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Nous aimons Basse-Brutineau  作者: ださいやさい
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ジャン・ジョレ広場でカオス(Chienlit)を見つめている

人間とは不思議なもので、平凡な生活をしていても、ときどき芸術家になったような気分になる。創作を発表したりしていないが、俺の精神は芸術的であり、俺の存在は芸術的である。

すぐに自分の論理を修正した。自分の虚栄心を冷静に受け止めれば芸術的挙動であるから。


5月16日はもともと、大学に眠れる授業を受けて寝て、そして誰から借り入れたノートでこっそりと自習する予定だった。俺はこんな賑やかなジャン・ジョレ広場を見たこともなかった。まるでいち、いえ、収穫祭のようになっている。しかし、収穫祭と違って、その怒りが人々の声だけでも伝えてくる。


セヴラン・ルクレール――俺の友に就く人間。友がどうか、彼がこの話題に一度も言及したことがなかった、一般の人間にしよう。その人間が、抗議する人群れに溶け込むように見えなくなった。まったく、教室のデスクにも泥眠りしたい俺をむりやり連れてきたのに、自分が遊園地のサーカスに飛びかけてしまったのね。ちょっと内容を気に留めて聞いたら、抗議ではなかった。翼の生えた女の子の演説に向けてスローガンを高らかに叫ぶことだった。


「まあ、魔王の血が流れているから」

より一層人が多くなってきたとともに、俺の納得できない気持ちが消えていく。それは威圧的に人を呼び集めるのではなく、人を惑わすような言葉でしたことだったから。


荷車を持った商人たちも集まってきたし、市に出かけたでも思ったら損がない。あ、あのコーヒーショップでもここで露店を置いたのか、ちょうど喉が渇くなってきた。コーヒーを買ってから、あっちの古本市でも見ってこよう。財布が…ずうずうしく古本市での立ち読みでもしてこよう。


「新品のコーヒーはいかがでしょうか?夏の定番、イトウリコーヒーですよ」

なんだその怪しい組み合わせ?ごめん、喉くん、本のために犠牲にしてください。

俺は絶品の古本を目当てに決めて、古本市に体を向くようにしたとき、発砲の音を聞こえた。翼の生えた女の子の方向からの音だ。この場にいるほぼ全員が同じ方向に目を向けるから、幻覚なんかじゃない。


憲兵らしい着装の人が100人以上、広場の外側に立っている。ブルティーノの憲兵ではないようだ。

「ジャン=マルタン、銃を取って」

セヴラン・ルクレールがここに来てから、初めて俺と会話した。俺は銃を使えないが、この場合においては、持っているだけでも安心感がたっぷりことだ。


この後は、言うまでもなく、歴史の教科書にも載せるレベルの気勢が怒濤のように盛んであることがあった。


それゆえ、人間はなんと平等なのだろう。魔王が銃撃にあっても、無難になんてやってられないからだ。


この数日間のできことをまとめて書いてラ・シテの出版社に投稿したら、数日後にも返却された。俺の作家の夢がこの返却の手紙とともに連邦郵便のストライキ経費に充てて、泡になってしまった。


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