別れたあとで、理由を知った
※大人向けの恋愛の話です。
終わったあとに知る本当の理由と、どうしようもない感情を書きました。
別れた理由は、よく分からなかった。
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喧嘩をしたわけでもないし、
嫌われた実感もなかった。
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ただ、
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「なんとなく、続けるの違う気がする」
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それだけだった。
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納得はできなかったけど、
引き止める理由もなかった。
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好きだったけど、
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それだけで続けられるほど、
何かが強かったわけでもなかった。
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だから、終わった。
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それから数年。
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特に思い出すこともなくなって、
名前を見ても何も感じなくなっていた頃。
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共通の知り合いと、久しぶりに会った。
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「そういえばさ」
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軽い話の流れだった。
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「あの人のこと、覚えてる?」
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覚えてる、と答えた。
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「なんで別れたんだっけ」
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そう聞かれて、少しだけ困った。
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説明できる理由が、なかったから。
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「なんとなく、かな」
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そう答えると、
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「ああ……」
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少しだけ、間があった。
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その間で、何かを察した。
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「え、なに」
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思わず聞いた。
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「いや、言ってなかったんだなって思って」
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その時点で、もう分かっていた。
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聞かない方がいいやつだと。
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でも、聞いた。
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「何を?」
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少しだけ迷ったあとで、その人は言った。
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「ちゃんと好きになれなかったって」
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一瞬、意味が分からなかった。
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「最初はいいと思ってたけど、付き合ってるうちに違うなって思ったらしいよ」
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言葉は軽かった。
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でも、
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ちゃんと残った。
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「……そっか」
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それしか言えなかった。
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嫌われてたわけじゃない。
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でも、
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選ばれてもいなかった。
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思い返してみれば、思い当たることはあった。
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優しかったし、普通に会ってたし、
楽しそうにもしてた。
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でも、
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どこか距離があった。
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踏み込めば来るけど、
自分からは来ない。
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あのとき感じていた違和感に、
やっと名前がついた。
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好きじゃなかったわけじゃない。
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でも、
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“ちゃんと好き”ではなかった。
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それだけだった。
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帰り道、少しだけ考えた。
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あのとき、それを直接聞いていたらどうしていただろう。
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傷ついていたと思う。
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今より、ずっと。
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でも、
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少しだけ楽だったかもしれない。
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理由があれば、終わり方も納得できた。
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曖昧なままより、ずっと。
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でも、同時に思う。
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あのときそれを言われていたら、
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自分は、納得できただろうか。
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「ちゃんと好きになれなかった」
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その一言を、
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ちゃんと受け止められただろうか。
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多分、無理だった。
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だから、
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あの終わり方でよかったのかもしれない。
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そう思おうとして、
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少しだけ、引っかかった。
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どっちにしても、
結果は変わっていないのに。
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それでも、
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知らなくてもよかったと思う自分と、
知れてよかったと思う自分がいる。
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答えは出ない。
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ただ一つ分かったのは、
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あのとき終わった理由は、
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ずっと前から、そこにあったということ。
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気づかなかっただけで。
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——あなたなら、その理由を知りたかったですか。
読んでいただきありがとうございます。
この話は、
「曖昧に終わる優しさ」と
「本音を知る残酷さ」
をテーマに書きました。
もしよければ、
・知らないままの方がよかったか
・知ってよかったと思うか
あなたの考えをコメントで教えてもらえると嬉しいです。




