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最高のお守り

作者: 窪宮彩

ただいま大晦日の大掃除中である。

めったに掃除しない場所を、

掃除していると思いがけないモノに遭遇することがある。


それは、ちょっと高そうなお菓子の缶だった。

何年か分のホコリをかぶっていて、

見つけてもらうのを待っていたかのようであった。


何が入っているんだろう。

ぜんぜん検討もつかないや。

日記とか手紙だったら、

誰かに読まれたら恥ずかしいので、

捨ててしまおう。


お金だったらいいのにな。

などと淡い期待をしながら、

フタを開けるとそこには、

思いがけないモノが入っていた。


そこに入っていたのは、

色とりどりのお年玉袋であった。

中身を一応確認してみたが、

空っぽだった(あたりまえか。。。)


何のためにお年玉袋ばかり、

こんなにたくさんとってあったんだろう。


「あー懐かしい、まだとってあったんだね」

後ろから母の声が聞こえた。

「あんたはね、昔からお年玉の中身より袋が好きでね。

中身はいつもいらないって言って私にくれたのよ」

「えっ、そうなの?」


お年玉でもらったお金で何も買ってないなんて、

何て欲のない子供だったんだろう。

お金に執着している今の自分とは大違いだ。


「でも、気になっているでしょ。私にくれたお年玉が今どうなっているか」

うん、気になる。自分にもらったものとはいえもう母にあげてしまったから、

今更聞いてどうするとも思っていたけど。

「もちろん。貯金しといたわよ。そんなの使えるわけないでしょ。はい、通帳。子供の頃のお年玉だから金額なんて知れているけれど、お守り代わりに持っていてね」


気がつくと、涙が止まらなかった。

久しぶりに見た亡き母の夢。

お菓子の缶。お年玉袋。

そう言えばあの通帳はどこだっけ。

お年玉、あえて使わないという選択もありだよね。

今日は大晦日、大掃除でもしてみるか。

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