74 円卓。
私の横には兔子と美雨、更にその横には花霞と道士様。
そして道士様の隣には花霞のご両親、別の卓には御親戚の方々とウムトさん、それに四家の方々の三卓。
そう席を移動し終える直前、道士様が浅露を外し。
『今まで大変失礼しました、何分、この毛色でしたので』
花霞のご両親も驚いて、幾ばくかの間の後。
「そうでしたか、さぞご苦労なさったかと、大変失礼致しました」
『いえ、身を隠す職業とは言え、ご気分を害された事を謝罪致します』
道士様は礼の最上級である、叩頭礼をご両親へ。
「いえ、どうかお立ち下さい、さ、お席へ」
『ありがとうございます』
それからは非常に和やかな雰囲気となり、食事も進んだ頃。
花霞のお父様は道士様が気に入ったのか、共に親族席へとお酌に向かい。
『咪咪、何処でお会いしたの?』
「あ、西安です、寺院巡りの時にお声を掛けて頂きました」
『幽霊騒動で厄払いにと、でしたっけ?』
《だって怖いじゃない、園は良く散歩に行く場所なのだもの》
『ですが意外と良いお話だったんですよね、幽霊騒動』
「あ、新作の案です」
『はいはい、さ、どうかしらね』
花霞は紙をお渡しすると、べったりとお母様に巻き付き。
幼名の咪咪の通り、猫の様に甘えて。
《ふふふ、甘えん坊ね》
「あ、つい癖で」
『咪咪はしっかり者に見えるけれど、甘え出すと止まらないのよね、特におんぶが大好きなのだけれど』
「もう背負って貰える大きさじゃ無いのが残念です」
『あっと言う間だったものね、もう直ぐに大きくなっちゃって。でも、いい加減にお仕立てをしても良いわよね?』
「はい、流石に背丈も落ち着いたかと」
『それはどうでしょうねぇ、何か伸びてるっぽいんですよぅ』
『明日にでも採寸させましょう。やっと、お仕着せ以外を着て貰えるの、親不孝な子でしょう?』
「もー、行事の時はちゃんと貸衣装で着たじゃないですかー」
『私も付き合ったんですよぅ、着せ替え人形にさせられるって泣き付かれて』
『だって折角だもの、色々と着せたいじゃない、ねぇ?』
《そうですわよね、だから私達に付き合わせて少し買ったのよね?》
『えー、私の分は?』
「あ」
『えー』
《冗談よ、ちゃんと買い揃えておいたから、後で領収書を渡すわね》
「運賃込みで、倍値で良いですよぅ」
『アレを落とせた暁にはタダにしてくれません?』
《まぁ、そうね》
「直ぐ甘やかすー、ダメですよ、貰うもんは貰って別の物で賭けないと」
『あ、割符の件はどうです?』
《じゃあそれで》
『翠鳥、余計な事を言いましたね、以降は邪魔してやりますから覚悟なさって下さいよぅ』
『守って下さいね兔子』
『はい』
「あー、また惚気けた、隙あらば直ぐ惚気けるんですよこの人達」
《そうねぇ、本当に困るわぁ》
『ふふふ、仲が良いのね、安心したわ』
お母様も猫可愛がりなさるから、花霞も仔猫になってしまうんでしょうね。
「よし、そろそろご挨拶に行ってきます」
『はい、行ってらっしゃい』
花霞は酒瓶を手に、お父様と道士様が向かったご親族の席へ。
そこでお父様はご親族の方に追い返され、コチラの卓に戻って来ると。
上機嫌。
やはり何処の親も、子の行く末を案じてお相手探しに必死になるんですよね。
「それにしても、ウチの花霞にこの様に上品で素晴らしい友人が出来るとは、四家巡りに出した甲斐が有ったものです」
『ウチの主人、本当は反対していたのですよ、やはりあの毛色ですから』
《少なくとも私達から見て、ですが、問題は無かったかと》
『はい、寧ろ私達が助けて頂きました』
『私は関わってませんけど、傍から見ても大丈夫でしたよ、お二人が常に寄り添ってらっしゃいましたから』
「本当に、ありがとうございます」
まさに男泣き、私の父もこんな感じだったのですが。
うん、やっぱり気恥ずかしいものですね、コレ。
『程々にして頂戴アナタ、気まずくて花霞が席に戻って来なかったら寂しいでしょう?』
