表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第一話:ある日曜日の出来事

僕、駿叶。『はやと』って読むんだ。これだけでもパパとママが気合い入ってるな〜って思う。今でもこの名前を気に入って自慢してる親がサッカー観てます。僕は3歳になるんだけど僕の事、気持ち、パパとママはどれくらい知ってるのかな〜って時々思うんだ。

この前なんてね・・

ある日曜日にママがお仕事で、パパと2人っ切りの日があったんだ。

これだけでも嫌な予感だ。

朝起きたらもうママはいない。

ちょっと寂しくなってベソかいてたけどパパは爆睡。

起きようともしない。

多分目は覚めていたと僕は確信している。

そこで!日曜日の朝一番ウルトラマンメビウス!必殺キックで『おはよう』したよ。

なんて爽やかな日曜の朝なんだ。

ママが作ってくれてた朝ご飯を一緒に食べて、パパが仕切りに言う。

『駿叶、どこか行こうか〜?』って。普通なら喜んでどこかに連れて行ってもらうけど、今日はそうはいかないぞ。だってX'mas前でオモチャの下見ってバレバレだしね。という事は行っても『サンタさんにどれお願いしようか?』って決めるだけで、今日は‘買ってもらえない’って決まってるようなもんだから。だから断ったよ。ちょっとは行きたかったけどね。

天気よかったから庭に出たよ。

パパにウルトラマンの教えの『天気のいい日は布団を干すこと』を教えてやった。

僕が穴掘りとか土遊びしている間にパパは布団を干してたよ。

それが終わったら何と!珍しくパパがゴルフクラブを持って素振りを始めた。素振りだけはプロ並だよ、ちょっと自慢だね。自慢といえば、パパは全盛期に7番アイアンで180ヤード飛ばしてたらしいよ。凄い、パパ!僕もマリオのゴルフクラブ千円のセットを持ってきて素振りしたよ。パパが教えてくれたけどちょっとウンチクが多いな〜。

パパが限界にきたんだろう。

『公園に行こう』って言ってきた。そういえば、パパは休みの日にジッとしていられない人だったんだ。僕は滑り台が好きだし珍しく気が合った。2人で出掛けた。久しぶりの公園にはちょっと様子が変だった。そうリニューアルオープンしたんだ。山の斜面になななんと長い滑り台の登場。これにはパパと僕も驚いた。早速新しいモノ好きなパパが『乗るぞ!』って言ってきた。もちろん僕も負けない。2人で階段を登って行ったんだ。途中からパパが階段と滑り台のスタートとの最短距離にチャレンジし始めて。直線を突っ切る作戦に変更した。それはいい考えだとパパを尊敬した・・・これが後々とんでもない事になろうとは・・・

斜面は思ったよりきつく、まさかと思ったがパパが座って煙草を吸い始めた。

いわゆる一服ってやつだ。

そこに運命の人が下から登ってきたんだな〜。

知らないお兄ちゃん、お姉ちゃんが元気よく丘を僕らの方へ向かってくる。

そしたら何を思ったかパパが『駿叶、お兄ちゃん、お姉ちゃんと一緒に滑っておいで〜』って。

しかもお兄ちゃん、お姉ちゃんに聞こえるように。

これも巧みなパパの作戦なのか?聞いた正義の味方お兄ちゃん、お姉ちゃんが僕を見て何やら話しをしている。

さすがの僕も固まってしまった。

そこへダメ出し『お姉ちゃん、お姉ちゃん、一緒に連れて行って〜』ってパパのとんでもない投げ出し。

マジかよ〜って僕は思った瞬間、お兄ちゃん、お姉ちゃんが僕を抱っこしてた。

オイオイって思いながら、お兄ちゃんは急斜面を僕を抱っこして登って行った。お姉ちゃんは『大丈夫だよ』って僕に語りかけてくれた。その力強さと優しさにジーンときた。ふとパパを探した。呑気に下で手を振っている。そうこうしているうちに滑り台のスタート地点に到着した。実はここからが問題である。

始めて滑るこの長い滑り台。

保育園とは比べものにならない。

参ったな〜っていうのが正直な気持ちだ。

そう、パパと一緒に、もっと言えばパパの膝の上に乗って滑るつもりだったんだよね〜。

計算が狂った。

スタート地点に立っている僕。

しかもこの滑り台は丁寧に特殊なコーティングがされているではないか!ツルツルだぞ。

後ろの方ではお兄ちゃん、お姉ちゃんが『頑張れ!』って無責任な事言ってる。

パパはゴール地点から手を振っている。

逃げられない。

涙がジワ〜って出ている。

ヤバいよヤバい。

この気持ち分かるかな〜。

心を沈め、ウルトラマンメビウスに変身した。

そう、僕は今ウルトラマンメビウスになったんだ!強い、強いんだ!座った。

僕は心の中でスペシウム光線を怪獣にぶつけ、やっつけた気持ちにまで高ぶらせた。

勝利を確信したウルトラマンメビウスが宇宙にショワッチって飛んだ時!僕は手を離し一気に滑った。

いきなりの直滑降。

凄いスピードだ。

高速直線からセナカーブのようなコーナーに飛び込んだ。F1なら到底曲がり切れないコーナーだ。体重が左に乗った。とんでもない遠心力だ。体を自然に任せ、傾きながらコーナーを上手く抜け出してまたも高速直線へ。ここまできたらもうゴールだ。前を見た。パパがチェッカーフラッグを振っている。M・シューマッハのラストランを思い出した。そしてついにチェッカーを受けた。シューマッハ、ありがとう。僕はやったよ。次はアロンソと僕だからねって思った。パパは呑気に『やるな〜駿叶』って言っている。パパは僕のこんな戦い・・・どこまで知っているんだろうな〜。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