90 恋之百年戦争。
『何で休憩したの?』
「あの子、家が相当かも知れないのよね」
『あー』
「そうだね、碌でも無い男に引っ掛かるのは、大抵はまともな大人が居ない家の子が多いからね。どうだい、墨家の子」
《特に記録に残ってた子では無い筈だけれど、僕もそう思う。選んだ相手は勿論だけれど、不安の強さや自信の無さ、それに、そう知り合いも居ない子なら、正しく選ぶのは難しいだろうね》
『けどさぁ、それをどうにかすんのが四家なんじゃないの?』
「けれど完璧に、全てを拾い溢さない様にするのは難しいだろうね、なんせ数が数なんだから」
『まぁ先読みが甘かったんだと思うよ、鶺鴒もさ、けどだよ』
「そこはどうかしらね、寧ろ疑い深いからこそ、信じてみて裏切られたのだと思うわよ?」
《そうだろうね、恨みと同時に後悔の念が大きい、それにどうやら悪夢も見ているしね》
「あら、どう分かるのかしら」
《少し気になって部屋の前を通ったんだ、そしたら悪夢の気配がしてね、本当に、申し訳ないと思う》
僕ら四家の役割は、国を支える事。
国は民が居てこそ、その民を生むのは男でも無く金銀財宝でも無い、女性。
その女性を正しく導き、守り、傷付けない為の四家。
だと言うのに。
どの家からも彼女は零れ落ち。
「そう落ち込まないでおくれ、僕らも似た役割を担ってる、けれども、どうしても拾い溢しが出てしまう。それは悪運が重なったり、それこそ彼女達の上辺のつくろいが上手かったり、凶悪な者が現れたりして難航する事は多い。だからこそ、出来るだけ補佐をするんだ、それこそ一生を掛けてでも償う。なんせ男に子は成せないからね」
「悔しさも悲しさも全部、怒りにしたら楽よ。だからあの子は動けるんだもの、すっかり悲しみに浸ったら後は朽ちるだけ。凄いのよ、心根の傷って。気力が戻ったと思ったら死んじゃう子も居るし、自暴自棄になって適当な男とくっ付いて敢えて殴られる子、何度も男選びを失敗する子も居て。そうやって酷い扱いをする男って、その不幸の間に産まれる筈だった子の数を絶対に数えないのよ、だから言ってやるの、アンタが出した損失は何人、幾らだ。大抵はそんなに、って驚くのよ、結局は安く見積もってるのよね、全てを」
『だろうね、恨まれる算段も何もかも甘い。いやお前は適当で良いけどさ、巻き込まれる身にもなれよって、うん、この前のアレやっぱり殺したいな』
「ダメよ、場合によっては死は救いなんだもの、それこそ生き地獄の方が良いわよアレは」
《俺達は、探し出すだけしか出来ないんだろうか》
「信頼に足る男は幾らでも居る、そう信じて貰う事も大切だと思うよ」
『まぁ、店の事も、マジで乗り気だよね?』
《そうだね、彼女にとっても幸せな土地になれる様に、そうだね、拾い溢した者も補佐出来る場所にしよう》
『ですね』
私ってやっぱり楽天家なんでしょうね。
人に悩まれちゃうと、人の悩みが目の前に有ると、少し前に悩んでた自分の事がどうでも良くなっちゃうんですよ。
「分かりますよ、1人の方が楽だって、その意気込みで私も参加しましたし」
『けどこれだけ大勢と居るんですし、説得力皆無ですよねぇ。けどまぁ、本当なんですよね、なんせマジで友達が殆ど居ませんから』
《見た目のせいと言うより、まぁ、殆どこの子のせいだけれどね》
『後は見た目に釣られる男性が悪いんですよ』
「ココに居るので半分からほぼ全員、ですね」
『あ、ほら、友達の幅って其々ですから、そこです、細かいんですよこの子』
《そう繊細だけれど大雑把なのよねぇ》
『あ、大丈夫ですからね、鶺鴒さんは私達と凄く馴染みが良いですから』