「あぁ、すまないね、つい」
ご家族に愛され、大事にされている。
当たり前と言えば当たり前なんですが、私達は違う場合も有るのだ、と。
道中でも、改めて痛感させられたんですよね。
《私も花霞も、寝汚いとの文言を初めて聞いた時は、驚きましたわ》
『私もです、お宿で聞いたんですよね』
私も事情が気になったので、ご夫婦と暫し行動を共にしたんですが。
どうやらお嫁様は逃げる為のご旅行だったらしく、そのまま寺院へと保護され。
そうした騒動を忘れた頃、今度はお姑さんを伴ったご夫婦が。
そこでもお嫁様が謗られていたのを耳にし、何か助力は出来ないかと、暫し行動を共にしていたのですが。
浮気をなさって家のお金を使い込み、お相手には逃げられ、ご実家からも縁切りをされたそうで。
旦那様の離縁なさらない優しさ半面、憤りも含まれているのだと、私達はそう理解したのですが。
お姑さんが敢えて酒を買いに行かせ、気の弱いお嫁様は酒場の男に容易く絆され、既の所で旦那様が割って入ったものの。
大きな痴話喧嘩へ。
そこで明かされたのは、お嫁様のお育ち。
なんですが。
《幾らお育ちが不幸でも、品の有る方も居りますし、貞操観念のしっかりしてらっしゃる方も居るんですから。ちょっと、同情に値しない、と私達は思ったのですけれど》
『本当に躾けのされなかった者は、例え私達でも同じ様に動いてしまうかも知れない、と』
『あー、あの子は地獄も神話も何もかも信じてますからねぇ、地獄とも言えない別の世で、とでも想像しての事でしょう』
『そうね、そしてもっと言うと、神話とは大昔とも思ってるのよ。躾けとは何かも定まっていない世なら、良く有る事、私達もあの子に考えさせられた事は多いわ』
「あぁ、そうだね。この家の広さの意味は、と、祖父があの子に聞いてね、どう答えたと思うかな」
『あ、私は知ってるんでお譲り致しますよぅ』
もし、花霞なら。
『広く広げ、包む包袱屋だから、では安直ですかね?』
《そう、ね、何か。それこそ病や災害ともなれば、広く民に使える様に、ですかしらね》
「いや流石です、その通り、ですが私達はすっかり驚いたものですよ、幼いながらにかくも広い見識が有る、と。そうして祖父が店を出させてやったんです、あの子は大丈夫だ、と」
『ですけど疎い部分も有り、金絲雀には随分とお世話になったのよね』
『いえいえ、持ちつ持たれつ、ですよ』
『あの、もしかして幼名が金絲雀、ですか?』
『はいー、危ない場所に飛んで行ってピーピー鳴くんで、昔から金絲雀と呼ばれていました』
《そうなの、ふふふふ》
悪い子で無いとは知っているのだけれど、好奇心が強過ぎて、少しばかり警戒していたのよね。
でも、その好奇心が花霞の為になっていたからこそ、ご両親からも信頼を得ている。
「それで、実はどうだったんだい、あの子とは」
『泣いてたので直ぐに馬車に乗せて、とんぼ返りしたんですけど、あの家ってどうなんですか?』
『年寄りっ子は三文安、そのままよ。ただ後妻さんに中々子供が出来なくて辛い思いをさせたから、少しばかり奔放でも構わない、と。私達はそう聞いているけれど、ウチのにも聞いてみて回ってみなさい、そろそろ花霞を四家のお席へも案内させたいの』
『はいー、ではでは、失礼致します』
花霞は単なる包袱屋、そう言っていたけれど。
中央だから、なのかしら、四家の様な洗練された気遣いを感じるのよね。
『アナタ、金絲雀を補佐したら裏方を見て来て下さらない?まだ納得してない殿方が居ては困るわ』
「そうだな、少しばかり様子を見てくるよ、どうぞゆっくりしておくれね」
『はい』
《お気遣いありがとうございます》
『さ、幾らでもウチの子の愚痴を言って頂戴、大変だったでしょう、色恋に本当に疎くて』
『あ、お母様もご心配でらっしゃったんですね』
成程、この御母堂様が居てこその花霞なのね。
