鍛冶士の国メイス
□■鍛冶士の国メイス その前■□
「「「「「」」」」」
「クロノ君…殺さろされないでね?」
「分からん…死ぬかもしれんな…」
「誰のせいでしょうね。」
「「お前のせいだよ。」」
ブリュンヒルデが仲間になって以降、手綱を持つクロノの隣をブリュンヒルデが占領しているせいでアナ達からはとんでもない殺気を感じるようになった。
「あ、ヘイネス、次の国ってぇ…」
「え?あぁ、メイス?あそこはドワーフ族の国ねぇ…武器輸出国としても有名な国なんだよ、ほとんどの高価な武器はメイスの国から来てるんだよね。」
「へぇ〜じゃあこれも加工してもらえるかなぁ…」
「これはぁ…何?」
「いえ…実は最近錬金術と言う物に一度挑戦しみたんですけど、オリハルコンが完成しましたが…そのせいで俺の魔力がごっそり持っていかれたんで二度とやりません。」
「は…ははは…。」
「それはさておき…見えましたね、メイス…よし!お前ら!準備だけしとけぇ!さ、ブリュンヒルデも。」
「……分かりました。」
ブリュンヒルデがクロノから離れると、アナ達の殺気の込められた目では無くなった。
「さっ!行くかぁ!」
そう言い、クロの一項はメイスに向かった。
□■鍛冶士の国メイス■□
「おや、旅人さんですか?」
「は…はい。」
「あなたはぁ…これはこれは、クロノさん。」
「え?知ってるんですか?」
「えぇ、称号が不認定にも関わらず恩恵無しでもファフニールと互角に戦えるとか…本当ですか?」
「んまぁ…そうです…ねぇ。」
「凄い!あの噂は本当だったんだ!っと…取り乱してすいません。どうぞ、入国を許可します。」
中に入るとそのには。
「どうだい!この鉱石!純度99%を越した純度の高い鉱石さ!これで武器を打てば強い武器なんてすぐ作れるぞ!」
「いやぁ〜中々難しいなぁ…鏃というものは…」
「さぁ!今日はハンマーの大安売りさぁ!買った買ったぁ!」
武器を作るための材料を売る場所だった。
「すげぇや…こんな所初めて見たよ…」
「クロノ君が初めてって…」
そんな中、ドワーフがこういう会話をしていた。
「そろそろ品定めの時期だなぁ…」
「あぁ、ドヴェルグ様は一体誰を?」
「んまぁ決まってるだろ、あの人には許嫁が居るんだ。」
「そうだな。」
「品定め…とはなんですか?」
と、ドワーフの会話の中にクロノが入る。
「ん?あんた旅人かい?品定めってなぁ簡単なことさ、腕自慢の奴が集まって面接、武器制作、そして、最後に残った二人で百本武装ってのをやるのさ。何だいお前さん…良い面してんじゃねぇか。どうだい?品定め、やって見ないか?今日までが参加の受付なのさ、それと一緒にドヴェルグ様に挨拶しに行きゃ良い。」
「ありがとうございます、お優しいのですね。」
「がっはははははは!優しいか!俺が!っはははははは!」
「痛たたたたたた…分かりました、俺も参加してみます。」
「おう!行ってこい!」
「ってことで参加してくるわ。」
「……クロノ君は本当にブレないねぇ…」
「それは褒めてる?貶してる?」
「両方…アナちゃん達はクロノ君の参加申込をしに行ったよ。後で褒めてあげて。」
「言われなくてもわかってる。」
「クロノ様、我々、クロノ様の申込をしておきました。」
「お前らありがとう。いつも世話になって。」
「勿体無いお言葉です。」(あぁ…クロノ様お優しい…)
「気にしないでぇ〜!」(やった!クロノ様に褒められた!)