「そうですよ、侍女って言いましたけど、結局は同行者ですから、気負わず前と同じ様にしましょう」
『そうですよ、それにお店ですよ、本当に良いんですか?』
案の定、ですよね。
今まで敢えて聞かなかったんですけど、ご家庭が複雑だそうで、だからこその独立。
家庭が不和だと、他者と馴染む為の大事な場が無いも同然なんですから、そりゃ男選びだって失敗しますよ。
周りに馴染むのも、友人作りも、そら苦労しますよ。
「大丈夫ですよ、少なくとも両親が居ない人を2人は知ってますから」
《そこよ、もう少しあの方にも馴染んで貰いたわね、道士様に》
『あ、別働隊が居るんですよぅ、もう1人はぶっ飛ぶ様な美形ですよ』
『描こうとして怒られたんですよね、青燕さん』
『はい』
「そうそう、どんだけって、見てるだけで暇が潰れるんですけど、まぁ本をたらふく読まされまして」
『何か無いんですか金雉』
「金絲雀は容易く無茶を言いますね?」
『期待しての事ですよぅ』
《私も、鳥の字が良いのだけれど》
『あ、北朱雀でしたね、失礼しました薔薇姫様』
『四家でも殆ど薔薇姫でしたらかね』
「そうなんですよ、お香も薔薇なんですよ」
《似合うでしょ?》
「ですよねぇ、迫力が有るからこそで」
『アナタは女の矜持も胸も無いですからねぇ』
『商家って大変そうですよねぇ』
薔薇姫達にしてみたら鶺鴒は年上なんですけど、私と青燕さんにしてみたら年下なんですよね。
落ち着いた妹と言うか、少し頼りないお姉ちゃんと言うか、遠縁の従姉妹と言うか。
私の事はどうにかなりそうですし、彼女をどうにかして貰えませんかね。
嫌なんですよ。
出来たら知り合い全て、周りは全て幸せであって欲しい、私だけ幸せは無理。
ほら、気が小さいし我儘だし欲張りなんですよ。
けど鶺鴒は1人で良い、顔と声はそこそこで、真面目で一途な人なら良いって。
そう当たり前を望んでるだけなんですから、ね?
《ワシ、凄い辛いんじゃけど》
「何が、だ」
《凄い願われとるんじゃよね、新しく連れ立っとる子の事で》
『凄く真剣に願ってらっしゃいますからね、大きな声で響く感じだそうで』
「なら教えろ、どうして四家の教育からその娘は漏れた」
《上辺のつくろいが上手いんじゃよ、愛想、愛嬌が有ってな、しかも気安いんじゃよ》
『親しみ易さは時に軽視され易い事にも繋がりますから』
《そうなんじゃよ、そんな相なんじゃよね》
「顔が良くてモテるのと似た感じか」
『まぁ、そうですね』
《どうじゃ、そろそろ顔を焼くか》
「良いかも知れんな」
《冗談なんじゃが》
「で、叶えられそうにない願いか」
《じゃから、一般人は特に介入が不可能なんじゃって》
『ですけど声は良く届いてますから、良心が傷んでらっしゃるんですよね』
《お主、平気そうじゃな》
『私は日頃、平等に全ての願いが均一に聞こえていますから』
「で俺の願いも届かなかったワケだ」
《意地悪じゃのう、転生者への単独介入は不可能なんじゃよ》
『例外を出せばキリが無いですから。ですが、悲鳴は届きますよ、良く届きます』
「悪かった、そう悲しい顔をされただけで俺は満足だ」
『お優しいですね』
「おう」
《ならどうにかしてくれんじゃろか》
「と言うか、トゥトクの手紙について話し合ってるんじゃないのか?」
《向こうも少し荒れとっての、話し合いの再開まで少し掛かりそうなんじゃよ》
「なぁ、トゥトクに、アイツには俺が転生者だとは伝わって無さそうだが」
『はい』
《じゃの、ウムトの配慮じゃよね》
「俺は言う気なんだが」