「お酌に来たんですけど、春蕾さん、お食事がお口に合わなかったですか?」
《花霞が答えに対してどう思っているのか、気掛かりで》
『そこだけ気が小さいんだよなぁ春蕾は、他は平気で何でもすんのに』
ルーちゃんと一緒に居るので、警戒されるかもと思ってたんですけど、ガッツリそれどころじゃないって感じなんですね。
どうしてそんなに自信が無いんでしょう。
『目配せしてくれても、僕に心は読めませんよ』
「あ、いや、何で春蕾さんは自信が無いんだろうな、と」
『寧ろ、半ば拗ねているんじゃないですかね、自分が1番だと思っていたら、実は3番手。いやウムト氏を入れたら4番手でしょうから』
「あー」
『それさ、まぁ、座れよ、そこ順番はどうなの?』
「あ、どうも。えー、多分、ですけど。あの幼馴染、ウムトさん、盧ちゃん、春蕾さん、ですかね」
『ひひっ、最後じゃん』
あ、春蕾さんがムスっとしてらっしゃる、ちょっと可愛いですね。
《最後と言うなら、寧ろ暁兄じゃないかな》
『違う違う、好きになった順番じゃなくて、跟踪狂の順番、ぶふっ』
『跟踪狂』
あ、今度はルーちゃんがショックを受けてる。
って言うか本当に心が読めないんですかね、コレのお陰で。
「あの、コレ」
『あ、あぁ、もし良ければ御守りも兼ねていますので、お任せします』
ルーちゃん公認なんですね、成程。
『って言うか盧ちゃんって、気を許してんだか許して無いんだか』
「何か埃蘭って私の中では地名の印象なのと、呼び易さ的に盧ちゃん、なんですよねぇ」
『へー、地名なんだ』
《良く知っているね、地名と言うか、巴比倫王朝に滅ぼされた西域以西の、神代の国の名前だよ》
「あ、それですそれ、何処の、とまではうろ覚えだったんですけど、それです」
『好きだね、寓話とか神話』
「そら暇で読み漁ってましたから、ココの古本屋凄いですよ、もう回りました?」
『いや、今日は流石に洗濯で終わり、暁霧にさせられた』
「嫌だわ言い掛かりよ、どうせ明日にでも色々と回るんだから、今日は大人しく身綺麗にでもしておきなさい。って言っただけよ」
「あ、コッチと違うんですかね、お宿の内容、私達は全て含まれてましたよ?」
『あー、だからか、部屋は良いけど安かったんだよねぇ、コッチ』
《僕らの方は含まれているよ、全てね》
「だとしても洗い物をお出ししてしまえば良いだけでは?」
「今は腕を吊り下げて無いけれど、アレよアレ、苦労を知りなさいって事よ」
「真面目」
『クソ不便なのな、2枚洗って片手は諦めたわ』
「ほらね、だからお金と人って大事なのよ、ってね」
「あ、不便さのお勉強なんです、半ば病で引き籠ってらっしゃってましたから」
『羨ましいですね、この外見ですから早々に捨てられ密かに寺院で育てられ、師に付いて回る他にはありませんでしたから』
そうですよね、9才で文化も何も違う場所に1人。
私でも甘やかしますよ、何でもあげて構っちゃいそう。
《じゃろ?》
えっ、何。
何をしてらっしゃいますか、恵比寿様。
《ワシらの介入にしても、過度と思われてはの、致し方無くなんじゃと弁明しに来たで》
まぁ、ご親族も見知った者も居ない地で生きるって、今の私でも無理なのではと思いますし。
介入の事は構わないんですが、今ですよ今、何をなさっておいでですか。
《盧にも見聞き出来んで、大丈夫じゃよ》
あ、私だけなんですね、成程。
《汲んでくれとは言わんよ、ただ本当にお主が支えだったんじゃ。じゃから幾ばくかの情を掛けて欲しいと、お願いじゃな、強制では無いで、後は気の進むままで構わんよ》
「あの、質問なんですが、ハレムについてお伺いしても」
《ワシは構わんと思うぞ、それこそ天使もじゃけど。人の世の理は人が作ったもんじゃし、様々な幸が有っても良かろうよ》
成程、お心が広いでらっしゃる。
『僕は、本当は嫌です、馴れ合いたくも無い』
ぶっちゃけ、ルーちゃんにご友人って居ます?