「え、あ、えっと…」(うぅ…優しすぎるよぉ…)
「」(クロノ様…お優しい仕えてて良かった。)
「気にしないでぇ〜」(何をして貰おう。)
「我々がやりたくてやっているだけです。」(長文の為省略)
「さ、取り敢えず行こっか、ドヴェルグ様に。」
「あ!旅人さんですね、ドヴェルグ様がお待ちです、ご案内致します。」
「分かりました、ヘイネス達は先に宿に行っててくれ、後で向うよ。」
「分かったぁ!」
一旦クロノとヘイネス達とで別れ、ヘイネスは宿、クロノは城へと向かった。
□■許嫁の真実■□
「こちらでドヴェルグ様が待っております。」
「あ、ありがとうございます。」
「居るな?入るが良い。」
「し、失礼します。」
「……兵士はいなくなりましたね?」
「はい…そうですね…ふぎゅっ!?」
「クロノ君って言ったね?可愛いなぁ〜よぉ〜しよしよし!」
「お、俺は犬じゃないんですけど」
「大人しいのは何でかなぁ〜?ん?」
「うぐっ…」
「受け入れようとしてるんじゃなぁ〜い〜?」
「」
確かにそうだ、クロノは自然にこの人を受け入れようとしてしまう。
「そ、そんなことはぁ…」
「………あぁ!もう可愛い!」
「ふぎゅっ…」
ドワーフの女性に抱き着かれたが、20分程で開放された。
「ありがと、少し気が楽になったよ。」
「は、ははは…それで…お話とは…」
「うん、君に今回の品定めで勝って欲しいんだ。」
「そ、それは…いや、理由は言えないんですね?」
「うん、このネックレスのせいでね。」
「ネックレスから邪悪なオーラを感じると思ったら…そう言うことか…あなたは脅迫されてるんですね?命とこの国を人質に、」
「」
まるで「良くわかったね…」と言う様な反応。
「そして、品定めでの許嫁と結婚すればこの国が乗っ取られてしまう…と。」
「」
静かに頷く。
「……分かりました、品定め…勝ちます。」
「信じても良いのね?」
「……そんな奴許すわけ無いでしょう、信じても構いません。」
「ありがとう…そろそろ帰った方がいいわね、そろそろ日が暮れるわ。」
「はい、では明日…絶対に来ますから。」
そう笑顔で告げるが、心の奥底から、紛れもない殺意と憎悪に溢れていたクロノだった。
□■品定め■□
品定め当日
「今から品定めを始める!全員案内された部屋に行くよう!」
番号に指定された場所へ向かう。
「俺はぁあったあった、A-20…あ、一番最後じゃん俺…長くなりそうな未来…」
と思っていると、どんどん面接が終わっていく。
「あら、未来が外れた…」
「20番さん、どうぞ。」
「」
コンコンコン、ガララララ…と戸を開けて。
「失礼します。」
と言うと。
「申し訳ありません、我々の指示が来るまで外で待ってはくれませんか?」
「あっ!す、すいません!」
クロノは慌てて外へ出る。
「……ブフッ…」「わ、笑うなって…っくく…」「だ、駄目だ…あんな反応されたら…防音壁…」
「「「っはははははははははは!」」」
「や、やべぇってあの反応は…」「ドワーフ達だとあんな反応しないから…っくく…」「は、腹痛ぇ…っとと…そろそろクロノさんを呼ばないと、崩壊解除…どうぞお入り下さい。」
「失礼します。」
その後面接は、武器の事が主だった。
「あなたはどのような武器を使えますか?」
「大体の武器は使えます、でも他人の武器はそこまで使いたくありませんね。」
「武器はあなたにとっての何ですか?」
「武器は僕の英雄であり僕の躰です。」
「もしここで武器を使うのなら何にしますか?」
「短剣ですね。」
「理由を?」
「はい、これだけのスペースだと長剣でも良いのですが、あまり荒らしたくないので。」
「分かりました、ではお話は以上です、こちらの紙に書いてある所に向って下さい。」
「ありがとうございました、失礼します。」
「あんな面接で良いのかなぁ…っと…ここが…『工房部屋』か…よし入ろう。」
「これから『武器打ち』をして貰う!各自移りたい場所に移るように!」
といった瞬間周りのドワーフは主に打つ方に移るが、仕上げの方には誰も居ない。
「……仕上げをしないと武器が泣くぞ…仕上げに移ろう。」
と、クロノが仕上げに回ると向こうからヒソヒソと小さな声で聞こえないが何かを呟いている。
「おいあの人族仕上げに移ったぜ?」「馬鹿だなぁ…あいつ」「仕上げが一番得点低いのによぉ…」「あいつもう不合格確定だな。」「とっとと終わらせようぜ。」
どんどん武器が来る、見ていると気付くことがある。
(……武器が…泣いてる?)
普通に見ると何もないように見えるが、クロノには「魔眼」が存在する、魔眼で見るとすべての武器から泣き声のような音がするのだ。
(……痛いところは…どこだい?)
