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第1話 あの、とっても恥ずかしいです。

 プリンセスジン。


 あの、とっても恥ずかしいです。


 気持ちいい。ある『とても大切な目的』によって、少し前から、ずっと一人でなれない旅をしているプリンセスのジンは森の奥にあった泉で水浴びをしていた。ずっと髪と体を洗えなかったから、本当に気持ちよかった。

 きらきらと木漏れ日の中で、ジンの美しい黄金の長い髪が輝いている。

 肌は白くて、耳がすこしとんがっている。

 ゆっくりとジンが髪を洗ってから目を開けると、ジンの瞳は『左目と右目が青色と緑色の違う色』に輝いていた。

 ジンは美しいお姫さまとして、とっても有名だった。

 一人で旅をしているときは、『いろいろと面倒なこと』が多くなるから、その美しい顔をわざとフードを深くかぶって隠していたくらいだった。

 ジンは泉の中ですこし泳いでみたり、ぷかぷかと浮かんでみたりして楽しそうに笑顔で、子供みたいに遊んでいた。

 美しい顔と体をしている背の高くて大人っぽいジンが裸で水遊びをしているすがたは、まるで有名な画家の描いた一枚の絵画のように見えて、ジン本人はまるで美しい彫刻のように思えた。

 あんまりも気持ちよかったから、とても油断していたのかもしれない。周囲の気配に気がつかなかった。(いつもなら気がつけたと思うけど、本当に油断していた)

 泉からあがって荷物を置いて、服を脱いだところに行くと、そこには『なにもなかったのだ』。

 場所を間違えたわけではない。(木に彫った小さな目印もちゃんとあった)『全部盗まれてしまったのだ』。

 ジンは思わず、へなへなとその場所にぺたんと座り込んでしまった。(もちろん、裸のままだった)

 服もなくなって、王家の証のペンダントも地図や旅の道具や荷物の中にある食べものやお金もなくなってしまった。(誰も人がいない森の奥だから大丈夫だと思ってしまった)

 ううん。それは、最悪だけど、油断していた自分が悪いと思った。(ここはお城の中ではないのだから)

 ……、でも、『あの聖剣』だけは、自分が悪かったで諦めるわけにはいかなかった。

 なんとしても聖剣だけは、盗人から取り返さなければいけない。

 それこそ、『私の命をかけても』。

 絶対に取り返さなくてはいけなかった。

 とにかくなるべく早く盗人を追いかけなければいけない。

 誰なのかも、どっちに行ったのかもわからないけど、まだ近くにはいるはずだった。でも、裸のままでは、恥ずかしい。(いくしかないとなったら、裸のままでもいくしかないけど)

 ジンは顔を真っ赤にしながら(裸で盗人を追いかけている自分の姿を想像してみたのだった)きょろきょろと周囲の森を見渡してみると、『大きめの葉っぱと木に巻きついている蔓』が見えた。

 ジンは(真っ赤な顔のままで)とっても悩んだけど、葉っぱと蔓で体を隠して、盗人を追いかけることにした。(本当に服だけでも、置いていってくれたらよかったのに。全部盗むなんてひどい)

「よし」

 大きな葉っぱで体を隠したジンはとりあえず森の中を走り始めた。

 どの方向に走るかはかんで決めたのだけど、(まったくのかんだけと言うわけじゃなくて、森の地形から逃げるならこっちかなとは思った)走り出してすぐに地面の近くに草木が少し不自然に折れたり、離れたりしているような、『誰かがここを通った痕跡が残っている』のを見つけた。

 絶対に許しません。必ず捕まえてこの屈辱の仕返しをして見せます。

 ジンは森の中を風のように走りながら、頬を膨らませて怒った顔をして、そんなことを考えていた。

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