《居らんのじゃよねぇ、じゃからこそ、ワシらとしては構わんとは思っとるんじゃけど。コレがのぅ》
まぁ、私もハレムを受け入れたのかどうかと聞かれると、まだまだでして。
あ、そっか、ウムトさんに聞けば良いのか。
「少し、ウムトさんに話を聞いてみません?」
『まぁ、案ずるより、だしなぁ』
《頼めるかな、花霞》
「はい、直ぐに呼んで参り」
とか言って振り向いたら、凄いキラキラしたお顔でコチラを見てまして。
少し手招きしてみると、直ぐに。
「やっと呼んでくれたね、改めて挨拶させて貰うよ、僕はウムト、花霞の一回り上だよ、宜しくね坊や達」
「坊や呼びは流石にどうかと、暁霧さんは26ですからね?」
「肌艶も良く若く見えたものだから、失礼したね、君は素敵なお兄さんだ」
「もー、同性だからってベタベタと触らないで下さい、と言うかいい加減にココの文化を、分かってますよね?」
「つい、困った顔が可愛くてね」
「遊ばないで下さい」
「相変わらずしっかり者で、可愛いねぇ」
私や子女には頬っぺをツンツンするだけなので、最初から文化を理解してウザ絡みしてたんですね、この人。
策士だぁ。
とか思ってたら、見知った浅露を付けた方が。
「あ、先生、先生ですよね?どうしてこんな場所に?」
「お前らが困ってるだろうと思って来たんだが、困ってはいなさそうだな」
「ダメですダメです困ってました、お久し振りです先生」
『先生、お久し振りで御座います』
「お前ら大して困って無いだろう、帰る」
「あ、美味しい青椒肉絲をお出ししますから、ね?」
「もう夕餉は食った」
『甘味が出る筈、ですよね?』
「はいはい、胡麻餡の何か出ます、お茶を淹れますね?」
『お席を温めておきました、どうぞ、少しだけでもお付き合い下さい』
「仕方無い、少しだけだぞ」
ぶっちゃけ、周りは半信半疑だろうな、と思って困ってたんですよ。
稀代の天才、中央の座敷童であり、私の先生の存在。
「あ、えっと、コチラは紅・緑晶先生です」
「浅露は許せ、不満を口にするなら俺は帰る」
『そこまで四家の方々は傲慢ではらっしゃらないと思いますよ』
「はいはい勿論ですよ」
一瞥してる。
警戒心の塊なんですよねぇ。
「そうか」
「ではお茶を淹れますねぇ」
花霞ちゃんが私達にも淹れてくれたお茶は、金駿眉の武夷岩茶、かしら。
下手をすれば黄茶より高級な青茶よ、コレ。
「美味しい武夷岩茶ね、金駿眉のかしら」
「君はお茶が分かるのか、うん、良い鼻を持ってるな」
「あ、この方は白家の暁霧様、コチラが朱家の雨泽で、藍家の春蕾さん、墨家の臘月様です」
「なら、アレは何だ」
「あ、兔子様ですね」
一応、余計な事を言わないのね。
「そうか」
あら、臘月ちゃんが固まってるって事は、この方の気も読めないのかしら。
「臘月様、どうかなさったの?」
《前に、お会いした事が》
「有る、お前の家に行った、アレはどうしてる」
「あ、関わりが有ったんですね、流石です」
「俺と道士に感謝しろよ、殺さずにソッチに引き渡してやったんだからな、あのクソ女を」
