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幕間:鈴木和馬のキラキラdays※ざまぁ回

東京から遠く離れた地方都市。


田園風景の中に近代的な商業施設が混在する郊外の街。

それがオレ、鈴木和馬の育った場所だ。


「和馬くーん! 今日帰りにカラオケ行かない?」


教室の喧騒の中、クラスの女子数人が俺に声を掛けてきた。

今日は月曜日。週末までの体力を蓄えるべきだが、誘いを断る理由はない。


「ああ、いいよ。新曲歌わせてもらうよ」


爽やかに返事をすると、「やった!」という歓声が上がった。


クラスの中心で笑い合いながら冗談を言い合う。

こんな日常を送るようになってどれくらい経つのだろう。

軽薄と思われるかもしれないが、これがオレにとっての「普通」なんだ。


授業が終わり、校門を出るとすぐ近くのバス停で待ち合わせた女子たちが待っていた。


「ごめん、お待たせー」

「全然。じゃあ行こうか!」

「誰から歌うー?」

「最初はやっぱ……」


バスに乗ると隣の席の女の子が自然と身体を寄せてくれる。

こういう些細なやり取りも含めて全てが快適だ。


カラオケ店に着くなり早速マイクを握りしめる。


最近ハマってる流行曲を選択し、軽快に歌い出す。

みんな楽しそうに手拍子してくれた。


「和馬くん上手すぎー!」

「もうプロデビューしちゃえばいいのに!」

「アハハ、それ無理だって!」


こんな時間が永遠に続いてくれたらいいのにと思う。


夜9時頃解散しバス停で別れる。

家路につくとちょうど妹の美咲と鉢合わせた。


「お兄ちゃんまたデート?」

「おいおいそんなわけないだろ」

「どうかなぁ~ 怪しいなぁ~」

「違うって。友達との集まりだよ」


美咲はオレよりひとつ下の16歳、別の高校にいったけど仲は良い。

ああ、オレは17歳の高校二年生だ。


妹は容姿端麗で成績優秀。オレと同じタイプの陽キャ。

やはりモテるようで兄貴としては心配にもなる今日この頃だ。


自宅に入るといつも通り母さんは仕事から戻っていないようだった。

美咲はリビングでテレビをつけて、オレはエプロンをつけて夕飯の準備を始める。


冷蔵庫から材料を取り出し炒め物を作っていると美咲が話しかけてきた。


「お兄ちゃんさぁ~」

「なんだよ」

「今日もいっぱい遊んだんだねー?」

「まぁな。楽しかったぞ」

「あー羨ましいなー」

「何がだよ」

「そりゃあ恋バナとかさぁ~」

「いやいやそういうんじゃないって」

「本当かなぁ~?」

「ホントだってば!」

「ふーん……まっいいけどさ」

「なんだよ急に」

「別にぃ~? ただちょっと気になっただけ」

「気にすることないって」


料理を完成させるとテーブルに運び座る。

スマホを取り出すとSNSを開く。

タイムラインには友人たちの投稿がずらりと並ぶ。


「うわ、またあいつ飲み会してるよ……」

「えっマジ?」

「ほらこれ」

「うっわ凄い盛り上がりじゃんウケる!」

「まったくどいつもこいつも好き放題やってんなぁ~」

「でも楽しいよねぇ〜」


食事も終盤になり片付けをしていると、

ポケットに入ったスマートフォンが振動した。

メッセージアプリからの通知だ。


【明日ヒマ?】という短い文面に既読マークがつく。

即座に返信しようとして指が止まった。

ふと見上げると美咲と目が合う。


「どうしたの?」

「え? ああなんでもないよ」

「変なの〜」

「ほっとけよ」


スマホ画面には【OK】と打ち込んだが送信する前に削除する。


(今日は疲れたし早く寝よう)


翌朝目覚めると外から漏れる光で目が覚める。

ベッドから起き上がって鏡の前に立つとそこに映るのは自分自身の姿。


しかし最近になって思うことがある。


この身体は本当にオレ自身のものなのか?


時折感じる違和感。

周囲への応対も自然すぎて逆に不自然ではないか?


奥底に沈んでる「誰か」が必死に呼びかけてきているような感覚がある。


俺を返せ


その声に耳を傾けることもあれば、

無視して目の前の生活を謳歌することもある。

けれどどちらを選ぶ権利も今の自分にはある。


「さて行くか」


制服に袖を通し鞄を持つ。

玄関ドアを開けると朝日の眩しさに目を細める。


「行ってきまーす」

「はーい行ってらっしゃーい」


家族の声を背に受け歩き出す。


これからどんな一日が始まるのだろうか?


オレは楽しみに思いながら、新たな一日を歩み出す。


---


田園風景の中に近代的な商業施設が混在する郊外の街。

それがオレ、鈴木和馬の育った場所だ。


(……ここは……?)


(意識の奥底から見える景色)


(懐かしいはずの故郷の風景がまるで他人事のように感じられる。

 俺は今……一体どこにいるんだ?)


「和馬くーん! 今日帰りにカラオケ行かない?」


教室の喧騒の中、クラスの女子数人がオレに声を掛けてきた。

今日は月曜日。週末までの体力を蓄えるべきだが、誘いを断る理由はない。


「ああ、いいよ。新曲歌わせてもらうよ」


爽やかに返事をすると、「やった!」という歓声が上がった。


(……なんだこの違和感は)


(確かに俺はこの教室にいる。

 だけど……俺じゃない誰かが俺の人生を生きている?

