ドラゴンと決意
・・・
「・・・ねえ、リグ」
「なんだい?アタル」
「なんだか出口に、ドラゴンが寝てる気がするんだけど、ぼくの気のせいかな?」
「いや~僕の目にもそう見えるね?」
「俺にもそう見えるぜ」
「ぼくも~」
・・・なんてことだ。
せっかくここまで来たのに、最後に青黒いゴブリンも巨大なムカデも霞んでしまうほどの強大な番人がいるなんて。
普通に考えてみれば、竜の卵があるような場所にそれを守護する番人がいるのは当然か。。。
ドラゴンとしてはそこまで大型ではなさそうだけど、それでも十分な体躯を誇っている。
・・・なんて、
・・・なんてことだ・・・。
なんてかっこいいんだ!!
やっぱり竜使いになるしかないよね!
ドラゴンを前にして目をキラキラさせているアタルをみて、残りの3人は若干引いている。。。
でも、確かにぼくらはあの偉大な生き物と絆を結ぶためにここまで来たはずだ。
まずはなんとかして突破する方法を考えるべきだと思う。
子供たちが小声でドラゴンをべた褒めしているのが聞こえている訳ではないだろうが、若干ドラゴンの口元がにやけているようだ。。。
さて、巨大ムカデのようにスライムをけし掛けてもブレス一発で消滅するだろうし、リグの鎧で閃光を浴びせてもめちゃくちゃに暴れて踏み潰されてしまう未来しか想像出来ない。
「赤い粉を全部ぶっこんで、覚夏の術は?クシャミ100連発してる間なら、こっちに気づかれずに突破できるんでは?」
「春眠の術もそうだけど、粉を運ぶ風の魔力を探知されちゃうんじゃないかな~?」
「そうか~。それじゃシャドウで隠れていくのも難しそうだね。」
「ぼくのもってる粉全部と、風の魔力とヤジルの火の魔力に魔石をつかえば、ちょっとした爆発くらいなら起こせるかもしれないな~?」
「おお、それいいんじゃね?」」」
「でもここで使うと洞窟崩れちゃうかも~?」
「だめだろそれ!!」」」
ドラゴンの口元が若干ヒクついているように見えるが、気のせいだろう。。。
「でもあのドラゴン、全然起きる気配がないし、こっそり傍を抜けたら通れないかな?」
ドラゴンもウンウンとうなずいている。
「アタル、さすがに魔力を使っていなくても、気配で気づかれるんじゃないかな?」
「でもぼくらは危害を加えたいわけじゃないし、尊敬と友愛の念をもっていれば、きっとドラゴンは大丈夫だってマザーも言ってたよ!
それでダメならぶっ飛ばしな!とも言ってたけど」
マザーの名前が出てくると、ドラゴンの顔色が青くなった。
「さて、そろそろぼくは行くよ。ぼくはなんとしても竜使いになりたいからね!」
「俺だって竜騎士王になるんだからいくぜ!」
「ふたりが行くならぼくだってついていくよ~」
「は~・・・。しかたないね。3人放り出して僕だけ帰るなんてありえないし。
それじゃあ、どうなってもみんな、後悔だけはしないね?」
「あたぼうよ!」」」
「それじゃあみんないこうか!」
「お~!」」」
4人が慎重に進み始めると、ドラゴンのイビキが一層大きくなった。