武器を優しく撫でながら場所を見る、すると
(この光…は…ここが…痛むのかい?)
一つだけよりいっそう光る所がある、そこにクロノは指に魔力を込めながら撫でると。
(泣き声が…無くなった…)
そう思い鞘にしまい審査員に渡すと
「ありがとう…」
「っ!?」
誰か俺にありがとうって言ったか?と思っていると。
『条件達成、超特殊スキル:鍛冶の神を獲得しました。』
その後クロノは、武器を触り、魔力で修復、その度に武器から感謝の声が聞こえるような気がした。
「そこまで!配布された用紙の場所に行くように!」
ドワーフ達は「終わった終わった!」などと言い出ていく、しかしクロノは一人残っていた。
「…何をしている、行かないのか?」
「いえ、まだ悲しんでる武器が居ます、放っておけません。」
「……少し待っていろ…あぁ、あぁ…すまない。」
「えっと…」
「許可は貰った、思う存分武器を直すが良い。」
「ありがとうございます!」
武器を直すのに数十分、全ての武器を終わらせる。
「ありがとうございました!失礼します!」
と、クロノは指定された場所に走る。
「……全く…感謝してるのはこっちだよ。」
審査員が武器を抜くと、武器は真っ白に光輝いていた。
「……こんなに凄い武器にしてくれるんだから…」
「ここはぁ…」
「おめでとうございます、クロノ様、」
「様付は辞めてください、」
「では、クロノさん、最終試験です、名前は『百本武装』と言う物です、百本の武器に変わる剣を渡します、適正な攻撃をすることにより、武器は別の武器に変わります。百回終わると武器は無くなります、また、反則として、外からの妨害、魔法攻撃などを反則としております、殺人などは反則ではないってどうかしてません?」
「おかしいな…それは、でも死んだってことは、より強い奴が婚約者ってことじゃないの?」
「…なる程」
つまりどれだけ早く適正な攻撃をして武器を無くすか…ってことか。
「この武器は相手に攻撃しても痛みも感じませんのでご安心ください。」
「分かりました、言ってきます!」
『さぁやってまいりました!百本武装です!東門からは!ドヴェルグ様の許嫁!そしてこの戦いに勝ったら結婚をするそうです!トールキン・エッダ氏!入場です!』
エッダが入ると周りからの歓声が聞こえた、
『そして西門!面接、武器に置いても全て満点と言うどんでん返しをしてきたこの少年!何やら秘密があるようです!クロノさん!入場です!』
クロノにもエッダに負けない歓声だった。
「君かい?俺のドヴェルグに吹き込んだのは。」
「さぁ?なんのことかな?取り敢えず戦った後話しても良いんだぜ?俺がブチ切れてなきゃの話だがな。」
「そうか、それは残念だな、僕も本気を出すから負けないで瞬殺されないでくれよ?」
『双方武器を構えて!』
「「」」
『はじめ!』
クロノは様子を見る、相手の器を定めないとどんでん返しを食らうから…と言う事で構えながらじっと立つ。
「来ないのなら…俺から行かせてもらおうかなぁ!」
と、物凄いスピードで斬りかかるが
「な…にぃ!?」
「……まず一回」
そのスピードの更に上を行くクロノ、エッダの武器は剣のままだったが、クロノは剣から槍に変わっていた。
「どうした…そんなものか…期待した俺がアホらしい…」
「ふ、ふざけるなぁ!」
「………甘い」
突進してくるエッダの首に槍を刺す、すると槍は弓矢に変わった。
「が…はぁ…何故だ…」
「防御無視攻撃だからな…お前が悪いだろどう考えても。」
「な、舐めるなぁ!」
(っ!?スピードが速く!)