 鏡に映るのは確かに俺自身なのに……)


クラスの中心で笑い合いながら冗談を言い合う。

こんな日常を送るようになってどれくらい経つのだろう。

軽薄と思われるかもしれないが、これがオレにとっての「普通」なんだ。


(これが……普通なのか?

 俺はこんな生活を本当に望んでいたのか?)


授業が終わり校門を出ると、

すぐ近くのバス停で待ち合わせた女子たちが待っていた。


「ごめん、お待たせー」

「全然。じゃあ行こうか!」

「誰から歌うー?」

「最初はやっぱ……」


バスに乗ると隣の席の女の子が自然と身体を寄せてくれる。

こういう些細なやり取りも含めて全てが快適だ。


カラオケ店に着くなり早速マイクを握りしめる。


最近ハマってる流行曲を選択し、軽快に歌い出す。

みんな楽しそうに手拍子してくれた。


「和馬くん上手すぎー!」

「もうプロデビューしちゃえばいいのに!」

「アハハ、それ無理だって!」


こんな時間が永遠に続いてくれたらいいのにと思う。


(永遠に……? もしかして俺は……永遠にこのまま……?)


夜9時頃解散しバス停で別れる。

家路につくとちょうど妹の美咲と鉢合わせた。


「お兄ちゃんまたデート?」

「おいおいそんなわけないだろ」

「どうかなぁ~ 怪しいなぁ~」

「違うって。友達との集まりだよ」


美咲はオレよりひとつ下の16歳、別の高校にいったけど仲は良い。

ああ、俺は17歳の高校二年生だ。


妹は容姿端麗で成績優秀。オレと同じタイプの陽キャ。

やはりモテるようで兄貴としては心配にもなる今日この頃だ。


(俺が美咲を心配っ!? いやっ俺はコイツの事なんかっ)


自宅に入るといつも通り母さんは仕事から戻っていないようだった。

美咲はリビングでテレビをつけて、オレはエプロンをつけて夕飯の準備を始める。


(なんで美咲じゃなくて俺がメシを作ってんだよっ!)


冷蔵庫から材料を取り出し炒め物を作っていると美咲が話しかけてきた。


「お兄ちゃんさぁ~」

「なんだよ」

「今日もいっぱい遊んだんだねー?」

「まぁな。楽しかったぞ」

「あー羨ましいなー」

「何がだよ」

「そりゃあ恋バナとかさぁ~」

「いやいやそういうんじゃないって」

「本当かなぁ~?」

「ホントだってば!」

「ふーん……まっいいけどさ」

「なんだよ急に」

「別にぃ~? ただちょっと気になっただけ」

「気にすることないって」


(なんだよ……この会話は……美咲もなんで俺と楽しそうに話すんだ?

 俺はなんで……そんなに楽しそうにしてんだよ……?)


料理を完成させるとテーブルに運び座る。

スマホを取り出すとSNSを開く。

タイムラインには友人たちの投稿がずらりと並ぶ。


「うわ、またあいつ飲み会してるよ……」

「えっマジ?」

「ほらこれ」

「うっわ凄い盛り上がりじゃんウケる!」

「まったくどいつもこいつも好き放題やってんなぁ~」

「でも楽しいよねぇ〜」


(知らないっ! 全員知らない奴だっ! こんな奴等学校にいたのかっ!?

 いや……本当は……俺がそう思われてたのか……?)


食事も終盤になり片付けをしていると、

ポケットに入ったスマートフォンが振動した。

メッセージアプリからの通知だ。


【明日ヒマ?】という短い文面に既読マークがつく。

即座に返信しようとして指が止まった。


ふと見上げると美咲と目が合う。


「どうしたの?」

「え? ああなんでもないよ」

「変なの〜」

「ほっとけよ」


スマホ画面には【OK】と打ち込んだが送信する前に削除する。


(違う……違うんだ……俺はこんな生活なんて望んでいない……

 もっと……違う何かを追い求めていたはず……

 この俺の身体はもう……俺の意思では動かないのか……?)


翌朝目覚めると外から漏れる光で目が覚める。

ベッドから起き上がって鏡の前に立つとそこに映るのは自分自身の姿。


しかし最近になって思うことがある。


この身体は本当にオレ自身のものなのか?


時折感じる違和感。

周囲への応対も自然すぎて逆に不自然ではないか?


奥底に沈んでる「誰か」が必死に呼びかけてきているような感覚がある。


俺を返せ


その声に耳を傾けることもあれば、

無視して目の前の生活を謳歌することもある。

けれどどちらを選ぶ権利も今のオレにはある。


「さて行くか」


制服に袖を通し鞄を持つ。

玄関ドアを開けると朝日の眩しさに目を細める。


「行ってきまーす」

「はーい行ってらっしゃーい」


家族の声を背に受け歩き出す。


(この先にあるのは……俺のもう俺の未来じゃないのか?

 なら……この俺はどうなるんだ……?

 このままずっと……コイツの中でこんな生活を……見るのか?)


これからどんな一日が始まるのだろうか?


オレは楽しみに思いながら、新たな一日を歩み出す。


(俺は絶望に苛まれながら、コイツの一日をここで眺める)


―――――


―――――


―――――


***


―――――


―――――


―――――


***


―――――


―――――


―――――



『やっはろー! キラキラな毎日を満喫してるかな~?』



本話に説明部分が入るとつまらない気がしたので2回に分けました。

次回、ヤツが来ます!


ep44話に燃え尽きた灰から蘇るものイメージイラスト集UPしてます。

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