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平凡な男の平凡な転生  作者: みけ
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ウィンディア

短いと思いますが、当面2千字前後書きたまったら投稿していこうと思います。

翼を大きく広げた鳥のような形をした大陸。

そこに住む人々は、かつて大陸統一を成し遂げた王国の名をとりウィンディアと呼んでいた。


ウィンディア中央北部に位置する半島、鳥に例えるならば、頭から首の部分が頭部地方と呼ばれている。


その頭部地方の北方、深い針葉樹林と万年雪を頂く険しい山々が連なる頭蓋山脈の麓、雪解け水を集め山脈の北東から南西へと流れる清流、涙河の岸に高く美しい城壁を持つ古都ユーブリックがある。



『お〜き〜ろっ♪おっきっろ♪起きなきゃしんじゃうよ〜♪』


城壁に近い草地にひとりの若い男が倒れていて、その男を妙な節をつけて、短槍の石突きでつつく少女がいる。

少女は冒険者なのか、革の部分鎧に、質素なズボンと革靴をはき草色のマントをみにつけていた。短いボブカットの髪は明るい鳶色で前髪のひとふさが跳ねている。髪と同じ鳶色の大きな瞳は好奇心に輝き彼女の表情をより魅力的なものにしていた。


一方、つつかれている男は、シンプルなシャツにズボン、革のサンダルを身につけ、中肉中背よりやや華奢な体つきをしている。黒髪とこんなところで熟睡していること以外は、どこにでもいる平凡な青年といってよい。寝ぼけているのか男は、小さなうめき声をあげて身をよじる。


『う〜ん、澄江、もう少し寝かせてくれないか…』


妻の名を無意識に呼びながら、短く整えられた頭を抱え込み男は再び眠りにつこうとする。


『スミエじゃなくて、ピノだよ!寝ぼけてると、死んじゃうよ!あれ見てみ!』

ピノと名乗った少女は、男の首根っこを捕まえて河の向こうへとむける。『痛い!わかった起きるから、えっ!!』


男の目に広がったのは、河の向こう岸に、見渡す限り広がる、おびただしいまでの槍と旗、鎧を身につけ大きな盾を持つ歩兵と馬にまたがり、白銀鎧をみにつけた騎士たちだった。


『わかった?わかったら、走るよ!』


ピノは、その大きな瞳で、男の黒い瞳をのぞきこんだあと、一目散に走り出した。

小さな体のどこにそんな力を秘めているのか、かなり速い。


男も後を追いかけるようにあわてて走り出す。


気がついたら、知らない天井とか、草原や森のなかということは予想していたけど、軍隊の目の前で可愛い少女に起こされるのは予想外だったな。


『私は、田中 太郎。おこしてくれてありがとう』


体がずいぶん軽いな、かなりのスピードで走るピノを追いかけてもあまり辛い感じはしないし、会話もできそうだ、自己紹介をしておこう。


『タナカタロオ?、変な名前だね、あたしはピノ、コビット族だよ』


ピノは槍を持っていない左手をシュタッと手をあげ笑顔で返す。


間違われた。コビット族ってなんだ?太郎が間違いをただし、尋ねようとしたとき、背後から角笛のような音が響く。

『やばいよ〜!!いっそげぇ〜!!』

ピノは地を這うようなしなやかな走りで加速した。

聞いてる暇はなさそうだな。詳しい話しは後回しにして太郎も速度をあげる。


矢のように走る二人の後ろに、河向こうの軍勢から、槍サイズの矢が、唸りをあげて飛来する。

二人を追いかけるように、次々と地面へ刺さる巨大な矢に串刺しとなることなく、どうにか城門の中へと駆け込んだ。


『おい、ピノ、帝国のやつらをからかうのもいい加減にしねぇと、針ネズミになっちまうぜ?』


タイミングよく城門をあけてくれたらしい、がっちりとした筋肉質の男がピノに声をかけた。

『ありがとう♪モスバ、愛してる♪』


ピノはその男、モスバと親しいのか、礼とともに投げキッスを飛ばす。


『よせやい、俺はロリコンじゃねぇ』


モスバは、厳つい顔をしかめ言葉をかえすが、裏腹に悪い気はしてないようだ。

『失礼な、あたしは食べ頃熟れ熟れのお年頃だぞ』


ピノは腰に手をあて体をくねらせポーズをとるが、子供が大人の真似をしているようにしか見えない。モスバは慣れているのか、無視して尋ねる。


『それより、そっちのあんちゃんは誰だ?みねぇ顔だな』


さて、なんて言い訳をしようか、定番は記憶喪失かな?太郎が迷っているとピノが割り込んできた。

『外で拾ってきた!たぶん流れ人だよチェッカーだして』


好奇心に目を輝かすピノにまた、顔をしかめ少し困ったようにしながら、モスバは門の脇にある小屋に案内する。


『こいつはな、流れ人を拾うのが夢でな、何人も拾ってきちゃいるが、当たりを引いたことは一度もねぇ、あんたも帝国から逃げてきた奴隷かなんかなんだろうけど、ちょいとつきあってくれや』


だから流れ人ってなんだろう?モスバは太郎が疑問に思っているとは気がつかないようだ。


小屋の中は、簡素なテーブルと椅子と戸棚がいくつか置いてある。

モスバは奥の戸棚から、水晶玉をはめこんだ箱を取り出してテーブルに置いた。

手際よく水晶玉の横小さな穴に薄い緑かかった八面体の結晶をはめこむ。

『ほれ、手を乗せてみろ』


モスバに促され太郎は、ぼんやり光る水晶玉に手をのせた。


水晶玉の光りが強くなり空中に白い四角が浮かび上がり文字が表示される。


名前 タロウ・タナカ

性別 男

年齢 15

称号 流れ人

レベル 1

体力 D

敏捷 D

器用 D


知性 D

生命 D

精神 D


魔力 D


ギフト

神の眼

アイテムボックス


なんか、ゲームみたいだな。このステータスが高いのか、低いのかわからないし、ギフトってなんだろう?

悩む太郎を他所に、ピノは称号の「流れ人」

をみつけて歓び、万歳しながら跳ね回っていた。

お読みいただきありがとうございます。

なるべく週1回は投稿できるようにしたいと思います。

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