エッダが放った横薙を両腕で堪えるも、壁に直撃した。
「がっ…ぐぅぅ…はっ!」
エッダが槍で攻撃してくる姿を見たクロノは下に回避し、エッダの背中に矢を放つ。
「ぐっ…」
弓矢は鋼装拳に変わり、クロノの拳についた。
「俺は!ドヴェルグと結婚して!この国を変える夢があるのを邪魔するんじゃねぇ!」
「っ…てめぇは結婚してこの国に何するつもりだぁ!」
「っ!!?」「何だこの寒気は…」「さ、寒い…」「あっが…ががが…」「おい!しっかりしろ!気をしっかりもて!」
「クロノ様が…お怒りに…」
「………あの人死んだ」
「アウロラ喋れるの!?」
「」(静かに頷く)
クロノは、ブチ切れ、エッダの顔面に本気の一撃をかます。
「っ!?」
ベキベキベキ、と頭から嫌な音を鳴らせ、エッダの頭を壁にめり込ませる、すると物凄い勢いで壁に大量の血が飛び散る。
「きゃぁぁぁ!」「エッダ様ぁ!」「おい!担架!担架持って来い!」「駄目だ!あんな血の量で生きてるはずがねぇ!」
「……クロノ君…」
「…まだだ…まだ…何か来る!」
と言った直後、エッダからドス黒いオーラを感じる。
「何だありゃ!?」「で、でも…あれは…」「馬鹿な!あれは封印されたはずだぞ!」「何故あれがエッダ様の身体に取り憑いているんだ!」「奴が…デーモンが復活したのか!」
「俺…はァ…俺ハぁ…ココで負けン!負ケんぞォぉ!」
「……デーモンと混ざって言語が壊れてやがる…仕方ない…戦うしかないようだ…」
「シねェ!人間ん!」
大振りの攻撃をする、それは速く鋭いものだが、
「ふん…」
「な、ン…ダトぉォ!?」
クロノのスキル衝撃吸収と特殊スキル守護者によりクロノは片手で止める。
「こんなものか、なら、こっちも!」
『スキル:怪力を会得しました。』
「ナ、何ぃ!?」
デーモンと化したエッダの太い腕を両手でしっかり握ると、クロノを軸に回転し始め、それは後に風が起こる程の速さとなっていた。
「ハ、離せぇェ!」
「ふん!」
そしてその速さで地面に叩きつける
「ゴぼッ…グガぁ!?」
「トドメはこれで死ぬんだな…死は必ず来る。」
「ガっ!アあアああアァァぁァァァぁぁァ!?」
クロノは苦しむエッダにこう告げる。
「死を持って罪を抗うんだな…エッダ。」
「ウぐっ…が…がァァ…」
エッダはうめき声を上げながらまるで操る者がいなくなっなったかのように白目を向き死んだ。
「……お前はいつから取り憑かれていたんだ…エッダ…」
白目を向いて死んだエッダの死体に慈悲を与えるかの様に静かに近付き、帰ってくるはずもない質問を投げ掛ける。
「んまぁ勝負は…俺の勝ちだな。」
「「「「「」」」」」
流石に衝撃過ぎたか…と思った矢先、
「うおぉぉぉぉぉ!」「すげぇ…すげぇぞあいつ!」「クロノ君大好きぃ!」「おいてめぇ!勝手に告白してんじゃねぇ!」「全く何やってんだか…」「そういえばクロノは何を望むんだろうか…」
「えっと…うぅん…ドヴェルグ様ぁ!円卓会議のご参加お願いします!あ、あと。」
そう言った瞬間、クロノはドヴェルグの前に来て、
「これはもう…ただの飾りですね、姫様。」
「///!?」
「それじゃあ俺はこれで、失礼しました。」
静かに闘技場に飛び降りたクロノは周りの歓声を後に、元入ってきた門をくぐり、その場を後にした。
□■旅立ち■□
「それじゃあ俺はこれで失礼しますね、」
「うん、また…会えるかな?」
「さぁ…それはどうでしょうね、もう変な男性に好意を向けるのは駄目ですよ?」
「わ、分かってるわよそのくらい!」
「では円卓会議の参加…その条件、守って下さいね。」
「うん!もっちろん!クロノ君が国王じゃないってのが悔やまれるわね…とほほ…」
「何言ってるんですか…っと…これ以上待たせるのもあれなのでそろそろ行きますね!それじゃあ!」
「うん!さよなら!また会おうね!」
「はい!また!」
そう言い、クロノが乗った幌馬車は国をあとにする。
「」
「…どうしましたか?姫様。」
「はぁ…クロノ君…」
「……もしかしてあの人に対して好意を?」
「そ!そそ、そんなことはぁ…無い…とも言えない…かも…」
「……好きなんですね?」
「…多分。」
「大変だぁぁぁ!姫様が!恋をしなさったぞぉぉぉぉぉ!」
「ちょっ!ちょっとぉ!」
その後、そのドワーフの秘書はドヴェルグにこっぴどく叱られたらしい。