《一生添い遂げるならば隠し続けるのは難しいじゃろうし、それでダメになっても何とかするで、構わんよ》
「そこはガバいんだな」
『僅かな記憶の改ざんなら、ほんの些細な事、ですから』
《最悪は優良なる転生者の命に関わるならば、じゃ、判定ならば白じゃよ》
「そこで優良かどうかが関わるのか、確かに、成程な」
《本当に無関心じゃったのに、良うホイホイ聞くようになったのぅ》
『お陰で会話も弾んでいますし、楽しいですね』
「お前にも楽しいとか有るのか」
『勿論ですよ、本来は聞き、一方的にお伝えするだけですから』
「役割が追加された様なもんで、面倒じゃないのか」
『私にも意志が有るので、心を通わせられると、とても素敵な気持ちになりますよ』
《相手が善良じゃと、特にの》
偶に疑問に答える何かが居るな、と。
ウムトの時と同じ様に、本を読みながらガン無視してたんだが。
便利な反面、ルーが他者と関わらない理由が分かった気がした。
寂しさが薄れるんだろうな。
俺は便利だとしか思わんが。
今、猫が居なくて俺の手は猛烈に寂しい。
あぁ、トゥトクに何か探させるか。
「トゥトク」
『“はい、どうしました?”』
「猫の代わりが欲しい、手触りの良い毛皮か何か無いか」
『“仕入れるまで、僕を触るのはどうですか?”』
「分からん、書け」
コイツ、少し前から書きながら言う様になったんだが。
お前が覚えろよ、とも思ったが、コレは得と言えば得だしな。
『“です、はい”』
「お前を触るのはもう少し先だ、出来るだけ早く仕入れてくれ、じゃあな」
『“はい”』
ルーもだが、そうガッカリされても困る。
俺に慰める能力は殆ど無い、それからお世辞の機能も、大袈裟に褒める脳も無い。
『猫が構って欲しい時に本に寝転がる時と同じですよ』
「流石、マジで便利だな天使。礼はどうしたら良い」
『幸せになって頂ければ十分ですよ』
流石、天使だな。
「おいおっさん、ルーはどうしてる」
《魍魎払い中じゃよ、何か買い物でも頼むかの》
「いや、おっさんも相当便利だな」
《まぁ、無神論者をココまで懐柔出来たんじゃし、良しとするかの》
そして鶺鴒も私も落ち着いたので、いざ、本題へ。
「はい、では仕切り直して本題です。先ずは文をどうぞ」
回し読みが終わると、真っ先に手を挙げたのは雨泽様。
面倒はお嫌いなのに、こう言う時はガンガン来るんですよねぇ、楽。
『コレを読んでからの本題って、つまりは早く仲良くなるのもアリって事?』
「はい、そう思ったんですけど。どうやって仲を深めるのか、または段階が有るのか、そうした話し合いをしたかったんですけど、ちょっと思考を放棄してました、すみません」
『いや、うん、アレは何となく米粒で分かったから良いんだけどさ。段階って、それウムト氏の領分じゃね?』
「いやほら、ココの流儀に精通してるかと言うと、僕は少し合わないだろうから、寧ろ補佐だね」
「で、凄い聞き難いんですけど」
「私よねぇ、でも本当、文のやり取りと少しの逢瀬でのぼせ上ったから、助言は難しいわね」
「となると」
『私、ですね』
「でも青燕さんは、夫様とは既に顔見知りだったんですよね?」
『はい、それで、まぁ、私も周りから助言を頂いて、それなりのお付き合いから婚姻なので。そう、このままで良いかと思うんですが、思う所が有っての事ですよね』
「はい、どう仲良くなったり深く知り合うのか、となると殆ど別行動って難しいと思うんですよ。で、じゃあ、どうしろ、と」
「そろそろ僕の出番かな」
「はい、お願いします」
