表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/76

幕間:勇者カズマ・アリシアside4 - かつての婚約者の変貌(胸糞要注意)

ゴメンナサイ!

何か変だと思っていたのですが、1話掲載を忘れていました。

ただ、よりにもよってかなりの胸糞回です。本当にゴメンナサイ。

東方遠征から戻ってきた勇者カズマ一行。

城門をくぐり抜けた和馬は疲れた様子で馬車から降りる。


「カズマ様! おかえりなさいませ!」


出迎えたのは侍女のメイドたちや貴族たちだ。

皆一様に頭を下げ敬意を表している。


「ああ……ただいま」


和馬は適当に挨拶しながら手を振る。

内心では早く部屋に戻って休みたいと思っている。


「勇者様、こちらにございます。お食事の準備ができております」


案内されて食堂へ向かう途中、


「カズマさまぁ! 帰って来たんですねーっ!」


金髪巻き毛の美女が走ってきた。

アルフォンスのかつての婚約者であったアリシアである。


「やあアリシア。元気にしてたか?」


アリシアは腕に抱きつき頬を擦り寄せてくる。


「ねぇねぇカズマさまぁ♡ 私の新しいドレス見てくださったぁ?

 魔導学院時代の同級生から教えてもらった流行最先端のデザインなのぉ」


彼女が着ているのは確かに数ヶ月前とは比べ物にならない豪華な衣装だ。

かつては魔導師団のエースだった彼女が纏っていたのは簡素なローブだけであり、

その能力で勝負していた。


だが今や……腰まで届くほど美しい金色の髪は、巻き髪となり華美な飾りが彩る。

袖や裾からはレースが覗き見え、胸元が大きく開いたデザインで、

豊かなバストラインを見せつけている。化粧も濃くなり目尻に紅が入っている。


「ああ可愛いな。よく似合ってるぞ?」


「えへへー♡ ありがとぉ♪

 カズマさまのためにもっと綺麗になって見せるからぁ~」


アリシアは嬉しそうに笑う。しかし彼女の瞳の奥には複雑な感情が

渦巻いているのを和馬は感じ取っていた。


(アリシア……君の魅力は外見だけじゃないんだけどなぁ)


和馬は内心で苦笑した。確かに彼女の変化は魅了スキルによる影響が大きい。

だが根本的に彼女自身が"変わることを望んだ"という側面もあった。


昔のアリシアは冷静沈着な魔導師だった。学園時代から天才と言われ、

実力主義の帝国では男性並みの高い評価を受けていた。


しかし和馬の魅了スキルによって洗脳された影響で、

婚約者であるアルフォンスとの関係が崩壊したことで精神的に不安定になり……

その隙を和馬に突かれて心を完全に支配されたのだ。


魅了スキルの恐ろしいところは単に服従させるだけでなく、

人間誰もが僅かながら抱く事がある、願望や弱みを最大限に引き出す事にある。


アリシアの場合、「誰かを守る為に強い女性」としての自分を捨てて、

「愛され守られる弱く可愛い女性」という微かな潜在願望を増幅された結果だった。


「カズマさまぁ……あのね? 新しいアクセサリーを

 買いたいんだけど……一緒に選んでくれますぅ?」


「いいよ。今度デートする時はそれを付けてくるといい」


二人が寄り添う姿を見て周りのメイドたちは羨望の眼差しを向ける。

しかし中には嫉妬や嘲りの視線を向ける者もいた。


かつて魔導師団のエースとして尊敬されていたアリシアが、

今や勇者の妾のような扱いを受けている。

帝国貴族社会の常識からすれば醜聞以外の何物でもなかった。


「……カズマさま? みんなが私の事を見ている気がするぅ」


「気にするな。俺が傍にいるから」


和馬は余裕の笑みでアリシアを安心させるように言った。

しかしその背後で貴族たちが噂話に興じる声が漏れ聞こえてきた。


「聞いたか? 元・魔導師団のエースが今はただの飾り物らしいぞ」


「なんでも勇者様に媚び売って贅沢三昧だってさ……

 昔の仲間達は何も言わないのかね?」


「しっ! 聞こえるぞ!」


嘲笑混じりの会話にアリシアの体がピクリと震えたが……

和馬はすぐに気づいて彼女を宥めた。


「ほっとけ。俺がいる限り何もさせないから」


「うん……カズマさまだけいればいいもん」


アリシアは涙目になりながらも和馬の腕を強く抱き締める。

その仕草がさらに彼女の変貌ぶりを際立たせていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