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Nous aimons Basse-Brutineau  作者: ださいやさい
7/8

旅人(Voyageur)と未完成品(L'objet inachevée)

長生きとは混沌。ワンタンほどの混沌だ。

錆びた剣を銅鏡ほど磨き上げるには、エルフの長く長くしょうもない時間をつぶすにはこれ以上ふさわしいことはない。

日付に鈍感な反対に、人と関わる重大なモーメントははっきり覚えている。

下ブルティノー村はブルティノー川の下流に位置するからこう名付けられた。この町に来る前の固着地名だった。

鍛冶屋ではないけど、はさみや錆びた剣を直せるから、村人に受け入れられた。

徐々に町の人との繋がりもよくなって、うわさ話とかゴシップ話とかも聞けるようになった。Aのベーカリーさんが子を産んだとか、Bの床屋さんの子が帝国の士官になった手紙が誤配送されて隣近所に広まったとか。

戦争で誰かの家の遺物が戻ってきた。

剣を磨き上げることは減った。とともに優雅に進化していく。

よその町の復興支援コンサートに誘われた。金属の棒は、農家や軍の中だけでなく、コンサートの中でも活躍するんだ。


汽車が馬車の数十倍も人やモノを運べるだって。

汽車が鳴って走るの話だけで数十分もわくわくと話せる村娘、市民となった村娘、しわが額にあった村娘は目の前に立った。

鈍感で住んでいても、やがって時代に引っ張られる。

1つの車輪を作るに使う材料は数十振りの剣も作れるし、車輪の力も数百振りの剣より遥かも圧倒的だ。

鉄砲まで運べるのもはや言うまでもない。

汽車が途中に止まってくれる恩恵を受けるには、数ブロックの建物を倒す必要があるらしい。

街の住人の頭を湧きあがらせた駅名の公開募集。集まった手紙の駅名に、誰も馴染まない「ブルティノー=ダンボワーズ駅」と決められてしまった。

大きい鉄球を建物へ投げることは誰が考えた?まるで凡人のわからない芸術だ。

あ、取り壊される自分の店に出来上がる途中の剣が残っている。でも華やかな剣をでき上げる意味は?

どうでもいいわ。


レールと呼ばれる長い鉄の塊が2つ並走している。下に石が乱雑に積まれている。山の向こうから川の果てまで、尽きは見えず。

駅舎は白ミルクっぽく、明るい。きっとこの町の未来も明るいのだろう。

汽車は軍馬よりも早い。巨大な鉄の蛇は大勢のよその町の人を運んでくる。だが得るなら必ず失うことに、この町の人もよその町に吸われていく。私もそうだった。

再び旅立ちの日を迎えた。長生きして世界を見尽くさないと損する。

磨きかけた剣はレールの一部となって通させてくれたのかもしれない。

列車の中から窓を通してこの町を見るのは初めてだ。この町、やがては宙に浮く島に進化していくのか?

師匠と道法を悟るスキマに読んだ新聞で連邦は火の車としたのは別の話だった。

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