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たった二人で迎える勇者覚醒の日

かつて女神フィリアが顕現したと云われる聖域のある霊峰。

アルフォンスとリーンはその霊峰の頂に二人だけで立っていた。


有史には記されていない女神の勇者として覚醒する為、

聖女リーンが女神の啓示を受けたその聖域でアルフォンスが勇者となる為に。


「アルフォンス様。貴方に女神の恩恵を受け取って頂きます

 あなたは本当の勇者になる……女神様のご加護があなたを導くでしょう」


リーンが右手を虚空に翳すと眩い光が溢れ出した。

温かい波動がアルフォンスを包み込む。


「俺が……本当に世界を救えるんだろうか」


彼女……リーンが告げる言葉に嘘はない。

聖女として与えられた使命を全うしようとしているのだ。


一方でアルフォンスには複雑な感情が交錯していた。


「女神に選ばれた勇者。そう言い聞かせて考えないようにしていたが、

 俺は多くを失った……それでも俺はこの手を伸ばせるのだろうか?」


アルフォンスは自問自答するように呟いた。

隻腕隻眼となった自分に自信を持てるようになったものの、

帝国から追放され全てを失った過去の記憶は未だに重くのしかかる。


リーンはそっとアルフォンスの右腕を掴んだ。


「貴方は一人ではありません……私がいます。

 心に掲げていた騎士の誓いを取り戻す為、無辜の人々の未来を守る為、

 その手を差し伸べてください……真なる勇者よ」


彼女の言葉に心打たれたアルフォンスの瞳に決意の光が宿る。


「分かった……やってみるよ。この腕で再び剣を振るおう。

 この目で真実を見るために戦おう。そして……この心で君を護ろう」


リーンは優しく微笑むと聖杖を両手で掴み空高く掲げた。


それは聖女のみが扱える「聖痕の杖」と呼ばれる神器だ。

杖の先端から淡い光が放たれると空間全体が清浄な気配に包まれていく。


「今こそ誓いを立ててください。アルフォンス=クラウゼヴィッツ……


 この世界を照らす希望となることを!」


アルフォンスは頷きながら剣を構える。


---


風が止まった。


まるで時間そのものが凍結したかのように。


アルフォンスが掲げた片腕から黄金の光が迸る。

隻眼の瞳に映るのは無数の星々―彼方から舞い降りる光の粒子たち。


「我は誓う。この身、この魂……全てを女神フィリアと人々のために捧げん」


詠唱が終わると同時に聖域が白く染まった。


リーンの掲げる聖杖「聖痕の杖」から放たれる光と

アルフォンスの体内から湧き上がる力が共鳴し合う。


「これは……」


アルフォンスは自分の内側で膨れ上がる力に驚愕する。


失われた左腕の断端から微かな熱を感じる。


欠損した器官を補う力が湧き上がってくるような。


「アルフォンス様!女神フィリアの恩寵が降り注いでいます!」


リーンの叫びと同時に聖域全体が閃光に包まれた――




長いので2つに分けました……

お手軽な勇者覚醒が嫌だったんですが上手く行きませんね。

聖女も語ってはいませんがお手軽に聖女にはなっていませんです。


尚、今さらですがアルフォンスもアリシアも貴族出身です。

ですので家名があるのですが、そこを掘り下げる表現力が私にありませんでした。

また、家の背景を話しに絡めるのも私には無理でした。すいません。

とりあえず、アルフォンスは家柄や若き騎士団長の抜擢から考えて侯爵家。

アリシアは子爵家か伯爵家といったところだと思います。

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