文化部にしようかなあ
この物語は、橋本が橋本に影響力を与えるために、橋本が魂を削って橋本のためだけに物語を紡ぐ小説家を目指す、橋本利一の『インフルエンサーノベリスト』の提供でお送りします。
twitter:@hassiy2
ブログ:『インフルエンサーノベリスト』http://www.hassiy2.com/
部活動は運動部はやめて、文化部にすることにした。
文化部は運動部と比べて、特段に力を入れているわけではなく、生徒の自主性に任せてのんびりとやっているらしい。
昼音と話し合って、僕には文化部が合っているんじゃないかという結論に達した。
問題はどの部活に入れば良いかということである。
担任の佐藤先生に相談したところ、顧問をやっている文芸部が良いんじゃないかと言われた。
先生にはもちろん話していないが、僕は物書き志望なので、僕にぴったりな部活だと思った。
ただし、先生がいうには文芸部は現在、活動をしていないらしい。
なぜなら――。
部室の扉を開けて、おおよその察しはついた。
机も椅子も片付けられたその部屋はがらんどうで、人の気配はない。
部員がいないのだ。
佐藤先生曰く、昨年まで在籍していた生徒は全て三年生で、既に卒業してしまい、新規部員が入らない限りでは廃部になってしまうということだった。
「いいじゃない。文芸部。まさに、SOS団ね。これで、長門がいれば完璧だけれど、流石にそうはいかないみたいね」
昼音は部屋を眺めながら、そう言うと、「決めた。私も文芸部に入る」と右手を挙げて宣言をした。
「昼音。いいのかよ文芸部で、バド部とかバスケ部に誘われているんだろう。昼音は身長も高いし、運動神経もいいから、絶対、運動部がいいと思うけど」
そう忠告してあげると、昼音は膨れっ面を作り、首を振った。
「運動部なんてありきたり過ぎるわ。ルールに則って、やりたい放題できないのはつまらない。それよりも、SOS団みたいに文芸部を隠れ蓑にして色んなことをやってみましょうよ。きっと楽しいわよ」
「いろいろねえ。あんまりパクりすぎるのもよくないと思うけど、それよりもなによりも部員だよ。部活動として成立するには、最低でも四人以上の部員が認められなきゃいけないって校則に書いてあるんだ」
僕は生徒手帳を胸元のポケットから引っ張り出すと、昼音の眼前に突き出す。
すると、昼音は嫌そうな表情を浮かべて、校則を押しのけると、なってないと言わんばかりに、首を傾げた。
「校則なんて本当にうっとうしいわね。二人でも、仲良く実践的に活動すればいいのに、本当に頭の硬い大人って嫌ね」
「でも決まりは決まりだからね。佐藤先生に無理を言って押し通すのもどうかなって思うし……」
「じゃあ、勧誘しましょ。相撲部のあんな強引な勧誘が黙認されているくらいだから、結構色々できると思うわ」
昼音は決まりねと言い切り、入部届に文芸部と書き込むと、佐藤先生に提出しにいった。
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