蓮池にいた君(再会と決意)
おばさんの家で、仏壇を参り
昔話をした後、父と母が買ってきた
土産を渡した
話がはずみ渡し忘れていたのだ
そのままおばさんに挨拶をして
僕たちはおおばあちゃんの
家を出た
蓮池のことが気になっていた僕は
散歩に行くことにした
池までの道の下見をしに行くことにしたのだ
僕も山の道など知らないから
明日急に行って迷ったら
大変だと考えたためだ
実家に帰る途中で父と母に散歩に
行くと伝えた
すると母が今日は夜、村の祭りがあるから
遅くならないようにと言ってきた
大丈夫と言い残し2人と離れる
お墓の横を通り過ぎると
懐かしい雰囲気に包まれた
そういえば父さんと虫を取りに来たっけな
とか考えながら景色を楽しみ歩いていると
だいぶ奥深くまで入ってきていた
周りは木々がうっそうとしていて
道という道もない
今のいる所を上からみたわけでもないので、
あとどれくらいで池のあたりに着くかも
分からなかった
その前に帰れるのかと不安になっていると
不思議な感覚がおそってきた
何かに引き寄せられるように
行ったことのない獣道に足が向く
数分歩くと視界が急に開けた
池があり蓮の花が水面を埋めるように
咲いていた
そこは夢で見た場所だった
夢で見ただけの場所、、
ただそれだけなのになんでこんなに
懐かしく、そして胸が苦しくなるんだ
その光景に懐かしさと寂しさを
感じているとどこからか声がする
生きてる人がここにくることなんて
まずないのにどうして、、、
声のする方に目を向けると
薄桃色の生地に一輪の蓮花の模様が
入ってる浴衣をきた綺麗な白い髪の
同じ歳ぐらいの女性が立っていた
僕は顔を見て驚く
夢の少女に似ているのだ
しかし夢の少女より大人っぽく
より美しさが増している
ただ、どこか悲しげな顔をしていた
そして僕が話しかけようとすると
相手も僕の顔を見るなり驚いて
どうしてあなたがまたここに、、、
もう会えないと思ってたのに、、
やっと私も忘れられそうだったのに、、、
女性がそう呟いた
目には涙が滲んでいた
すると僕の頬にも涙が伝った
そして自然と
、、美蓮、、、
と口にしていた
その言葉を聞くなり女性は
急に声を荒げ
もうここに来てはだめ!!
そういうとあたりに霧がかかり
僕は気を失った
気がつくとお墓の横の道から
少し奥の山に入ったところで
木に寄りかかり座り込んでいた
あたりは薄暗くなっていた
とりあえず早く家に帰らなければと思い
帰路を急ぐ
家に帰ると家族が
どこまで行ってたんだい?
おまえ、遅かったから心配したぞ、
早く準備して、行くわよ
もう祭りが始まるわ
と口々に言われた
祖父だけは何かを悟ったかのように
僕を見据えていた
家族にせかされ、服を着替える
屋台で使うための小銭を持って
祭りに行った
祭りは相変わらずだった
出店があって、太鼓を叩いて
村の人が踊り、若い連中も一緒に
盛り上がる、、、
でも僕は祭りを楽しむことは出来なかった
小さい頃に何があったか全て思い出したのだ、、
あの光の意味、
彼女と初めて会った時、
一緒に過ごした時間、、
そして彼女が突然消えてしまった
日のこと、、、
どうして忘れていたんだろう、、、
僕は祭りが終わり家に帰ったあと
部屋で一晩中泣いた
後悔と苦しさ、寂しさ色んな感情が
溢れてきていた
そして決心していた
今回は絶対に後悔しない
あの日伝えられなかったことを
今度は忘れてしまう前に、絶対に
君に伝えに行くと、、、
別れの先にへ