「どんな時に仲が深まったと思ったか、が問題なんだと思うんだけれど、どうかな?」
『あ、はい、ただ、そう見本になれる様な事では無くて』
「お願いしますぅ」
『その、問題が起きて、その事について話し合いや解決へ向けての場で思いましたので。何も無い限りは、少し、難しいかと』
「例えば?」
『そこはちょっと、差し控えさせて頂けると、後で、お伝えしますので』
「あ、はい」
「話し合いもそうだけれど、やっぱり実際に困ってからが勝負だと思うんだよね。貧乏でも構わないって言う2人には、僕は必ずある事を実践させるんだ、そうすると大概は仲違いをして破局するか、結婚するか」
『困った時こそ本性が出るって言うしなぁ、マジなんだ』
「ただ考えるだけじゃどうしても足りない部分は出るからね、そこで実際にやってみて貰うんだよ。空腹の辛さ、眠気の危うさ、疲労の怠さを得て貰って、お互いに極限状態でどう支え合うか。中には急な事故で動けなくなる子も居るからね、そうした子はウチには入れられないんだ、他の者まで巻き込まれて死ぬからね」
「極限状態での行動、咄嗟の判断、後は、誘惑、ですかね?」
「正解。僕や船員は少なからず意地悪だからね、新婚は必ず試すんだ。さ、どう試すか分かるかな?
「あー、今まさにコレ、疲れてる時にコレされたら私キレますね」
《それは私だってそうよ、月経の1日目にされたら絞め殺す自信が有るわ》
『ですよねぇ』
あ、で、考えるんでしたっけ。
まだ少し思考が鈍ってますね。
『あのー、また挑戦してみたいんですけど』
「はいどうぞ金絲雀」
『ただ、もしかしたら答えを知ってるかもなんですよ、中央の大きい店で大事件になった事なので』
『あー、それなら俺も知ってるかも、そっか、ソッチか』
「ソッチ、が僕は気になるから、外れの方を教えてくれるかな?」
『良い?』
『あ、もう片方は分からないので、どうぞ』
雨泽様がウムトさんに耳打ち。
特定のご趣味の方には刺さりそうな絵面ですねぇ。
「うん、皆に聞かせてくれて構わないよ」
『3日、夜勤とかいつもと違う仕事に就かせて、3日目には酔い潰して帰さないってヤツ』
「うん、コレはハズレだ、けれど良い案は採用させて貰うよ。だからココからは僕にだけ教えてくれるかな、良い案が有れば君達にも使いたいからね」
「じゃあはい、先ずは私から」
凄く古典的なんですけど、女からの文を使う。
なんですけど。
「うん、良い案だね、使わせて貰うよ」
私達に使うのか船員の方々に使うのかは分からないんですが、怖いですねコレ。
けど、面白い。
《じゃあ、私のとっておきを》
「どらどら」
私の国では両耳に三つの耳飾りを付けるのだけれど、それを何処かに落としたり、服に入れたりするのが定番なのよね。
それとお香、私はあまり好きじゃないのだけれど、薄く匂いを付ける程度に香を焚き匂いを付けさせる。
そして身内にしたとっておきは、酔い潰すのは勿論、凄い色男に家まで送らせるのだけれど。
《どうでしょう》
「うん最後のが凄く良いね、使わせて貰うよ、流石良い家の娘さんだね」
《褒め上手なんですのね》
「七人も居るからね」
私もそれだけ産んでも尚、愛され続けるのかしら。
『はい』
「お、翠鳥にも有りますか」
『復讐を色々と考えたじゃないですか、そこから思い付いたんですけど』
「良いね、聞かせてくれるかな」
お仕事関連だそうなので、何日も連続でお仕事の食事会にお誘いし、不安を煽る。
そして後日、お仕事仲間だ、と凄い美人の方をご紹介する。
もうコレだけで私は無理ですね。
信じてるんですけど、凄い嫌だな、と。