「あ、先生、それで関わってたんですね」
「覚えて無いか、俺がコレを呼んで、そうか、俺しか見て無いか」
「あー、あ?」
「まぁ良い。お前にとっても道士はそれなりの恩義が有る筈だ、少しは気に掛けてやってくれ」
《はい》
臘月ちゃんが最強よね、とか思って、次に道士様が現れて格上が来たわね。
とか思っていたのだけれど。
やっぱり四家の中って所詮は狭い囲いの中、世間様には幾らでも格上がいらっしゃる。
花霞ちゃんがこうして育ったのも、この方が居てこそ、なのかしらね。
「胡麻菓子はまだか」
「もー、少しは私の成長について何か仰って下さいよ?」
「背丈がまた伸びただろう」
「えー?」
「いや、伸びたな」
「明日には分かりますけどぉ、そんなに?」
「どうだかな、それと茶を淹れるのが少しだけ上手くなった、かも知れない」
「最近特に練習してるんですよぉ、えへへ」
この毛色が変わったのも、俺も、転生者だ。
けどコイツは最近まで俺もだと気付かなかったらしい、他はしっかりしてるんだが、ぶっちゃけ天然だ。
だが根は良く真面目、所謂良い子と言うヤツで、だからこそ手を掛け目を掛けていたんだが。
ハーレム要員になるとはな。
しかも形成者側とは。
不妊も何もかも、ルーが何とかするだろうから、と様子見させていたんだが。
それが間違いだったんだろうか。
だが裏を返せば選択肢が増えたとも言える。
が、それが本当に良い事なのかどうか。
所謂アセク、ノンセクと呼ばれる俺には、全く分からない領域だ。
「花霞、細かい事までは聞いてはいないが、無理をしてはいないか」
「無理は無いですが、クソ悩んでます」
「だろうな」
それこそ政略結婚で適当な相手とそれなりに結婚する、と言っていて、コレだ。
毛色からしても、少なからず波乱は予想していたが。
本当に神々は何も手を回していないのか。
そう考えるにはあまりにも物語が過ぎる、この毛色でハーレム、物語の題材にしては盛り込み過ぎな程に要素が多分に盛り込まれている。
疑うしか無いだろう、ルーを通し神の介入が有ったかどうかを。
《ワシら本当に何もしておらんのじゃが》
『まだまだ、イマイチご信頼頂けませんねぇ』
そら俺は真の無神論者だったからな、ココにも神は居ない、神は死んだと思っていたし。
ルーと関わりコイツらと接触した時も、先ずは幻覚や魔法、異物混入を疑ったものだ。
宗教に家が翻弄された者の末路は、大概こうだろう。
しかも俺はココでも酷い目に遭ったんでな、そう何でも易々と信じる方がどうかしてるだろう。
また、親に、女媧教団と言う名の宗教の餌食になっていたんだからな。
《それは本当にすまん》
『直接の介入は制限されている事を、どうかご理解下さい』
乗り越えられる筈の試練だから不幸を理解しろ、前世でだったらコイツらでも殴り殺していた所だが。
まぁ、助けられたのも事実だしな、ルーにも神々にも。
「私、偶に先生がボーっとしてる理由、少し分かりました」
「厄介だろ、この世は」
「はい、ですね」
まぁ、ココは向こうに比べれば、天国だしな。




