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遺言 手品
【遺言】
母は死の間際、私に頼み事をした。
「倉にある札が貼られた木箱は、開けずに燃やしてちょうだい」
母の死後、私は箱を見つけ、蓋を開けてしまった。
中には父の生首が入っていた。
私は驚き、すぐに箱ごと燃やした。
母はなぜ父の首を保管したのだろうか。
そして、なぜ首は腐敗していなかったのだろうか。
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【手品】
子供の頃、公園に変なおじさんがいた。
私が公園で野良猫を見ていると、そのおじさんが突然私の目の前を布で隠し、「ジャカジャカジャン」と言って布をどかした。
すると、猫が口から血を流して倒れていた。
おじさんは「すごい手品だろ」と笑った。
猫は死んでおり、種は教えてくれなかった。