そして暫く遠くに出掛ける仕事が入って、職場に行く用事が出来て行ってみると、その女性も仕事で遠方に出ている。
本当に別々のお仕事でも嫌ですね、はい。
『後は』
やっぱり匂いですよね。
急に同じ匂いがずっとし始めて、暫くしてしなくなったと思ったら、今度は文から同じ匂いが。
そして偶にまた匂いをさせて帰って来たら、誰かに調べさせますね、絶対。
「うん、良いね、ありがとう。けれど君達は大丈夫だと思うよ」
『あ、はい、ありがとうございます』
『じゃあ次は僕が、お願いします』
異性装をしている同性の友人知人と、親しくする姿を見せ付ける。
けれどどう見ても異性で、けど探るのは難しいので、気持ちを試すにはどうかなと。
「実に良い発想だね、何処かで見掛けたのかな?」
『はい、分かってても凄く嫌でしたね』
花霞さんの異性装に、僕は酷く嫉妬してしまったんです。
まるで男性で、親しく見えて、凄く妬いてしまったんです。
「成程ね、是非使わせて貰うよ」
『ありがとうございます』
『ふふふ、使わせて貰う、って不安じゃないですか?』
『僕は信じてますけど、もしされたら、苛立つかもですね』
「はいはい惚気ると薔薇姫様の棘が飛びますよぅ?」
《そうね、今度から扇に暗器を仕込んでおくわね》
「ダメだわ、善人面してるワケじゃないのだけれど、どうにも案が出ないわ」
「他の子と被っても構わないんだ、さ、言ってみて」
「じゃあ、少しだけ」
私の体験なのだけれど、兄弟だと言ってやたら親し気な者と会っている姿って、本当に刺さるのよね。
それと書きかけの文、私へ?と思わせておいて他に送ってた、って相談が有ったのよね。
「良いじゃないか、どうして遠慮なんかしてたんだい?」
「だって、正確に言うなら私の案じゃない、誰かに起きた事だもの」
「それでも誰かの役に立つんだ、どんどん提案すべきだよ」
「まぁ、それもそうよね」
見慣れぬ手巾、前に嫌いだった筈の食べ物や飲み物を食べたり頼む光景を見せたり、新しく装いを変えたり。
仕事の食事会が続いたり、遅くなったり、逆に早くに出掛ける様になったり。
「うん、使わせて貰うよ、傷が深くなる前にね」
「そうね、ありがとう」
「では、そろそろ正解に近付いて貰おうかな、おいで包々」
『えー、ココから手がかりを教えるから見逃してよ』
「なら良い案を出しておくれ」
『どっちにしたってじゃん、はいはい、分かったから来るな』
アンタが家に行って、妾にどうだ、と嫁の前で女を紹介する。
「うん、正解だね、他には?」
『えー』
そのまま家に居座ってやたら持ち上げる。
「そうだね、ついでにするね。他は?」
『あのさぁ、俺も童貞なんだけど?』
「有るだろう、不幸な話」
やたら贈り物を送って来るなと思ったら浮気してた、とか。
袖や何処かに知らない刺繍がされてた、嗅ぎ慣れない香の匂いがした、仕事が早くなったり遅くなったりしてる。
遠くに出掛ける仕事が増えた、食事会が多くなった、文が良く届く様になった。
忘れ物だと言って女が物を届けに来た、急に会える日が少なくなった、家のメシを食わなくなった。
『もう良いでしょうよ』
「良く知っているね、どう知ったんだい?」
『茶楼に居ると聞こえて来るし、良く相談される知り合いの近くにいたから』
「僕は生まれ変わりを信じてるんだ、きっとその子は何処か幸せな場所に生まれ変わってるよ」
『だと良いんだけどね』
「さ、答えを教えたい所だけど、どうやら昼餉の時間らしい。彼に答えを聞くと言いよ」
『えー』
「あははは、じゃあ僕は調理場に行くから、またね」




