「んな理不尽な!」

「うるさいうるさい!貴様に私から直々に処罰を与えてやるからこっちに来い!」

「えっ!ちょっ!引っ張らないで下さい!うわぁぁあ!?」

「……黒野殿…ご武運を。」

 その日はノブナガと一夜を過ごす事になったが、クロノ言わゆる「やはり女性というものは恐ろしいな」と栄養失調のような症状でそう言い、ノブナガはと言うと「(うぶ)な男も悪くないな、黒野、気に入ったぞ。」とより一層イキイキしていたと言う。

□■クロノの拷問■□

「本当についてくるとは…私は冗談半分で言ったのだぞ?」

「だから心配だからって言ったじゃないですか…」

「……そ、そうか…」

 本能寺で夜を迎えることとなったこの日、クロノとノブナガは寝る前に少しばかり談笑していた。

「そろそろ良い頃合いだろう、私は寝る。」

「うん、おやすみ…段蔵」

「はっ、」

 クロノの真後ろから出てくる段蔵。

「明智光秀は、もう?」

「はい、1万程の兵を成して出て行きました。」

「何か異変を感じたらすぐにノブナガ様を安全な所へ。」

「承知。」

 そういった矢先

 わぁぁぁぁぁぁぁ!と声が聞こえる。

「おいおい、こんなに早いのかよ!」

「何事だ!」

 ノブナガが起きると、一人の兵が中に入りこう言う。

「ノブナガ様!明智です!明智光秀殿が奇襲をしかけてきました!」

「何!明智め…我も戦うぞ!槍を貸せ!」

「はっ!」

「いけませぬ!貴方がここで死んだら一体誰がエドを守るのですか!」

「ではどうしろと言うのだ。」

「………お逃げください、ここで光を失ってしまうと、夜が延々と続いてしまいまする、段蔵は既に馬を手配しています。」

「……誰がここを。」

「俺が…ここを前線を、戦います、ノブナガ様が、逃げる時間を稼ぎます、ノブナガ様は逃げながら多くの兵を、そして」

「ノブナガは何処だぁ!」

「段蔵!」

「ノブナガ様!行きましょう!」

「待て!黒野!貴様にここで死んでもらっては困る!」

「大丈夫ですって。」

「行きましょう!」

「黒野!黒野ぉ!」

 段蔵に担がれてもなお、クロノと叫び続けるノブナガは馬に乗せられ、馬の走る音は何処か遠くへと無くなる。

「さて、おい、軍はあと何人残っている」

「30人程しか残っておりません!」

「分かった!蘭丸(らんまる)殿!この寺に火を!ノブナガ様が己で死んだと思わせるのだ!急げ!」

「は、はい!」

「本能寺に火が移り切るまで戦うぞ!」

「はっ!」

「貴様!ノブナガをどこにやったぁ!」

「」

「無言で槍を構えるか…良いだろう!貴様が力ならば我々は数で貴様をねじ伏せる!やつを捕らえよ!」

「はっ!」

 そう言い、兵はクロノを囲む。

「でりゃぁ!」

「ぐっ!」

「貰った!」

「がっ!はぁ…」

 一人の兵がクロノに斬りかかり、クロノはそれを守るが、別の兵がクロノの後ろから頭を殴りクロノは倒れ、気絶する。

「こいつを拷問部屋に招待してやろう…こいつを連れて行け!」

「はっ!」

 そう言い、気絶したクロノを一人の兵が運んだのだった。


 それからクロノに対しての拷問が始まった。

「ぐっ…がぁぁ…」

「どうだ?重いだろぅ?開放されたいよなぁ…ノブナガの場所を教えたら開放してやってもいいぞ?ん?」

「……教えない…」

「ちっ…石を2個(推定して100キロ程)追加しろ!」

「はっ!」

 そう言い、兵は重そうに2つの石を持ち、クロノの足に積まれている5個の石に更に2個乗せる。

「あぁぁぁぁぁ!?あぁぁぁぁぁぁ!」

 スキルを持ったクロノでさえこれだけの声を出す。

「このまま1時間放置しておけ。」

「はっ!」

 そう言い、クロノは三角錐の木材の上に正座で乗り、7個(推定して350キロ程)の石を乗せられたまま、1時間程放置されるが「教えない」の一点張り。

「仕方ない…縛り拷問の準備をしろ!」

「はっ!」

 そのあと3メートル程の木に腕だけを縛られ、竹棒でひたすら殴られる。

「ぐっ…うっ…ぐぅ…」

「耐えてるだけじゃ何も起きねぇぞ!」

「教え…ない…」

「くそがぁ!」

 そのまま縛られ続けられ、腕が外れるまで拷問されたり、時には体を水の中に沈められたり、時には爪も剥がされ、耳の鼓膜も破かれたが、「教えない」とクロノはノブナガの場所を教えなかった。

「光秀様、どういたしましょう。」

「……構わん、奴を()()にする。」

「はっ!」

「……?」

 と言っているがクロノは鼓膜が破けているため何も聞こえないまま、意識を失うのだった。

「えっ!?クロノ君が…打首!?本当なの!」

 エドの「お玉荘」でもクロノの打首の事が告げられた。

「本当なのである、場所は処刑場があり、そこで刑が執行されるのです、ノブナガ様は未だ行方不明…クロノはご無事なのでしょうか…かと言って助けようとしたら捕まって打首になるのが落ち…もう助けられるのは処刑当日だけ…つまり明日しかないのである。」

「……クロノ君…」

 ヘイネスはクロノの無事を願って心の底から願うしか無かった。

「早くしろ!刑を執行するのだ!」

「はっ!」

 処刑当日、大量の人が集まる中、拷問によりボロボロで、鼓膜が破け、何も聞こえないまま、クロノは、目隠しされたまま正座をさせられ、首を落とされるのを待つしかなかった。

「―――――――――――――――――――。」

「?」

 耳元で何か囁かれたが、鼓膜が破れているクロノには全く聞こえなかった。

「――、―――――。」

「」

 横から気配を感じる、執行されるんだ…と思った瞬間。

「――!」

「―!?」

「?」

 ―人が、倒れた?そう思っていると、目隠しが外され、そこには段蔵が居た。

「――、―――――?」

「?」

 段蔵は何か話しているようだが、クロノは鼓膜が破れているため全然聞こえない。

「――?――!?―――。」

「?―!?」

 段蔵が何か話したと思ったら段蔵はクロノを担ぎ処刑場からどこかへ向かっている。

「―――!―――!」

 そこには鎧をつけたノブナガがいた。

「――――!―、―――?―――…――!?――――!」

「?」

 喜怒哀楽とはこういうことなのか…と思いながら、何も聞こえないので、何も出来ないし、話すことも出来ないが現状を少しでもいいから表現で表したい!

「あ…あうあ…ああ、」

「―――!――――!」

「うう、あうあ、あぁう。」

「――――!――――――!」

「――――…どう?聞こえる?」

「あ、うん…聞こえるよ、ありがとう…久々に声を聞いた気がするよ。」

「クロノ!無事か!何もされてないか!?」

「大丈夫です、この通り…ゔっ…」

「」

「ノブナガ様?どうなさいま」

「拷問と言う拷問をやられたのだな…黒野。」

「」

「良い、見ればわかるわ、ヘイネスとやら、黒野を安全な場所へ連れて行け、おい!お玉!お玉はいるか!」

「居るのである、ノブナガ様。」

「よし、皆の者聞けぇ!仲間は救った!しかし!彼はとても見てられないような傷を負った状態で帰った!拷問をされていたのだ!我はそれを行った明智光秀を断固として許さん!賛同するものは声を上げよ!」

「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」

「これよりは!明智光秀の首を断つ!全軍!突撃ぃぃぃ!」

「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」

「光秀様!こちらも軍で交戦しましょう!」

「突撃だぁぁ!」

「「「「「わぁぁぁぁぁぁ!」」」」」

 ノブナガと光秀の軍の交戦だったが、ノブナガには森蘭丸や柴田勝政などがおり、戦いはすぐに終わった。

「ぐっ…ここで…ここで負けるわけにはいかんのだ!」

「……そうか、しかし、黒野を傷付けたのだ…我は貴様を見逃す訳には行かないのでな、貴様にはここで死んでもらう。」

「ノ…ノブナガァァァァァァァァァァァ!」

「光秀…お前は我の敵に回った時点で」

 とつげた瞬間、鉄砲の音と同時に、光秀の心臓から血が飛び散ったのだ。

「がはぁ!?」

「負けは確定してるんだよ。」

 光秀は撃たれた場所に手を当て、そのまま倒れた、そう、死んだのだ。

「光秀は倒した!これにより脅威は途絶えたがまだ安心はできない!こんな私だが…ついてはくれぬか?」

「「「!?――――お、おぉぉぉぉぉぉぉ!」」」

「ノブナガ様…なぜ最後疑問系何ですか?」

「……聞くな。」

「あ、お玉さん、流石ですね、通称「超遠距離狙撃手(スナイパー)」だけあるね。」

「君だって不認定だけど「怪物殺(モンスター・キラー)」があるじゃないか。」

「お玉さんは認定だろ?」

「クロノ…あのぉ…後ろの人はぁ…誰?」

「え?後ろ…の…?」

「――――――――――」

「――――――――――」

「え…えっとぉ…」

 後ろを振り向くと、まるで光を失った、絶望した目をしてクロノをじっと見つめているアナ達、ちょっと…ってもんじゃないよ…普っ通に怖い…怖いんだけどぉ!?

「………クロノ様?」

「お、おう…どうした…ふぎゅっ!」

「クロノ様!クロノ様ぁ!」

「うぁぁぁぁぁん!死んじゃったと…思って…思ってぇぇ!」

「良かったぁ…良かったぁぁぁ!」

「クロノ様…クロノ…様…」(アウロラです)

「心配させないで!んもう!」

「あぁ…良かった…良かった…」

「すまねぇな…」

 抱き着いて来たアナ達をなだめようにもどうなだめれば良いのか分からないクロノだった。

□■旅立ち■□

「む、もう行くのか…」

「仕方ないのである…」

「いやお玉さんは来ちゃ駄目でしょ。」

「え?」「は?」

「だってお玉荘は?お玉荘はどうするの?」

「副女将を女将にしたのである、ほら、アナ達も了承したからここにいるのである。」

「お玉さんがそう言うなら本当なんだろうな…」

「それじゃあノブナガ様、俺は行きますね。」

「待て黒野!」

「はい、なんでしょ…」「」

「わぁ〜お…ノブナガ大胆。」

「「「「「は?」」」」」

「ノブナガ様の初キスがクロノかぁ〜」

「――っ!?」

 キスされたと気付いたのは、キスをされて約10秒経った後。

「ふふ…これで貴様は我の物だな、他の者には渡さないぞ?」

「お…おぉう…」

「クロノ?お〜い!駄目だフリーズしてるや…そ、それじゃあこれで失礼するのである。」

 フリーズしたクロノを担ぎ、お玉は馬車に乗り出発した、その後クロノがわれに戻ったのはその数十分後だった。

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